古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30
アクセスカウンター
UU数
無料カウンター
無料カウンター
無料カウンター
カテゴリ
以前の記事
最新のコメント
pepeino様 ..
by zae06141 at 00:27
最後は一般論として,..
by pepeino at 22:44
そこで,感謝の念を示すた..
by pepeino at 22:43
zae06141様 ..
by pepeino at 22:42
zae06141様 ..
by pepeino at 20:44
pepeino様 ..
by zae06141 at 20:28
pepeino様、 ..
by zae06141 at 00:46
ブログというものをやった..
by pepeino at 16:06
単位が分からない
by なし at 09:15
Mellow様 こ..
by zae06141 at 22:00
最新のトラックバック
venusgood.com
from venusgood.com
venushack.co..
from venushack.com/..
whilelimitle..
from whilelimitless..
http://while..
from http://whileli..
http://www.v..
from http://www.val..
検索
ブログパーツ
南アフリカランド取引業者
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧

<   2010年 09月 ( 3 )   > この月の画像一覧


金為替本位制下の英領インドは本当にデフレで黒字だったのか?

 相変わらず細かいことが気になります。結構評判のよさげな三國陽夫氏の「黒字亡国」ですが、英領インドに関する記載に違和感があり、少し調べてみました。すると、三國氏の主張どころか、経済史家の記載にもおかしなところがいくつか見つかり、困惑しています。

 三國氏の主張は、「日本は米国の通貨植民地であり、対米黒字は米国への資本輸出となり、日本の内需に貢献していないばかりか、デフレの要因となっている(私の要約)」というものです。この論議の正否はともかく、納得しがたいのは、現状の日本の分析に合わせる形で金為替本位制下(1899以降)の英領インドの分析をしていると思われる点です。

1.氏の主張の要点のひとつである「インドの対英黒字」について

 まず、氏はp19で「インドの歴史書を読んでみた。イギリスの植民地だったインドの通貨ルピーが、十九世紀末から二〇世紀前半にかけてインド国内の工業化のための投資に使われずに、ポンド資産を取得することによりイギリスに流出してしまったという記述があった」、p81では、「イギリスの植民地であったインドは、香辛料などの原材料を輸出してイギリスを相手に多額の黒字を計上した」「と記載しています。

 「マクミラン新編世界歴史統計 (2)  アジア・アフリカ・大洋州歴史統計 1750~1993」を参照してみました。これには、1840年以降の、年度別・インドの主要国別輸出・輸入額が記載されています。三國氏は「十九世紀末から二〇世紀前半」と記載していますので、その期間を見てみました。対英貿易収支は、1873年から1935年の間、一貫して赤字となっています。しかも1885から1929年の間は、輸入は輸出よりも50%近く多い値となっていて、圧倒的な貿易赤字となっています。マクミランが間違いなのか?と思って、「岡田泰男編・西洋経済史」を参照してみたところ、1910年のインド対英貿易赤字額が4200万ポンドと記載されていて、マクミランの内容と一致しています。なお、「マクミラン」では、1840年から1949年の間について、インドが黒字だったのは、1840-41、1843、1845-1848、1862-65、1869-72、1936-1945年となっていて、110年間中26年間となっています。つまり、1840年から独立までの間の英印貿易で比較的互角だったのはほぼ1872年以前の話で、「十九世紀末から二〇世紀前半」は、圧倒的な対英赤字の時期なのです。他にも、「金本位制の下」との記載もある(三國本p81)ので、1899年以降の英印金融関係を示しているのは明らかです(インドは元々銀本位制であり、1873年以降の銀相場の暴落により、銀本位だったルピーも暴落したため、1899年に金本位制(厳密には金為替本位制)に改めた)。

 三國本には「対英黒字」の出典についての記載も無いのですが、以下で引用する各書によると、どうやら、「イギリス以外の全世界との貿易収支が黒字だった」ということのようです。特に、「金融と帝国」p65、66では、1890年から1910年までのインドの総輸出・入のグラフが掲載されており、15%から20%の黒字だったことがわかります(「マクミラン」には、残念ながら、インドの全相手先貿易収支は掲載されておらず、主要国10カ国しか掲載されていないので、掲載10カ国分を集計しても、輸出超過にはならないのでした。ただし、1923年以降の貿易収支総額は掲載されており、それによると1000万ポンド近い黒字となっています)。結局、三國氏は、対英黒字と、全相手先黒字とを取り違えていた、ということになりそうです(しかもこの時代のインドから英国への輸出品の主力は、小麦とお茶であって、香辛料ではない。香辛料が主力だったのは18世紀以前。この点も三國氏の誤認)。


