古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
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カテゴリ:その他歴史関係( 56 )


2017年 最近のサイト記事更新(2)

前回に続き今回も最近の細かいサイト更新履歴です。

6.アエリウス・ウィクトル関連 

 アエリウス・ウィクトル(320‐390年頃)の著作は一冊だけだと思い込んでいました。現在上智大学のアウレリウス・ウィクトル研究会が翻訳しているのは、『Liber de Caesaribus (皇帝列伝)』ですが、いままで、これと『Epitome de Caesaribus(皇帝史略)』をごっちゃにしていました。史書史料一覧を修正しました。

 また、ピーター・ガーンジィ著『古代ギリシア・ローマの飢饉と食糧供給』の14章、p301に記載されている『ローマ概略史』は、『Epitome de Caesaribus』ですが、ここで記載のある2000万モディウスの出典部分1章6節を見ると、ラテン語原文でも英訳でも2億と読めます。10倍の違いがあります。もしこれが正しいとすると、この前後の論証の土台が崩れることになってしまいます。この部分の注記を「帝政期の都市ローマの人口と4世紀のコンスタンティノープルの人口推計の算定根拠」の記事の穀物輸入量の部分に追記しました。

7.ローマ時代の属州の徴税

 長谷川博隆『古代ローマの政治と社会』(2001年、名古屋大学 出版会)をもとに、属州の税制について「古代ローマ帝国の人口・財政・官吏・役人などの各種データ」の記事に追記しました。属州ごとに違っている様子がよくわかりました。

8.アケメネス朝を扱った古代ギリシア戯曲 アイスキュロス作『ペルシア人』

こういう戯曲があるとは知りませんでした。アケメネス朝時代、サラミス海戦で敗れた後のアケメネス朝ダレイオスと王妃アトゥサ、クセルクセスが登場する短い戯曲です。Wikipediaに記事がたっています(こちら)。昭和元年以来何度も邦訳がでています。1925年版と1927年版は、著作権が切れているのでいずれ国会図書館デジタルコレクションで公開されるのではないかと思います。イラン世界の映画・小説のリンク集に追加しました。

9.古代ローマ時代の学校教育と子供の世界

古代ローマ時代の学校教育と子供の世界の研究書を見つけました。アンリ・イレーネ・マルー『古代教育文化史』(原著1948年・邦訳1985年)と『世界子どもの歴史 第二巻 古代ギリシアとローマ』(1985年)です。この本を、「帝政ローマ時代の生活」のページに載せました。
 以前、「最近アマゾンで古書を買うと、その後の出品価格が下落することが続いている」と記載しましたが、最近、半年待っても下落しないので『古代教育文化史』を5500円で購入したところ、その2ヵ月後に3680円で出ていました、、、、。もうこうなると、高額の本は誰かをそそのかして買わせて下落するのを待つ、、、という作戦に出たいのですが、どうやったらいいかわかなくて悩んでます。。。。

10.漢代の飲食

林巳奈夫氏が京都大學人文科學研究所『東方學報』、1975年12月、48号)に掲載した、出土した飲食物遺物を分析・検討した論説のリンクをリンク集漢代の生活のページに追加しました。



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by zae06141 | 2017-04-24 00:10 | その他歴史関係 | Comments(0)

2017年 最近のサイト記事更新(1)

 最近記事にできそうな調べものが減ってきてしまいました。普段コピーの裏紙とかアマゾン配送伝票の裏紙とかをメモに持ち歩いて、何か頭に浮かんだ疑問に思ったことを即座に書き留めておいて、余暇に調べて過ごす、ということをしています。現在そのメモは既に数十枚に達していて、膨大な調査事項があるのですが、ちょっと調べて適量の記事になるような、記事にしやすい、適度な調査事項はあらかた調べつくしてしまいつつあります。残るのは、例えば「明朝最盛期と清朝前半期の人口1億5千万-2億人説の由来(史料と推計値の算定根拠)」のような、調べるだけで(一日の実作業時間8時間として)実働4日、記述をまとめるのに実働2日かかるような負荷の高い事項か、或いは逆に、検索して数分、図書館で調べても15分程度でわかってしまうような、わざわざ記事にすることも無いような事項の、両極に分かれつつあるのが最近の傾向です。というわけで、今回と次回は、単体の記事になりにくい、ちょっとした記事の追加や修正をいくつかまとめて更新履歴として載せることにしました。

