古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
アクセスカウンター
UU数
無料カウンター
無料カウンター
無料カウンター
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
最新のコメント
pepeino様 ..
by zae06141 at 00:27
最後は一般論として,..
by pepeino at 22:44
そこで,感謝の念を示すた..
by pepeino at 22:43
zae06141様 ..
by pepeino at 22:42
zae06141様 ..
by pepeino at 20:44
pepeino様 ..
by zae06141 at 20:28
pepeino様、 ..
by zae06141 at 00:46
ブログというものをやった..
by pepeino at 16:06
単位が分からない
by なし at 09:15
Mellow様 こ..
by zae06141 at 22:00
最新のトラックバック
venusgood.com
from venusgood.com
venushack.co..
from venushack.com/..
whilelimitle..
from whilelimitless..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
検索
タグ
ブログパーツ
南アフリカランド取引業者
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

<   2012年 11月 ( 4 )   > この月の画像一覧


1913/1928/1937/1970年の世界各国輸入先第一位の国の色塗りマップ

 前回(1993/2003/2011年)の続き。今回の出典はすべてマクミラン新編世界歴史統計 1750-1993 (〈1〉ヨーロッパ〈2〉 アジア・アフリカ・太平洋州〈3〉南北アメリカ)です。

 赤紫は英国。青はドイツ、緑は米国です。

1913年(第一次世界大戦前年)
a0094433_23161584.jpg

 中南米は、米大統領モンロー(在1817-25年)以来、ずっと米国の裏庭だったという先入観があり、貿易も米国が独占しているのだと思っていましたが、第一次大戦前の輸出は英国の方が上回っていたとは知りませんでした。第一次大戦後、南米の輸入先一位はほぼ米国一色になるものの(
1928年の地図参照)、世界恐慌後は後退している様子も見て取れます。スーダンの輸入先第一位はエジプトであり、第一次大戦後に英国が一位となり、冷戦後まで長く一位の座を占めた後、2003年には再びエジプトが第一位に返り咲いています。

 ヨーロッパはドイツと英国に二分されていたのは予想通りでしたが、ドイツの輸入先一位は大戦前に既に米国となっていたとは知りませんでした。日本の輸入先一位は英国本国ではなく、インドだったのも知りませんでした。にわかに戦前日本の経済や貿易の構造分析に興味が出てきました。タイの貿易先一位は中国、インドネシアはオランダ、マレーシアはインドネシア、アンゴラはポルトガル、コンゴはベルギー、イランはロシア。
なお、一部データが空白で1912年のデータを利用した国があります(タンザニアとコンゴ)。


1928年(世界恐慌前年)
a0094433_23162916.jpg

 第一次世界大戦後に、米国が世界列強国と南米に大きく輸出を伸ばした様子が見て取れます。また、ハンガリーとユーゴスラヴィアの輸入先第一位はチェコとなっていて、戦間期のチェコが世界屈指の先進工業国だったというのもうなずける内容。北欧・東欧・ロシアの輸入先一位はドイツとなっていて、世界恐慌前のドイツ経済はかなり持ち直している印象です。20年代のドイツ経済についても詳細を調べてみたくなりました。

 米国の輸入先一位はカナダ。中国の輸入先一位は日本です。

1937年(世界大戦前)
a0094433_23164110.jpg

 真っ先に目を引かれるのは、1928年に米国一色だった南米が、英独に取り戻されている点でしょうか。ブラジルの輸入先第一位はドイツとなっていますが、ドイツは、チリ、ボリビア、エクアドルでも2位となっていて、戦後ナチスドイツの幹部が南米に亡命した背景が良く見て取れます。貿易上の密接な関係があり、パイプがあったということだったのですね。

 インドネシアとタイの輸入先一位は日本となっていて、中国の輸入先一位は米国となっています。1937年時点で、既に二次大戦中の勢力形成の下地が見て取れる内容となっています。世界恐慌後のブロック経済化の時代、輸出先一位の国の確保を強めるために軍事進出・軍事支援(米国の中国への支援など)をすることになるのは、この地図からも予測できる内容となっています。イランの輸入先一位はソ連ですし(二位はドイツ)、二次大戦中にソ連が占領することになるのも、納得できるのでした。