2.全相手先輸出決済金の英国への流出の実態

 残念なことに、上述の貿易収支の総額と同様に、「マクミラン」には貿易外収支総額のデータが1923年以降しか掲載されていません。しかも内訳が、イギリスが徴収しているインド運営費である「本国費」なのか、輸出決済金の資本輸出なのかが不明なのも残念です。一方、吉岡明彦著「「インドとイギリス」のp170には、1904年以降、輸出決済金を英国に留めおく手口の解説があり参考になりました。それによると、1899年以降「本国費」の送金に利用していた、「手形決済」手法を1904年に一般貿易にも拡張した、とあります。その本国費の送金方法とは、

1)インドからの商人(輸入業者)にロンドンのインド省が手形を売却し、代金として金を受け取り、銀行に保管。
2)輸入業者は、インドの商人(輸出業者)に代金として手形を送付し、手形を受け取ったインド人業者は、インド政庁から決済金を金で受け取る。
3)結果的に、インド政庁がインドで集めた金に相当する額が、英国の銀行に本国費として移転される。

というものです。本国費相当分以上の手形決済を行った場合(1904年以降)、輸出決済金はインド政庁から英国の銀行に移転され、インド政庁の資金はインド国内から集められたものですから、全体として、インドの資本が英国に流出した、という理屈になるそうです。しかしこれは、三國氏の言うような、「インドが輸出で稼いだポンドをイギリスの銀行に預けた」という話ではありません。金為替本位制導入以前から、そういうことがあったのかも知れませんが、残念ながら「インドとイギリス」には、上記以外の資本移転の記載はありませんでした。

 ところで、インドの金為替本位制については、神武庸四郎・萩原伸次郎著「西洋経済史」p124に多少詳しい記載があり、それは、上述の吉岡本の記載とは2点異なっています。

 神武本では、金為替本位制は、1873年以来の世界的銀暴落によるルピー下落対策としてインドにおける銀貨の自由鋳造を中止し、金-ルピーとポンドの為替レートを市場レートよりも高めに固定させたところ、通貨不足となってしまったので、ルピーの通貨供給量を増やす為に導入された、とあります。決済の為にインド省が手形を出し、インド政庁が業者に支払う方式は吉岡本と同じですが、神武本では、インド省が受け取る代金は、「ポンド」であり、インド政庁が業者に支払う代金は、「ルピー銀貨」となっています。

 「金融と帝国」も参照したのですが(p70)、結論としては、吉岡本に記載のある「手形を金で購入」は恐らく誤認で、神武本の「ポンドで購入」が正しいものと思われます。

 もうひとつ吉岡本との相違は、吉岡本には金為替制度の説明が不足している点です。黒字超過なのに金がインドに流出しなかった理屈は神武本では下記のような説明となっています。

 一定の為替変動枠(基準の固定レートに金の輸送費を加算したもの)を設け、その範囲を突破した場合、金実物の移動が起こる(ルピー高の場合、インドに金が流入、ポンド高の場合はその逆)というものですが、実際に、変動枠を突破してルピー高となった場合、例えば次の原理が働いて、変動枠に収まる仕組みです。

1)仮に、金固定レート=1ルピー=15シリングの場合、為替相場が15シリング=0.9ルピー(ルピー高)となり、金の輸送費が0.1ルピーかかるとします。
2)ロンドンにて0.9ルピーで金を購入し、インドで1ルピーで売却すると0.1ルピー差益を得るものの、輸送費に0.1ルピーかかっているので、儲けは特にありません。
3)ところが、15シリング=0.8ルピーとなると、インドで1ルピーで金を売却して輸送費0.1を払っても0.1ルピー儲けが出るので、一見よさそうですが、この時点で儲けたルピーで割安のポンド通貨を購入する動きが出てきてポンド高に動くので、結局は「変動幅」内に収まります。

 さて、「金融と帝国」を参照すると、神武本にも不足点があることがわかりました。それは、手形決済を行っているのは、業者ではなく、決済銀行だということです。この点、吉岡本には、「商人」と書かれていて、インドから輸入している、直接取引に関わる商人だと思ってしまうのですが、実際は、決済銀行なので、世界各国とインドの間の殆どの取引をポンド決済している銀行なのでした。これは重要な記載なのに、ここでご紹介している他の本に記載が無いのが不思議です。殆どのインドの取引をロンドンの銀行で決済しているのだから、インドの貿易黒字全体に対して「インド省手形」が利用されたことの説明がつきます。
 
 それでは、三國氏が下記に記載するように、「インドの資金がイギリスに留め置かれた」のでしょうか?