1.ローマ領土内でのユリウス暦の浸透

古代地中海世界のダイナミズム―空間・ネットワーク・文化の交錯-桜井-万里子編』(2010年、山川出版社)所収、志内一興著「イガエディアニ人に贈られた日時計」という興味深い論考があります。ユリウス暦のローマ帝国領内への浸透具合に関する論考です。「古代地中海世界の暦について」の記事に紹介文を追記しました。

2.クシャン朝の王閻膏珍の閻の意味

クシャン朝の王、ヴィマ・カドフィセスの『後漢書』の表記「閻膏珍」が、どうして発音的に「ヴィマ」なのかずっと疑問だったのですが、閻は、閻魔大王の閻で、閻魔は、ヴェーダ語でYama、漢語中古音のyemだと気づきました。つまり、ヴィマはYama=閻魔のことで、発音・意味ともに、『後漢書』に登場する閻膏珍は正確な表記なのだと理解しました(たぶんあってるのではないかと思います)。一応以下の記事に追記しました。古代イラン史学史(4) 20世紀前半の歴史学・20世紀中頃までのクシャン朝研究史

3.1世紀ローマの風刺詩人マルティアリスの邦訳があることを知りました。リンク集に追加しました(『マールティアーリス詩集』大学書林,1964年等)。

4.古代ローマの学校の史料

私は身近なものにまず興味があるのですが、古代ローマの学校の様子についてもずっと知りたいと思っていました。いままで結構な数のローマ遺跡を訪問してきましたが、学校の遺跡は見たことがありません。以前、9世紀のビザンツを描いた映画『コンスタンティン・フィロソフ』で小学校の映像が出ているのと、小説『カイウスはばかだ』で小学校の様子が非常に詳しく描かれていることから、改めて出典を知りたいと思っていたところ、
H.I.マルー著『古代教育文化史』第三部で断片的な史料を駆使して、当時の学校教育の内容と学校の様子を明らかにしている部分を読むことができました。史料そのものではなく、マルーの書籍の当該箇所の案内を古代地中海世界の書物の記事に追加しました。マルーの『古代教育文化史』(原著1947年、邦訳1985年)は恥ずかしながら書籍の存在を最近まで知らなかったのですが、この手の書籍が他にあまり見られないのは、マルーの本書が決定版だからなのではないか、と思いました。本文中に出典史料箇所が都度記載されていて読みやすく、現在少しづつ読んでいます。第一部古代ギリシア約110頁、第二部ヘレニズム時代約160頁、第三部ローマ時代約140頁合計約550頁ある大著です。多分、ローマ時代の部分は今月中くらいには読了できるのではないかと思います。

5.ローマ時代の識字率

本村 凌二氏の「ローマ人の読み書き能力」( 『書物の言語態(シリーズ言語態3)(宮下志朗・丹治愛編)』p31-50)という論説が興味深く読めました。いちおう
古代地中海世界の書物の記事にリンクと簡単な解説を追加しました。古代のローマ人にとっての識字力とは、以下のような簡単な英語を読むのに近いのだ、ということがわかりました。アルファベットさえ覚えれば読めるのだ、というこれまでの先入観を覆されました。識字率という言葉は、識字率(名前の読み書きができる程度)と識文率(文章が読めるレベル)とにわけて定義すべきではないのか、と思うようになりました。今までラテン語を勉強しようとして、テキストの最初の10ページで挫折する、ということを何度も繰り返してきましたが、簡単な碑文を読解する、というところに焦点を絞ると、案外少しは続けられるのではないか、というような気もしています。