1970年(冷戦盛期)

 米国はすっかり復調し、中南米は米国の裏庭と化し、以前英国が輸入先一位を占め続けていたインド・オーストラリア・ニュージーランドの輸入先一位も米国となり、サウジアラビアとトルコも傘下に入っています。西欧諸国が輸入第一位を占めることができる地域は、ほぼアフリカの旧植民地に限定されています。
a0094433_18285099.jpg

 一方日本は、第二次大戦中の進出先の国々にとって輸入先一位となり、第二次大戦中の勢力圏がそのまま経済進出先となっている印象です。ドイツは、東ドイツ(ライトブルー)と西ドイツ(群青色)に分かれてしまったものの、両方併せると、第二次大戦中の勢力圏と重なって見えなくもありません。なお、西ドイツの輸入先一位はフランス(薄ピンク)。20世紀の古代イラン学では、フランスとともにドイツの存在感が高いのですが、案外貿易関係が密接という背景があってのことなのかも。エジプトの輸入先第一はソ連ですが、これは当時エジプトが社会主義政権だったことを素直に反映しているものと思います。

 1937-70年の地図を眺めていると、米独日の世界貿易でのプレゼンスは、第二次世界大戦前に成立したものではなくて(そういう先入観を持っていました)、第二次世界大戦を通じて形成され、冷戦期はソ連圏があったものの、ソ連崩壊後、1990年代から2000年初頭くらいまでは、第二次世界大戦中の国力がそのまま世界貿易上でのプレゼンスに結びついていったように思えなくもありません。しかし2011年には、リオリエントな地図となってきていることは、前回掲載した通り。

 10年後にはどうなっているのでしょうか。なんだか毎年輸入先国一位の国の地図を作るのが楽しみになってしまいそうです。
[PR]

by zae06141 | 2012-11-30 00:14 | その他歴史関係 | Comments(0)

1993/2003/2011年の世界各国の輸入先第一位の国色塗りマップ

 長ったらしくわかりにくいタイトルとなってしまいました。ブルガリア在住時、各国にとっての輸入先第一位の国ってどこになるのだろう、と、暇つぶしに手書きで色塗り世界地図を作ったことがあります。その結果を見て、第二次世界大戦中の地図に似ていると思いました。やはり冷戦という枠組みが取り払われてみると、冷戦前の(つまりは第二次大戦中の)勢力が幅を利かすことになるのかも、と思った次第。最近書棚を確保する為に本を売ろうと整理していて、その手書きの地図が出てきたのですが、出典が記載するのを忘れていて、記憶にあった出典本を確認したら載ってなかったこともあり、ついでに最近の状況はどうかと、調べてみました。以下の地図は、濃い青色で塗られている部分は、輸入先第一位がドイツである国々。貿易相手先の国におうける輸入順位が一位となるということは、それなりの経済関係の深さと経済力を示すことでもあるので、輸入先一位国マップは、それなりに世界の中での経済力の位置づけを反映しているものと思うわけです。

 赤は、輸入先第一位が日本である国々。緑が米国。薄ピンクがフランス。紫がロシアで、黄色が中国、水色はメキシコです。細かい説明は後述するとして、まず三つの地図を眺めていてわかることは、

-1993-2003年くらいは、第二次世界大戦時の勢力図に似ている
-年が下るについてての米国の後退
-アフリカ諸国の輸入先第一位は、旧宗主国(西アフリカ諸国(フランス)、イタリア(リビア)、英国(ボツワナ、ザンビア、タンザニア)など)
-2011年における中国の拡大

というところだと思います。

1993年
a0094433_18331211.jpg

2003年
a0094433_23105848.jpg

2011年
a0094433_19222856.jpg

(上の画像は、右クリックして「画像だけを表示」すると拡大します)

 全体として、第二次世界大戦頃の勢力関係が、アンドレ・グンダー・フランク書籍「リオリエント」で描いた意味での、17,18世紀の世界経済地図に移行し、まさに、「リオリエント」な展開をしているように見えてしまいます。

