古代世界の午後雑記(移行中)


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
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イラン製作社会派映画『クリムゾン・ゴールド』(2003年)とグローバリゼーション

『クリムゾン・ゴールド』(2003年)(英語字幕版DVD

 IMDbでミステリータグがついていたので視聴してみました。まったくミステリー要素はありませんでした。前回の記事が長文となってしまったのと、今回の記事も長文になってしまったので分割したものです。ついでに記事の論旨が殆どグローバリゼーションの話になってしまったので、題名も変更しました。

 本作は実際の事件に基づいた作品とのことで、アッバス・キアロスタミが脚本を書いておられます。日本未公開ですが、視聴している人の感想がいくつか日本語でネットにあがっていますのでストーリ詳細は検索してみてください。

 この作品はよくわかりませんでした。お金持ちとの格差に絶望した青年が自暴自棄になって銀行強盗した挙句自殺する話ですが、自殺するほどのことだろうか?というのが率直な感想です。金持ちといっても、20階建てくらいの高層マンションの上層3層を占める住宅に住む程度で、米国や湾岸諸国のセレブが所有しているような数十万坪の豪邸とかと比べると些細な程度です。まあ、マンションの(共用部分ではなく)自宅の中にプールがあるのはびっくりですが。




 予め読んだあらすじから想像していたのは、金持ち連中が当局の目を盗んで自宅で豪奢なパーティを開き、そこにピザの宅配に来た青年を引き入れて皆で(暗に)貧乏人をからかうような話かと思っていたのですが、全然そんなことはなく、私の目には、両親が金持ちで二枚目の孤独な青年より、貧乏でも堅実な考え方の恋人や友人のいる太っちょの主人公の方が幸せかも知れない、というような話に見れてしまいました。

 ただひとつ絶望感を共有できる部分があるとすれば、主人公が目にした高級マンションの部屋の所有者である米国で働く両親は、恐らく米国では飛びぬけた金持ちというわけではなく、米ドルとイラン・リアルとの為替レートの差のお陰で、テヘランであのような高級住宅を購入できたのではないか、と思われる点です。

 一人当たりの米ドルでのGDP(2015年)は、経済発展している新興国のはずのタイで約5700ドル、インドネシアで約3700ドル、欧米からの観光客も多くイスラム圏では発展している筈のチュニジアで約3900ドル、社会が不安定なエジプトにいたっては3700ドル、そしてイランは約4900ドルです(日本は約32500ドル、米国は約56000ドル)。日本では、正社員と契約社員の格差問題として、同じ仕事をしていて賃金が違うことが問題となっていますが、世界の多くの低諸国の人々も同じことを考えていて、「先進国の人と同じ仕事をしていてどうしてこんなに違うのか」と考えている人は沢山います。そういう人々の結構な割合が、出稼ぎや移民に出たり、グローバル企業の社員になりたがるわけで、私はこの点ではグローバリゼーションを支持しています。同じスキルを持っている人が、為替レートのお陰で低所得である、というのはおかしな話です。自分たちの国に観光に来る先進国の人々が、実はお金もちではなく、先進国では寧ろ低所得者に入る人々でも観光に来ている、という実態を知ってしまった低所得国のひとが、グローバルレベルで「同一能力同一賃金」「同一職種同一賃金」こそ平等ではないのか、と考えるのは自然なことです。先進国側の言い分、「これは幾世代もかかって国と社会が一丸となって努力してきた結果だ」というのもまた当然のことですが、そういうことが良くわかっていて、その国に留まり国の発展に努めている低所得国の方々も沢山いることは確かである一方、それが頭ではわかっていても彼我の格差をまのあたりにして納得できずに出稼ぎにでたり、移民しようとしたり、欧米系グローバル企業に勤めようとする人々は実際多いのが現状です。『クリムゾン・ゴールド』では、国家の競争力の結実として一見正当に決定されているように見える為替レートというものの矛盾や納得し難さ、レート決定メカニズムの胡散臭さなどについてさりげなく突いてくれればよかったのに、と個人的には考えた次第です。

 なお、ここで触れている為替レート決定メカニズムの胡散臭さとは、ジョージ・ソロスのような為替で儲ける投機家が悪いとか、ユダヤ財閥陰謀論とかの類の話ではなく、以下①②のような話です。

①為替決済実務におけるもの。
 例えば宿輪純一著『通貨経済学入門が記載しているようなものです。本書p82-85には世界188カ国の為替制度の分類一覧表があり、固定相場制、変動相場制以外にも、カレンシー・ボード制、アジャスタブル・ペッグ制、クローリング・ペッグ制など多様なものがあり、更に変動相場制にも、管理変動相場制(46カ国)、自由変動相場制(33カ国)とがあり、世界では自由変動相場制を採用している国は先進国の33カ国だけ、圧倒的に固定相場制を用いている国が多く、固定通貨先米ドル(54カ国)・同ユーロ(27カ国)などとなっており、それぞれの仕組みについて解説がありますが、為替を固定させるための仕組みも各国様々で、その複雑な仕組みをついて資金が流れ場合によってはその国の金融や経済だけではなく相場制度そのものさえ揺るがす事例などが紹介されています。今更ブレトン・ウッズ体制に戻れないのは理解していますが、最初にこの本を読んだ時(2011年)、投機以前に為替レートの決まり具合がそもそも制度的レベルで妥当なものなのかどうかさえ疑問に思うようになりました。