 「輸出で稼いだ黒字はポンドのままイギリス国内に貸し置かれたから、インド国内には輸出代金を持ち込んで使うことができず、金が回りにくくなっていた。もし、植民地インドが貿易取引で得た輸出代金をルピーにかえて持ち帰る、すなわち資本輸出をしなければ、インド人の生活向上に使うことができたはずだったが、それもできなかった。資本輸出によってインド国内の需要を減らしたことがデフレ要因ともなった(p82)」

 半分は当たっていて、半分は間違いだ、と言えそうです。

 神武本・「金融と帝国」の解説するメカニズムによれば、「黒字」の場合はルピー供給が増えるので、インフレになる理屈ですし、そもそも通貨不足(デフレ)対策の為に金為替本位制が導入されたことになっているます。つまり、インドの通貨不足は解消に向かった筈なのです。インド省の無制限手形発行が、インド政庁による、ルピー銀貨の連動発行(インド政庁の持つ金本位準備金の範囲内で)となったからです。この点については、三國氏の指摘は誤りだと思います。

 他方、インド省に支払われた手形代金のポンドは、本来インドに送付される筈の金なので、インドの資本が英国の留め置かれた、という指摘は正しいことになります。


 ここまでの内容についての私の理解は、下記の通りです。

1.幾つかの誤認はあるものの、英国が対インドについて「通貨膨張政策」を取ったことは間違いない
2.英領インドではデフレは対策されていたので、この点は三國氏の誤認
3.通貨膨張政策を取ったものの、ルピー・ポンド間のレートは、一定の変動幅を持った固定相場であり、通貨供給増大による大幅なルピー安にも、対貿易黒字によるルピー高にもならず、「変動幅」内で維持された。
4.金為替本位制のメカニズムとは別に、インド人が預金をイギリスの銀行にポンドで預けることはあったかも知れず、その内容は三國本の巻末の英文資料のどれかにあるのかも知れないが、今回参照した書籍では誰も言及していない。
5.イギリスに留めおかれた資本は、一部はインド以外の投資に使われ、一部は、インドへの投資(ただしイギリス企業(鉄道など)に消費された。この点で、「インド人が自由に使える資本では無かった」という点については、三國氏の認識は正しい。しかしその実態は、円高介入の為の外貨準備や、対外ドル資産投資のような現在の日米関係とはまったく異なっている。
6.インド人は金本位制を希望し、これに対して英国は金為替本位制を強行し、英国からの金の流出を防いだ点も、言葉を返せば「インドからの金流出」と言えなくも無い。しかし、産業成長率が金の供給を上回る場合、デフレとなりうるし、仮に金が供給され続けた場合、ルピー高が輸出低下となる可能性があったわけで、英国の金為替制度政策をインド窮乏化政策と言い切ることはできない(本国費と対英赤字は、明らかにインド人から見ると窮乏化政策といえるが)。

 全体としては、現在の日米関係と似ている側面もあるものの、原理はまったく異なっており、当時の英印関係を無理やりこじつける為の牽強付会のように思えます。


 その他下記2冊も参照しましたが(近所の図書館にも無かったので本屋でざっと確認しただけだけど)、有益な情報はなさそうでした。

「パクス・ブリタニカと植民地インド―イギリス・インド経済史の《相関把握》」
イギリス帝国とアジア国際秩序―ヘゲモニー国家から帝国的な構造的権力へ

 書店や図書館で見つけることができなかったので、参照はしていないのですが、
国際金本位制と大英帝国―1890‐1914年」という書籍も有用そうです。
 
 なお、こちらの「THE PROBLEM OF THE RUPEE:ITS ORIGIN AND ITS SOLUTION (HISTORY OF INDIAN CURRENCY & BANKING)」というサイトはこの時期のルピー問題を扱っているので、いづれ詳しく読んでみたいと思います。