 面白かったので、1913年(第一次世界大戦前)、1928年(世界恐慌前)、1937年(第二次世界大戦前)、1970年(冷戦半ば)についても色塗りマップを作ってみました。次回掲載したいと思います。

 以下、出典と注記・詳細コメントです。

1993年の地図

 出典は、マクミラン新編世界歴史統計〈1〉ヨーロッパ歴史統計:1750‐1993マクミラン新編世界歴史統計 (2) アジア・アフリカ・太平洋州歴史統計:1750-1993マクミラン新編世界歴史統計〈3〉南北アメリカ歴史統計:1750~1993

 ノルウェーの輸入相手先一位は(若干色が異なっていますが三枚とも)スウェーデン。アイルランドの輸入相手先一位は三枚とも英国。二ユージーランドの1993と2003年の輸入相手先一位はオーストラリア。また、マクミランには記載が無かった空白地域は、概ね2003年と大体同じなのではないかと思われます。中南米は見事なまでに米国の裏庭。


2003年

 出典は、国際連合 貿易統計年鑑 Vol.55 2006年版(国際連合統計局:原書房) 。 

 ルーマニア、アルバニア、スロベニア、リビアの輸入先第一位はイタリア。ルーマニアは、ロマンス語なので、イタリア人が進出し易いということでしょうか。
イラン・パキスタン・イエメン・ケニアの輸入先第一位はUAE。ゲートウェイとしての貿易都市国家の姿が見事に表れています。同様のゲートウェイ国は、2011年の地図の、ドイツにとっての輸入先一位であるオランダ(内陸ヨーロッパへのGW)や、2010年のインドネシアの輸入先第一位であるシンガポール(東南アジア諸国へのGW)、2010年のチリの輸入先一位である中国(南米へのGW)、日本にとっての台湾(中国へのGW)などに見て取ることができます。

 また、特定国ががっちり抑えた後背地とでもいうべき国々も見て取ることができます。例えば、オーストラリアにとってのニュージーランド、英国にとってのアイルランド、スウェーデンにとってのノルウェー、スペインにとってのポルトガル、タイにとってのラオスなど。2003年からは、アルゼンチンの輸入先一位はブラジルとなっています(2003年のチリの輸入相手先一位はアルゼンチン)。南米での米国の経済力が後退し、ブラジルが台頭している様子も見て取れます。シリアは、1993年にはロシアが輸入先一位だったのですが、2003年には中国となっています。フランスはガッチリ旧植民地を抑えている印象を受けます。

 色塗りマップ中、以下の国々は、2003年のデータが資料では空白だったので、前後の年のデータを用いています。
-2002年のデータ
 コンゴ、ニューギニア、ギニア、
-2004年のデータ
 モザンビーク、セルビア、


2011年

 出典は、JETROの国・地域別情報(J-FILE)から。

 まず第一に目を引くのは、中国の拡大。2010年まで米国が常に第一だったサウジアラビアの輸入先第一地の座が中国に奪われたのは驚きです。エジプトはどうなってゆくのでしょうか。実はドイツの輸入先一位の座も2010年は中国となっていて、2011年にオランダが奪回している状況。この地図ではインドの存在感がまったくありませんが、いかにインドの成長がIT業界という特定の業界に依存しているかが、この地図からも見て取れると思います。ジェトロの資料に登場している国々の中では、インドを輸入先一位としている国はUAEだけ。確かアフリカ東部の国の輸入先第二位には顔を出していたと思います。近世インド洋沿岸地域での南インド商人の経済版図を髣髴とさせるものがあります。そのうち2011年の国連貿易統計年鑑が出版されたら地図上で空白となっている国々も調べてみたいと思います。その中には、インドを輸入先一位の国としている国があるかも知れません。