ITCOULDBEVERYHARDTOREADLATININSCRIPTIONANDTEXTFORA.R.P.EVENFURTHERFORJP

次回に続く

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by zae06141 | 2017-04-14 00:33 | その他歴史関係 | Comments(0)

突厥同時代史料『キョル=テギン碑文/ビルゲカガン碑文/トニュクク碑文』、メナンドロス・プロテクトールのビザンツー突厥使節記訳注の掲載場所

 今回の記事は、国会図書館の遠隔服複写サービスを利用したい方向けの情報です。

 突厥の同時代史料である、東突厥代第二帝国の可汗、ビルゲ可汗(在716-734年)と彼を補佐した1歳年下の弟のキョル・テギン(731年没)、更に同時代の高官のトニュククの三つの碑文の邦訳が、1943年刊『満蒙史論叢』第四巻、小野川秀美訳注「突厥碑文譯註」にあります。本史料は、突厥自身が自ら刻んだ同時代史料の中の最長のものとして突厥史最重要史料のひとつです。「突厥碑文譯註」は『満蒙史論叢』4巻のp249-425頁です。249-50は論文扉頁とその裏頁なので、実質251頁からの開始です。内訳は以下の通りです。

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by zae06141 | 2017-04-04 00:14 | その他歴史関係 | Comments(0)

匈奴と突厥の暦

前回の突厥の石碑一覧の記事作成時の当初の目的であった、匈奴と匈奴の暦や祖先の業績の記録は一応見付けることができました。




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by zae06141 | 2017-03-26 00:29 | その他歴史関係 | Comments(0)

突厥碑文邦訳一覧とリンク

匈奴と突厥の暦と祖先の業績の記録方法について調べてたところ、突厥自身が作成した碑文が意外に邦訳されていることを知りました。Wikipediaの突厥碑文の記事に碑文一覧があるのですが、訳文の箇所がわかりにくいので自分のメモのためこの記事を作成しています。また、Wikipdiaの突厥碑文一覧(本日時点)に掲載されていない碑文とその邦訳もあることを知りました。

突厥碑文訳にはいろいろ参考になったことがあります。




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by zae06141 | 2017-03-16 00:09 | その他歴史関係 | Comments(0)

最近見つけた書籍の話など

久しぶりに池袋ジュンク堂書店にいってきました。
2-3年前の出版であるにも関わらず、いままで出版されていたことを知らなかった書籍を多数見つけました。新宿ジュンク堂書店が閉店してからは、ブックファーストや紀伊国屋本店にいくことが多くなりました。その頃の紀伊国屋本店は、書籍の扱い方が雑な印象があり、あまり行かないようにしていました。しかし、しばらくすると紀伊国屋本店は大幅に改善しました。これは私の推測ですが、新宿ジュンク堂書店の店員の一部が、紀伊国屋書店に流れたのではないかと見ています。大きさの上では1000坪のジュンク堂新宿店より、ブックファースト(1090坪)や、紀伊国屋本店(1434坪)書店の方が広いのですが、本の種類は、ジュンク堂新宿店の方が圧倒的に多い印象がありました。やっぱりジュンク堂が好きなので、ここ2-3年は、丸の内オアゾ店にいくようになっていました。オアゾ店は、交通機関的に出やすいのと、駅上にあるので行き易いためです。池袋店は駅から少し歩くのも面倒です。雨が降っていると更に避けたくなります。




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by zae06141 | 2017-03-06 00:45 | その他歴史関係 | Comments(0)