 更に、こちらのサイトに、「黒字亡国」の感想が記載されており、その中に、「もちろん、ポンドの価値は大暴落、英国は没落して、ついでにインド人の預金もフイになってしまった」 という、ポンドの価値減価による、資産圧縮の主張がありますが、「黒字亡国」の中には該当する記述はありませんでしたし(見落としの可能性もゼロではありませんが)、そもそも、こちらの1948年以降のルピーとポンドの為替レート表を見ても、1965年までポンドとルピーは固定されており、その後はルピーが下落しているので、現在の円高によるドル資産の圧縮のような現象は発生していません。

 この件は(資本移転によるインドのデフレ)今後も調べ続けようと思っていますが、現時点では、三國説と、「黒字亡国」に基づいたネット上の英領インドに関する言説は、いい加減な歴史ネタであるように思えるのでした。

 
 ところで、尖閣諸島の船長逮捕問題はなんだったんでしょうね。個人的には、中国を悪者にして、国民の目を日米同盟の重要性に向けさせ、普天間問題の希薄化を狙う良いネタだと思っていたのですが、なんだかまったく無駄な意地をはっただけに終わりそうな感じで残念です。転んでもただでは起きない、くらいの姿勢でやっているのかと思っていたのですが、"領海侵犯"で旧ソ連に拿捕された北海道の漁民の扱われぶり同様、仮に本当に「粛々と対応しただけ」だったとしたら、ちょっと空気が読めていないような気がします。因みに、船長帰国で、日本向け旅行者が復活するのでしょうか?9月に入ってから上海万博の入場者数が激減していて、目標の7000万人到達に黄色信号が灯ってきたので、中国側としても、この機会をうまく利用して7月にビザ緩和した日本への旅行者低下->上海万博の増員、を目論んだのかも、と思っていたのですが、「中国の圧力に屈した」としか見えない結果となり、中国側は思わぬ収穫だと思っているんじゃないかなー。面倒になることはわかりきっていたのだから、小泉さんの頃のように、「あんたたちうるさいから機械的・事務的にさっさと返してるだけなんだよ」という印象を与える態度の方が良かったのではないでしょうか。
[PR]

by zae06141 | 2010-09-24 23:54 | その他歴史関係 | Comments(4)

iPadでインヴォイスシステムの導入をしてはいかがでしょうか

 参院選挙が終わってしまったらすっかり下火となり、民主党の代表選では全然論点となっていないようですが、現在の消費税を巡る論議でわからないのが、「議論・検討を開始する」ということが=「「4年間は上げない」とした公約に違反する」となってしまっているように思える点です。昨年の衆院選挙で「4年間は上げない」ということと、「4年後以降の導入を見据えて今から議論・検討を開始する」ということは別だと思うのですが。。。。

 付け焼刃で導入すると穴だらけなものになりかねないので、いずれは上げざるを得ないものなら、4年後以降の導入だとしても、早めに議論を開始した方が良いと思うのです(もちろんその間公益法人や官庁の無駄削減を徹底していただく前提で)。そういうことをしていないから、参院選での菅首相の10%発言のような根拠を自民党に頼るような頼りない発言が出てきたり、急に総裁選を迎えることになった小沢氏のように、数的根拠が曖昧な「剛腕」頼りの言動しかできず、彼を首相にすることは危険な賭けににしかならないようになってしまっているように思えます。

 今後の消費税率アップ時は、所得控除や仕入れ額を用いた一括計算よりも、物品毎に税率を変えることが可能なようにインヴォイスを導入して欲しいと思っています。欧州と同様に生活必需品に関しては低く抑えるようにする方が余程逆進性を抑えることができるのではないかと思うのです(欧州では標準税率20%程度ではあっても、食料品などは5,6%の国が多い。Wikiにデータあり)。

 インヴォイスの導入にあたって障害となるのは、品目毎に税率が変わる為、手間がかかることとされています。1989年の導入時には、今程IT化が進んでいなかったということで理解できますが、IT化とインターネット決済が普通に行われるようになった現在とは大きく異なります。更に、お年寄りが家族経営している商店・小規模経営企業などの場合、ITの強制導入は、ご老齢の方がコンピュータを使うのが困難だ、という点も指摘されてきたかと思うのですが、iPadが70歳近いお年寄りにも売れているとのことですし、実際私も触ってみて、この点はクリアできそうな気がします。