 トルコの輸入先第一はロシアとなっていますが、数値的には、ロシア、中国、ドイツ、米国の差はわずかで、近年トルコ経済の伸張とともに、有力国が競争している状況が見て取れます。シリアやエジプト、サウジ等、ほぼ独裁政権との政治的関係のみで貿易関係を築いてきたのとは異なり、トルコが取れれば、真の意味での中東・バルカンへの経済進出の足がかりになるという、トルコの経済上の地政学(?)的重要度が明確に表れたデータとなっていると思います。

 同様に競争が激しいのがマレーシアとインドネシアを巡る日本・中国・シンガポールの競争。フィリピンも中国が追上げていて日本も危ない状況。

 とまあ、貿易データを眺めているだけでは見えてこないようなことも、色塗りマップを作ってみると見えてくるものもあるのだと思いました。何か新しい発見は無いものかと、1913-1970年についても同じことをやってみました。予想通りの点あり、先入観が覆された点あり、色糸と参考になりました。次回掲載する予定です。
[PR]

by zae06141 | 2012-11-24 00:15 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

2012年11月米大統領選挙

 11月7日(日本時間)のCNN米大統領選速報を見ていて思ったことが二つあります。

 ひとつは、11月7日の13時25分頃(日本時間)。オバマ氏当選が決まった頃です。以下の開票速報地図となっていました。大統領が決まったわけですが、アラスカ州はまだ投票中となっています。こんな状況では投票しても面白く無いと思うのですが。アラスカ州の人は同時開票にして欲しいと思っていないのでしょうか。
a0094433_22101290.jpg


 二つ目は、出口調査のデータのうち、人種別データ。最初のものは、11日の最終結果が確定時(フロリダの集計終了時)の全米のもの。白人は圧倒的に共和党支持です。
 
a0094433_22301049.jpg

しかし、メーン州やニューハンプシャー州など、いわゆるWASPの地区にあっても、州民に殆ど有色人種がいない州では、民主党への投票率が多数派となっています(以下の3つは7日21時頃のもの。開票率は97%程度だが、傾向は変わらないので最終結果の画面ショットは取得していません)。最初のこれはメーン州。
a0094433_22323997.jpg

 ところが、同じ東北部州でも、有色人種が多くなると、白人の共和党支持者が増えるようです。以下はニューヨーク州。
a0094433_22335079.jpg

 南部諸州の白人はどこも圧倒的に共和党。以下はミシシッピ州。
a0094433_22344791.jpg

 一応全部の州について出口調査の結果を見たのですが(CNNの出口調査のデータは33州について掲載されており、掲載されていない州もある)、なんとなく、目の前に有色人種のいない州は、頭でっかちに理念優先となっていて、民主党支持者の多い都会人口の多い州でも、有色人種が目の前にいる州では、やっぱり有色人種に職を奪われているとかの意識がるのかも。。。。。と思ってしまいました。
[PR]

by zae06141 | 2012-11-18 00:43 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

2012年12月衆院選挙:日銀無制限金融緩和とブルガリアでのハイパーインフレ

 選挙も近づいてきたのでたまには時事ネタを書いてみました(スペイン歴史映画「エスコリアルの陰謀」の紹介・感想は12月に延期)。

 安倍総裁が無制限金融緩和と日銀法改正を口にされており、「金融緩和で景気がよくなる」「給与と雇用も改善するだろう」と考えておられる方々の期待が膨らんでいるようですし、一方ハイパーインフレを懸念する方々もおられるようです。1996/7年のブルガリアでハイパーインフレを体験し、現在私や周囲の方々がどのような金融対策を行っているのかを踏まえて、少し意見を書いてみたいと思います。