②世界全体の貿易決済額やGDPに対する為替取引総額
 以前こちらの記事の末尾に、2007年時点での貿易決済総額やGDP総額に対する為替取引総額を比較した記事を書いたことがあります。2007年度の全世界の輸出入の総額は26兆212億ドル。世界GDP総額の48%、2007年の世界GDP54兆ドルに対して為替取引年額(245日とした推計)814兆ドル。貿易総額の31倍・世界GDPの15倍という数字でした。世界通貨取引総額はBISのサイトで3年毎に発表していて、今年は4月に調査されている筈なのですが、まだ数字は発表されていないようなので、2013年のデータを用いますと(xls表はこちら)、2013年4月の世界の一日平均為替取引量5.34兆ドル、土日を除外した年間取引日245日(休日取引もありますが、休日は取引量が少ないので省きました)とすると約1300兆ドル、2013年世界GDP総額約73兆ドルの17倍。日本円の取引シェアは11.5%、単純計算で149兆ドル(1ドル100円換算で1京4900兆円。日本のGDPの30倍です。こんな状況では日本の貿易総額が円の為替レートに影響する割合など微々たるものです。もうまじめに経済やるより金融取引だけで儲けようと思う人々が多発するのも無理からぬように思えます。

 話をグローバリゼーションの話に戻しますと、個人的に、この10年間ほどで、ネットの普及によりグローバルレベルでの「同一能力同一賃金」という考えや不満が、新興国・途上国・低所得諸国の一般人にも広く浸透してきているような感触があります(同時に先進国の中でもスキルのある人の間で増えている印象があります(その場合基準となっているのは、米国や湾岸レンティア諸国の高所得業種の年収))。

 話が大幅にそれて最早映画の記事ではないような感じになってしまいましたが、最後に映画に話を戻しますと、強盗オチにするのであるならば、先進国の宅配ピザ屋の店員がイラン観光に来て、同じ宅配ピザの店員と出会い、為替レートというものがもたらす肌身では理解しがたい格差に気づいて絶望して強盗に及ぶ、というような話にすればよかったのに、とも思ったりしました。

つけたし:
 話が金融の話になったついでにつけたしです。昨年1月に法案が提出され、今年5月可決、来年1月から運用が拡大される、401K(確定拠出年金(DC))参加対象者枠拡大の話です。個人的にこれは株価対策と預金吐き出させ政策の一環だと考えています。これも個人的にですが、アベノミクスの金融頼り部分の日経平均株価の実力は1万6000-6500円くらいだと考えていて、2013年12月に1万6291円をつけてから下落に転じましたが、2014年前半の持ち直しを支えたのはNISA、後半2万円台に達した原動力はGPIFの株式運用増加だと思っています。非常にわかりやすい相場だったので2万円を越えたあたりで刈り取り相場となり、昨夏の上海ショックと今年年初の円高で下落、現在再び1万6500円前後の相場となっていますが、DCの流入で再び1万7-8000円を目指す動きとなるのではないか、とも予想しています。もっとも、NISAでは2014年初年度約3兆円が株式市場に流入したのに対して、DCは来年約5000億円という試算となっているそうですから、株価へのインパクトは少ないかも知れませんが、株価の下支えにはなりそうです。私は勤務先が米国企業なので12,3年前に強制的に401Kにさせられましたが、制度をよく理解していなかったため、株式の方はサブプライム加熱報道時に売りぬいていて逃げ切れたものの、401Kの方はうっかり放っておいてしまったところリーマン・ショックの直撃を受けえらい目にあいました。米国に比べると、日本の金融資産は預貯金の割合が大変多いので、なりふり構わず預貯金を市場に流そうとする政策もわからないではないのですが、アベノミクスの金融政策はもう十分効果がでて限界に来ているように思えるので、金融政策について(特に年金運用について)はこれ以上あまり無謀なことはせずなんとか踏みとどまって欲しいと考えています(こういう政策(GPIFの株式投資枠拡大とかDC拡大とか)をされると、個人的には年金なし前提で老後を平均余命の95歳*1(現状の私の年齢の平均余命は82歳ですが、現85歳時の平均余命は92歳近く、今後も余命が伸びることを考えると、95歳くらいまでを想定しておいた方が良い、というのがFPの見解)くらいまで生きる前提で安全資産を探さざるを得なくなり、かえって消費しなくなるので寧ろ景気創出には逆効果なのではないか、と思っているのですが、、、、(あくまで私の場合))。

つけたしのつけたし:
 つけたしを書いていて漠然としていた考えが整理できました。遠い将来はともかく、恐らく私だけではなく、私の世代の(日本の)ある割合の人々は、多分死ぬまでずっと安全資産探しを続けなくてはならない、仕事はいつかリタイアできても、リタイア生活中においてさえ安全資産探しを続けることから逃れることはできないのだ、ということが。

*1 ここ十年程、喪中はがきが毎年よく届くようになりましたが、それらの内容はほぼ全部「祖父母」で、だいたい95歳前後だということも、データ以上に実感できるものがあります。

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by zae06141 | 2016-08-15 00:40 | 北米西欧日以外のミステリー映画 | Comments(0)
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