 となれば、iPadのような汎用製品を用いてインヴォイスに対応するシステムを全国に導入すれば、コストも安く住み、零細企業には補助金で教育含めた導入を促進すれば良いように思えます。時間が経つ程IT対応可能者が老齢の小規模経営者に占める割合が増える筈ですから、それを見越してシステム化と抱き合わせでインヴォイスの導入を検討しても良いのでは無いでしょうか。

 既にiPadのような製品は、アップル社以外からも発売されることになっているのだから、アップルの独占とはなりません。システム導入にあたっては、IT業界を儲けさせる為のネタ(私はIT業界の者)という批判もでるとは思いますが、インヴォイス導入の障壁となっているコストパフォーマンスをクリアするにはITが一番有効なのは明らかですし、SOX法の導入でもIT対応が必須であり、一部のIT企業を潤したことを思えば、今更IT業界への批判でインヴォイスの導入を否定することは意味が無いように思えます(ちなみに私の勤め先は消費税関連製品は扱っていないので、直接儲かることにはなりません。業界全体のおこぼれは受けるとは思いますが)。

 ま、単なる思い付きですが。

 ところで、ノルウェーという国は、石油と天然ガスを豊富に産出することから、国内電力も石油資源でまかなっているものと思っていたら、国内の電力の95-107%(年によって異なる。各年度の出典は「最新ドイツ事情をしるための50章」p161)は水力発電で、石油と天然ガスは殆ど輸出しており、純益として積み立てられているのですね。なんてうらやましい。。。。。

 こちらの欧州連合の統計では、EU各国の再生可能エネルギー率が、「全体」「電力」「暖房」と分かれており、電力に占める割合では、2008年時点でオーストリアは60%、スウェーデンで50%を超えているのに驚きました。20%を超える国も多数ありますね。主要国では、ドイツとフランスが14%、英国が5%、イタリアで16.6、スペインでは23.3%もあります(人口密度を考えれば英国以外は妥当な結果かも)。わが国の場合は、同じ2008年度でたったの3.2%。。。。資源小国日本でこんな数字でいいのでしょうか。。。。ひょっとして石油や天然ガス企業が抵抗してるのかしら。と訝ってしまいます。。。。(なぜならば、2008年に電力に占める割合が5.4%の英国にはブリティッシュ・ペトロニウムが、7.5%と同じように低いオランダには、ロイヤル・ダッチ・シェルがあるからです)。

 何か日本にも有望な資源は無いものかと探してみたら、メタンハイドレートという資源が日本近海海域にあることを知りました。しかし、こちらのWikiの説明には否定的なことが多数記載されています。こういうのも事実かも知れないけど、なんか、石油・ガス関係者が既得権維持の為に書いているのではないだろうか、と疑ってしまいますね。。。。(参考:メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアムのサイト
 

 最後。政府に限らず、無駄の削減には、社会全体が、「予算を使い切らないといけない」と言う発想自体を改めることも必要なのではないかと思っています。私の勤務先も、年度末になると、この発想の恩恵を受けて、オーバースペックの製品をご購入していただいているのではありますが、やはりおかしいと思います。民間企業はまだいいとしても、公的機関・組織・企業や独立行政法人などでは、まずこの発想を改める仕組みが必要なのではないかと思うのでした。
[PR]

by zae06141 | 2010-09-10 22:16 | 雑記 | Comments(2)

書籍「ドイツ病に学べ」「「イタリア病の教訓」「ブレア時代のイギリス」

 あまりにも暑くヘタれています。海外のお天気ニュースを見ていたら、ジャカルタやニューデリー、バンコクやシンガポールよりも最高/最低気温とも東京の方が高くで驚きました。深圳市でも最高は32度程度(内陸の広州の方が暑い)、8月も10日を過ぎれば朝夕は気持ちのいい涼風が来て、夏が去るなと思ったものですが、今年は未だに夜の暑さも続いている状況。。。深圳市より夏は暑く、冬は寒いとは恐ろしいことです。

 前回、英米、オランダ、イタリア、スウェーデンなどの80から90年代の財政再建について各30ページ程でまとめた「世界の経済・財政改革」をご紹介しましたが、ドイツと、その後のイタリアはどのような状況なのだろうか、と探したところ、見つかったのが表記の2冊。「ドイツ病に学べ」は選書、「イタリア病の教訓」は新書なので、「世界の経済・財政改革」と同程度の概要書で、著者も経済の専門家ではない為、経済素人にはわかりやすい内容でした。良書とも、1995年頃から2006年頃までの10年間の経済・財政政策の概要を記載しています。専門書ではないのでもの足りない部分もありますが、それなりに表やグラフも多く、参考になり、今後の役にも立ちそうでしたので、これらも中古を注文しました。