 まず思うに、「3%のインフレになるまで無制限に緩和するが、目標に達したら引き締めるからハイパーインフレの心配は無い」との意見については、私はまず、外貨両替や外貨預金、海外資産購入を制限してからでないと、この懸念はなくならないと思います。というのは、私も周囲の人々も、資産の一部を外貨・外債・外国株など海外に持っています。私の場合、円・ドル・ユーロを1/3づつ持っています(若干元も持ってきますが、これは出張や旅行をした時、両替せずに、現地で直接ATMから旅費を引き出すことが目的なので金額は少ないのですが、いつ元に資金を移す必要が発生するかわからないので、その時の為の口座の準備という意味合いがあります)。ドルとユーロに分けているのは、為替取引で儲けようというのではなく、リスクヘッジの為です。FXとは違います。無制限金融緩和でどっちにふれても構わないのですが、2008年の世界金融恐慌まで10年以上だいたい1ドル100-120円の範囲内で推移してきましたから、その時に積みあがった分の平均が(その後の円高時の積み増し含めて)約95円となるので、今の心境は、無制限金融緩和による円安95円突破を待ち構えている、という部分があります(ユーロは金融危機発生後の下落相場で購入したので平均105円。あと少し)。こういう人は、案外多いのではないでしょうか。口に出さないだけで。安倍さんのように、日銀法改正という、ヘリコプターマネーに道を開くようなことを首相候補が公然と口にした時点で、円を売っておこうという気になるのは当然ですし、ヘリコプターマネーが実施され、継続的な円安が傾向が続く場合、円を売り続けます。つまりは、緩和された分の円を購買に回すことは無いので、企業の売り上げに貢献はしません。つまり、金融緩和によるインフレが起こっても、紙幣自体の下落を招くだけで、景気回復には結びつかないと思うわけです。住宅をローンで所有している人も、家を担保にお金を借り、外貨資産を持つことで過剰インフレのリスクヘッジをすることができますから、「実業の景気回復」が起こらない限り、なんらかの資産を持っている人々は、外貨など海外資産に移してリスクヘッジをするパターンが増えるのではないかと感じています。当然のことながら、目的は資産保全にある為、ある程度の目減りは保全コストのうちだとの認識があります(参考-長期的な円ドル為替レート変動曲線(1971-2012年)実行為替レートのグラフ)。

 10月30日の量的緩和発表と前後して、国内メガバンク三行の国際決済業務強化の記事も報道されていました。日経の記事では、これは海外融資の外貨確保が目的だと記載されていましたが、メガバンクの海外融資増加は昨年あたりから何度も報道されていまし、国際決済の情報システム拡張や売り込みの話は何年も前からIT業界では周知の話しですから、何故10月30日の金融緩和のタイミングで国際決済業務の記事が出たのか。私はこれは、インフレ対策用外貨保持対策に邦銀メガバンクを使おう、という宣伝ではないかとの印象があります。無制限量的緩和(過度のインフレ)に備えて国内資産の外貨需要が強まった場合、銀行の顧客はシティやHSBCなど、豊富に外貨を保持している銀行に流れる可能性があります。彼らは世界で決済業務を行っているので、他国の通貨を豊富に保持しています。日本の輸出入取引が主な外貨獲得手段である邦銀メガバンクよりも、インフレ回避の為の外貨獲得は外資系銀行に顧客が流れる可能性があります。メガバンクが国際決済業務強化を行い、円以外の通貨間取引(米国-ドイツ、中国-米国、極端に言えばトルコ-フランスとかでも)業務内容を拡張することで、外貨保持力を高めることができます、ということを、暗にアピールしたのではないかと思うわけです。

 私がいつも疑問に思うのは、「金融政策や財政政策が景気を創造できる」と思っている人がいるように思えることです。金融政策や財政政策は、「景気を刺激・抑制」することはできても、「需要の無いところから景気を創造」することはできません。実業に投資先が無い場合に、いたずらに金融緩和・財政投資を続けても、不動産や株などのバブルを作り出すだけです。「バブルでもいいじゃないか」という意見もあると思いますが、バブル崩壊時に逃げ遅れるとどのような目に合うのか、この20年で身をもって知った人々も多いのではないでしょうか。貸しはがしを恐れる事業者は容易にバブルな投資案件に投資しはしないので、金融緩和を続けても、結局は国債や海外融資等に回ってしまうのではないかと思うのです(11/2日の日経新聞では、今回の金融緩和を「官製円キャリーを促すのでは」と指摘し、大喜びの米国ヘッジファンドのコメントを掲載し、15日には、国内融資が微減し、海外融資額の拡大の記事が掲載されています。つまり、金融緩和しても、金融機関は、最近は国債購入よりも、海外直接投資に向けてしまう流れがグラフ化されてました)。

 それでもうまくいけば、”金融緩和バブル”を起こすことができるかも知れません。しかし、海外投資が一般人には簡単ではなかった1989年当時とは異なり、現在は、ヘリコプターマネーの恐れには、外貨・海外資産でリスクヘッジをする方が簡単で確実です。日本国内に金融緩和バブルが起こるよりも、海外資産の方にバブルが起こってしまう可能性の方が高いように思えます。緩和され、しかも商品の購買活動に結びつかない紙幣はだぶつき、インフレにはなるので、インフレ率に応じた春闘などでの賃金ベースアップは望めるかも知れませんが、これは結局物価と賃金がスライドしただけなので、総体的には雇用増や、実質賃金上昇には結びつかないように思えます。しかも、企業側の視点で言えば、賃金上昇はギリギリまで極力避けたがるので、物価が上がりだしてから、賃金上昇までの間にタイムラグがあります。このタイムラグの期間は、実質的に賃金圧縮となりますから、その期間は苦しくなると思います。

 とはいえ、大きく円安に振れれば、輸出企業の業績は向上し、その分日本国内の景気上昇に寄与するかも知れません。しかし、このいわゆる近隣窮乏化政策は、輸出先国でも同じような緩和策を招くだけで、影響を受ける国から批判されると思われます。他国の批判を押し切ってまで円安が継続する程緩和を続ければ、信用を失い、関税率アップやUSTRによる制裁条項などの報復を受けかねないと思います。1980年代までの、米国や欧州との貿易摩擦を知っている世代は、無理な為替操作は簡単では無いことは実感としてわかるのではないかと思います。

 これらのことを考えると、「金融緩和で景気がよくなる」「給与と雇用も改善する」という見解に対しては、私は疑問に思えるわけです。ただし、金融緩和は、他国の緩和に対応した分は実施すべきだと思っています(他国が国内用に実施する金融緩和は日本にとっては近隣窮乏化政策ですから。なお、今年の経済白書には、為替変動レートの累積寄与度という表があり、日米のマネタリーベースが為替変動にどの程度影響しているのかを2002年以降の表として推計しています。こちらには算出方法について詳細が記載されています。試行錯誤に近い試算を繰り返し、苦労して推計している様子がよくわかります)。しかし、金融政策はあくまで「景気を刺激・抑制するもの」であり、「景気を創造するものではない」と思っています。


 それでは、外貨・海外資産の取引を不便・制限すればいいではないか、という意見が出てくるものと思います。この方法だと、緩和した分国内にとどまりますから、バブルを生むことはできるのではないかと思います。バブルは、国内資産を再配分する、という効能があると思います。うまく逃げ切った人とそうでない人とに資産の再分配が行われるからです(同時に逃げ切った人と逃げ遅れた人との格差も増大すると思います)。


 日本くらいの経済規模だと、ブルガリアのようなハイパーインフレには簡単にならないし、他国からもさせてもらえないように思うのですが、心配なのが日銀法改正です。法律的な歯止めが無いと、「景気が回復するまでやれ」という圧力がかかってしまい、ブレーキが利かなくなることを懸念するわけです。これまで記載してきたように、現在の状況で単に金融緩和を続けても、インフレへのリスクヘッジの外貨・海外資産に流れ、あるいは物価と賃金がスライドする程度で、景気創出や雇用増には結びつかないと思うので、量的緩和を続けてもなかなか雇用や実質賃金が増加しないことから、「より思い切った緩和を」との声が上がり、エスカレートする。心配なのはこの点です。1996/7年のブルガリアの場合、IMFが介入し、固定相場制にして外貨取引を事実上制限するまでは(固定相場制だから、外貨を持つことに意味が無くなる。同時に中央銀行の国債引き受けも禁止した)、紙幣増刷が続きました(具体的には政府が国債を中央銀行にすべて引き受けさせたという点では安倍氏をはじめとする、日銀国債引き受け論と同じ)。国民は、次々と新しく登場する高額紙幣などに価値は無いと思いはじめました。そのうち暴落すると考えるわけですから。どういうことになったかというと、