 「ドイツ病に学べ

 日本と似たような、製造業中心の経済で、冷戦期までの自民党支配時代の日本のように、概ねキリスト教民主・社会同盟が安定政権であり続けているドイツはどのような財政状況・経済状況なのだろうか、が知りたくて読んだのですが、日本より厳しい状況にあり、構造改革に迫られながらも国論が割れて上手く進んでいない、ということがわかりました。興味深かったのは下記の点。

1.西ドイツでは、1972年以来既に「ドイツ人」は減少に入っており、90年代は年間30-78万の移民を受け入れていたが、90年代中頃に移民を制限した為、2003年以降は移民を含め、人口が減少している
2.日本以上に年金・福祉負担が重く、高福祉で、財政は火の車。なかなか改革できない。この強固な社会保障制度の基はビスマルクが導入した、受験にも出てきた社会保障制度だというのも驚き。
3.ナチスが導入した「値下げ禁止法」が2001年まで生きていた(p132)というのも驚き。

4.労使協調型経営(英米よりも日本に近い、会社は社員のもの、という感じ。恥ずかしながら「社会的市場経済」という言葉を初めて知りました)と規制の多さ。アングロ・サクソン流経営や英米流グローバリゼーションへの違和感・抵抗感(投資会社をイナゴに喩えて非難する論争が2005年にあったとのこと。日本での「ハゲタカファンド」への拒絶感に似ている)
5.東ドイツの急激な年収上昇率が(東西統一の呼び水とした1西ドイツマルク=1東ドイツマルクでの交換に原因がある)、生産性上昇率を上回ってしまい、イタリア・日本並みの労働コストとなってしまった為、東ドイツをスルーしてポーランド・チェコに仕事が出されるようになった、
6.ポーランド人の出稼ぎ労働者が行っているアスパラガスの収穫を、ドイツ人失業者4000人に対して行うか、と質問したところ、100人のみが実施し、しかも最後までやり遂げたのは皆無(p73)という話(裕福国民が軟弱化するのはどこも同じかも*1)。

7.「サラリーマンAさんの給与明細」(p109) 可処分所得が低い為、ドイツが成長するには外需依存度(2008年GDP比39.9%)を高めるしかないことが良くわかりました。
8.2003年ドイツのジニ係数は0.257で日本の0.3986より低いが、スイスなどタックスヘイブンへ逃れている富裕層が多い(タックスヘイブンへのドイツの徴税強化の記事の背景がよく理解できた)
9.1998年から2005年の社会民主党のシュレーダー政権は社会保障制度改革(年金・失業・健保。両親援助金(p188)などは民主党の子供手当てに似ている)など競争力を高める構造改革を始めたが、国民の不評を買って政権を降りることになった。興味深いのは、2005年9月18日の連邦選挙では、キリスト教民主・社会同盟の選挙区得票率は40.8%、SPD38.4となり、今年の日本の参議院選挙での民主と自民の選挙区得票率38.97、33.38%と、第一党が過半数を取得できず、更に第二党に迫られている共通点。更に興味深いのは、選挙戦中にメルケル氏が「有権者に対する正直さ」を重視し、「付加価値税(日本では消費税に相当)を引き上げる」と発言し、「メルケルが首相になっても、構造改革路線が継続される」ことを有権者が知ってしまい、得票率を大きく減らしたとされている点。消費税発言をしたり、昨年9月の衆院選時のマニフェストから現実路線に舵を切ってきた民主党政権と似ている感じ。

 本書は、執筆時点で在独16年になる元NHK職員の著作である為、ことさらに日本の課題に即した事柄を強調しているようにも思えますが、先進産業の構造や社会構造が代わっても先進国でい続けたいのであれば、構造改革は必要だと思います。とはいえ、日本も上手くいっていないのと同様、ドイツでも、2009年9月27日の選挙では、改革路線が後退し、既存大政党に満足が得られない結果となっている点も似ているように思えました(そういえば、アングロ・サクソン資本主義本家の英国でも今年の選挙では労働党と保守党とも過半数割れしていますね。。。)

 ところで、私は「30歳以上の子無し独身者には消費税15%でもいいのじゃないか」と思っていました。可処分所得が多いのは事実だし。将来の年金財源(子供)に貢献してないし。と思っていたら、ドイツでもそうした論議は行われているようですね。