-97年1月の月間インフレ率500%、3月には月間2000%のインフレ。
-96年の通貨下落率3000%(95年末1ドル67レバ、96年550レバ、97年2月初に2608レバ。私が目にした最大値は、市中の両替商でに3100レバを記録した日があった)
-タバコ、ブランデーなどが貨幣として流通する(実際始めて目撃した時は驚きました。第二次大戦中のヨーロッパのレジスタンスかと思いました)
-ドルの流通(学生でさえ、1ドル単位で手に入れてました)
-高額紙幣は、だんだん流通しなくなる(新規高額紙幣が頻繁に登場し(登場する度に額面が増える)、国民は、あまり目にしない高額紙幣については偽札と本物の違いがわからないから、下手に偽札を受け取ってしまうと打撃が大きいので、その辺の商店では受け取ってもらえなくなった)
-自国通貨の信用が失われてしまったので、エネルギー・食料の輸入ができなくなり、都会の人は毎週末田舎の親戚の元に食料調達に出かけ(日本の戦後のように、窓から列車に乗り降りする程混雑した)、郊外に土地を持つ人は自家菜園を作り、公道の街路樹を切り倒して暖房に使い、コートを着て寝た(私も肺炎になった))
-若い女性だけではなく、50歳くらいまでの一般婦人が外貨を求めて売春するようになった。

 台風が吹き荒れてるような日々でした。社会が崩壊するとはこういうことかと思いました。戦争ではなく、爆撃を受けたわけでもないのに、経済現象でここまで社会は荒れるものなのだと思いました。更に言えば、金融危機による社会混乱をひとまず終わらせたIMFの緊縮財政路線(均衡財政や非効率企業での全面リストラの強制など)は、今の日本の状態など温室に思えるほど過酷なものでした。当然外貨を持っている外国人や一部の富裕層は憎しみの対象となり、外国人は見分け易いので排外主義者による暴行が頻発した。私も数名の排外主義者に日中暴行され一週間程入院しました。しかし私は彼らに怒りは感じませんでした。レイプ事件や、ノイローゼになって家族を殺害するような事件が連日のように新聞に掲載されていました。そんな状況では外国人を憎むようになっても仕方がありません。だからもう、はっきり書きます。今の日本が不況とか、金融緩和で景気が良くなるとか、日銀に国債を引き受けさせれば景気が良くなるとか主張してる人々、ぬるま湯ですよ。ぬるま湯(色々思い出してきたところで、建設国債の全額日銀引き受けを安倍氏が主張した記事や、安倍氏どころか、みんなの党や維新の会も日銀法改正主張をしている日経の記事を読んだのでエキサイトしてしまいました)。

 ハイパーインフレ直前のブルガリアの経済事情と現在の日本の経済状況は異なりますし、経済規模も大きく異なりますが、中央銀行に国債を引き受けさせ、紙幣増刷に歯止めがかからなくなり、ある時点で「思い切った」ことをやってしまい、加速して指数関数的な方向へ向かってしまう原理は共通するところがあると思います。歯止めは絶対に必要だと思います。


 私が思うには、日本の場合、景気創出については、地道に、国内については、環境・高齢者向け産業・新エネルギー等の成長産業を育て、それだけでは足りないので、海外新興国のインフラ事業への進出を強化拡大し、個々の業務の生産性を高める、という地道な取り組みを幅広く続けることが一番だと思います(私の学生時代の同級生にはいまだにメールやPPTが使えない人もいます(営業職)。会うとリストラの怯えや定期昇給が無くなった愚痴を聞かされます。私が「今の時代ありえない」と言うと「お前はIT業界だから」と言われるのが落ちなので言いませんが、心の中では、ありえない、と思っています)。金融政策は、他国の緩和への対抗措置と、景気の刺激・抑制機能に留めることができるよう、日銀法は現行のままに留めるべきと考える次第です。
[PR]

by zae06141 | 2012-11-18 00:25 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)