「「子供いがいない市民は、将来の年金制度の維持に貢献しない。この為、子供がいない市民に対しては、年金を減らしたり、年金保険料を増やしたりしないと不公平だ」という声が出始めている(p125,関連p186)」

 何か日本の参考にならないかと読み始めた本書ですが、ぜんぜん希望は得られませんでした。とはいうものの下記ミュンヘン大学の研究者の言葉は印象に残りました(p201)

 「この国では、アングロサクソン流のネオリベラル的な政策は、過半数の支持を得ることはできない。グローバル化の時代に社会的公正をどのように実現するのか、という市民の問いかけに対して、二大政党は答えを出すことができなかった」

 第二次メルケル政権でもその答えは出ていないようですし、日本は今後より深刻に悩み続けることになるのだと思います。中国や米国という大国や中東やロシアなど莫大な資源を持つ国々の狭間で、似たような性質と来歴を持つ中堅国家同士がお互いに参考にしながら自国の良さを保ちつつうまく構造改革に立ち向かえるようになることを祈っている次第です。
 
*1 雨宮処凛「プレカリアート」「第5章 就職氷河期世代の逆襲!―超世代座談会」では、団塊世代の主婦(61歳)、25歳の勝ち組企業OL、赤木智弘達氏含めたフリータの2名の座談会において、団塊世代主婦が、「新聞の広告欄に「鳶募集・寮完備・未経験者歓迎」といった待遇のよさそうな働き口は結構あるじゃないか」と水を向けると、フリータ2氏が「〈職人の世界って独特な体育会系の雰囲気じゃないですか」と返し、団塊主婦が「何を言ってるの!?」と絶句するところが出てくる。また、フリータ氏が「格差の固定を避けるために、収入のある正社員の女性はフリーターの男性と結婚すべき」で、「家庭に入って家事や育児をする権利を男性にも認めてほしい」(p.168)ということを主張すると、勝ち組OLは「璧な家事のプロでなければ駄目」と返すのに対し、「僕は実家暮らしが長いので、家事全般は余り得意ではありませんね(笑)」(p.177)となるのであった(「プレカリアート」書評)。

 「イタリア病の教訓

 英国病、日本病という言葉もあったし、どこもかしこも病ばかりという感じ。冒頭でいきなり「停滞の10年」と出てくる(「ドイツ病に学べ」でも「失われた十年」という言葉が出ている。p127、統一後の10年間を指す)。90年代半ばに財政再建し、GDP成長率も1-3%の間にあったのにどうして?と思ったが、これは、96-2006の間の成長率が、常に0.5%EU平均を下回っており、更に2000年以降0%スレスレを何度も経験し、2002年以降一人当たりのGDPはEU平均を下回り、2006年にはほぼスペインと並んでしまったことにある模様。その背景としては、労働生産性成長率(IT化の遅れ)の低さ、繊維・靴など中国などと競合するローテク産業に比重が高い(これをイタリアでは「間違った産業構造」と呼んでいるとのこと)ことが挙げられ、90年代後半せっかく立て直した財政も、2001年から2006年までのベルルスコーニ政権下ですっかり取り崩され「イタリアがアルゼンチンと同様の結末を迎えるリスクは増大している」と新聞にも書かれている状況とのこと(「アルゼンチンにとってみれば、破滅に向かいそうな国を論じる際にいつも引き合いに出され、いい迷惑であろう」という記載には笑ってしまった)。

 しかし読み進めて行くと、病にしては、日本やドイツ程の深刻な感じはしないのでした。2006年に脱税で失われた税収はGDPの8%(p125)と見られており、この半分でも摘発できれば、4.1%の財政赤字は解消してしまうと見られているとのこと。政府が脱税対策を口にすると、「増税反対」と市民は叫ぶそうな。

 「イタリアの予算編成の特徴を50字以内で述べよといわれたら、「連立各党が存在感の発揮を図るため混乱するが、あまり赤字を出すとEUから糾弾されるので破綻を免れている」」(p130)

 とあり、赤字を出しすぎたベルルスコーニ政権が終了し、「(EU向け)財政再建政権(プローディ首相)」を発足させ、本格的な構造改革までいけないまま、とりあえず財政が回復すると、2年余りでベルルスコーニ政権に戻ってしまう。。。。。

 イタリアは従業員数10名未満の零細企業に勤める労働者率は47%(英27、仏22、独21)と、文字通り「家族経営」が多く、本来なら、大規模化、IT化して構造変換を計るべきところが、国際的ブランド力を利用して、高級消費財へシフトすることに成功しつつあり、p173掲載のグラフでは、世界の輸出市場におけるイタリアのシェアは、数量ベースでは一貫して低下している一方で、金額ベースでは横ばいになりつつある状況を示しています。抜本的な改革を回避し、大枠の経営形態を残しつつ、地道なレベルで改善している模様。

 これが一時的な先送りで終わってしまうのか、イタリア的な「グローバリゼーションへの対応」なのかは今後を見ないとわからないことですが、比較的まじめに税金を納め、まじめに統計を出すドイツと比べると、イタリアの病は遥かに気楽そうに思えたのでした。

 著者は財務省の官僚であり、本書出版時(2007年5月)はイタリアの日本大使館勤務とのことですので、財政再建を重視するバイアスがあるかも知れませんが、「イタリアといえども基礎的収支の黒字は財政運営に際しての当然の前提と見られており、日本のようにこれを目標とする発想は無い」という指摘は重要なので、本当にそうなのか機会を改めて調べてみたいと思います。とはいえ、仮にそうだとしても、EUのような外圧であれ、財政運営指標をきちんと持つことは重要なのだと思うのでした。

 しかし、この人は、結構文章力があるように思えます。「あとがき」の冒頭

 「はっきりいって、イタリアのマクロ経済・財政などに関心を持っている日本人は、そう多くないだろう」 

 はい。その通りかと思います。貴重な情報、結構楽しく読めました。ありがとうございました。

 


ブレア時代のイギリス

 ブレアが進めた政策の特徴は全体的にわかるものの、財政・経済政策について「世界の経済・財政改革(2001年出版)」に記載のある3ページあまりの記載よりもわからなかった。そういう本ではないので仕方が無いけど。1期目は国債を増やさない方針を採った、とあるが、具体的にどのように差配したのか知りたかった。1期目と2期目の施策も区別して書かれていない為、1期目のどのような成果が評価されて2期目を迎えることができたのか、下記のような期待を持たせる文章があったため、余計残念。

 「しかし、ブレア労働党は、政権を獲得した暁に何をしたいかというアイディアを豊富に持っていた。そうした政策の展開は、労働党政権を10年続けるという周到な計画の中で、準備されていた。一期目の後半から二期目にかけて、そうした政策が花開いていくのである(p23)」

 ところで、「世界の経済・財政改革」p90には、ブレア政権の財政規律について、「80年代末に循環的な黒字を構造的な黒字と誤認した結果が景気過熱を招いた経験」に基づいて導入された、とあります。フロックのような税収増を構造的増収と取り違えた安部政権に煎じて飲ませたい内容。

 どうでもいい話ですが、シュレーダー氏もブレア氏も小泉氏も党内異端児という共通点があるとは知りませんでした。あと、菅首相がテレビで、「雇用、雇用、雇用」と演説しているとき、偶然にもブレア氏が「教育、教育、教育」と主張したくだりを読んだのは面白い偶然でした(菅首相はNHK出演時、ブレアを意識した、と言ってました)。


 最後になりますが、また首相交代になりそうですね。
個人的には小沢さんにやっていただいても良いかと思います。菅首相は自らも公言している通り、「まだ3ヶ月」で「これから」なので、小沢さんが登板して、仮に失敗したら、その後登板しても良いのではないでしょうか("次"は前原さんとか岡田さんが騒ぎそうだけど)。「カネ」の問題にしても、もし小沢さんが日本経済の再生に成功したら、その報酬としては少ないくらいな額じゃあないでしょうか。ゴーン社長でさえ8億ももらっていることですし。とはいうものの、政府資産の証券化について「まだ詳しく試算もしてませんが(昨晩のNHK出演時」というのはいかがなものでしょう。いくら剛腕でも、本気で必要だと考えている政策(のひとつ)について今の段階で準備不足というのはありえないのではないでしょうか。「壊し屋」という異名があるくらいだから、無思慮に剛腕を発揮していただいて、小泉さんのやった"自民党"どころか、「日本をぶっ壊す」くらいやれば、既得権層に不満を持つ人々が新しい日本を作るかも知れないから、それはそれでいいかも。
[PR]

by zae06141 | 2010-09-04 21:26 | 世界情勢・社会問題 | Comments(4)