清朝バロック建築「北京圆明园(圆明园,円明園)」の復元建築物の画像

 清朝前期北京の宮廷に建設された円明園には、乾隆帝時代に西欧バロック建築の影響をうけた建築物が幾つか建てられました。これらは1860年、英仏とのアロー号戦争で廃墟となり、現在では一部の土台とその装飾建築だけが残されています。中国国内には、各地のテーマパークに円明園の復元建築があるようなのですが、ネットで「円明園,復元」で検索して出てくる復元建築の画像は「遠瀛観」の画像だけのようで、他の建築物の画像はなさそうです。深圳市の中央部にある有名な「世界之窓」というテーマパーク(世界の有名建築物の巨大ミニチュアパーク)の東隣にある、「錦繍中華」という、中国国内の有名建築物の巨大ミニチュアのあるテーマパークに円明園の復元建築群があるので、その画像を掲載してみました(画像は2015年秋訪問時のものです。なお、記事を書きながら調査したところ、円明園で検索しても画像は出てきませんが「谐奇趣」、「远瀛观」、「海晏堂」と、建築物ごとの名称で検索すると画像が出てくることがわかりました。各地の復元建築や復元図は若干結構異なっていたりすることがわかります)。

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by zae06141 | 2017-01-10 00:08 | その他歴史関係 | Comments(0)

オスマン帝国歴史地図帳『A Hitorical geography of the Ottoman Empire』(1650年まで) ver2

ずっと探していた、オスマン帝国歴史地図帳、ようやく求めていたものに近いものを見つけました。探していたのは、オスマン帝国の地方行政区区画(州県)変遷図です。オスマン帝国の領土拡張ー縮小地図はよく見かけますが、州県地図は見たことがありません。しかも数百年という広域支配の間の州県統廃合などに変わっているはずなので、そのあたりを知りたいと思っていました。

州県変遷図まではありませんでしたが、1525年と1650年のバルカン半島の州県地図が掲載されており取り合えず満足です(小アジアの地図は、地図に年代が書いてないので不明です。次に図書館にいった時に確認したいと思います)。また、この地図はいくつか珍しい地図が掲載されています。地図帳紹介の記事を作成しましたので、ご興味のある方はこちらをご覧ください

※12/25 追記
ランゴバルド諸侯国前半期(カール大帝による征服以前)の政治通史史料パウルス・ディアコヌスの『ランゴバルドの歴史』の邦訳が30日に知泉書館から出版されることを知りました(こちら)。今年はカロリング朝の史料『ニタルトの歴史四巻』の邦訳(こちら)も同出版社から出ていますし、2010年にはカロリング朝史料『母が子に与うる遺訓の書―ドゥオダの『手引書』』(こちら)を出すなど、知泉書館だけの話なのか、日本の歴史ファンの間でカロリング朝が密かに人気なのか不明ですが、カロリング朝ブームが来るのかも知れません。最近古代末期の一環として7世紀西欧(仏西伊)の社会経済文化史に興味があるので、あまり政治史に興味はないのですが、パウルス・ディアコヌスの『ランゴバルドの歴史』は買ってしまいそうです。
 更にいえば、イタリア半島中世については、カール大帝以後、(オットー大帝の使節)リウトプランド以前の200年間の政治社会経済文化史にも興味があり、そのあたりの概説書すら日本語書籍ではなかなかないので、何か史料がわからないかと、仕方なく今年塩野七生氏の『ローマ亡き後の地中海世界』(上)の前半を読んでみたのですが、予想通りひっかかるところばかりでなかなか読み進められないということになりました。例えば、もっとも特徴的な例として、イスラム勢力がルーニというジェノヴァ南東の都市を略奪しているのですが、p105で849年に「ルーニはこれ以降廃墟のままで残る」と書いているのに、p185の1016年の事件のくだりで「ルーニは、ムシェットとその配下の猛攻を浴びて廃墟と化す」と書いています。思わず太平洋戦争中、昭和天皇が、「サラトガが沈んだのはこれで4度目だが」と苦言を呈したとかいうエピソードを思い出してしまいました(これ本当なんでしょうか。昭和天皇実録に載ってるのでしょうか?)。

一度廃墟となって復興して再度廃墟となった可能性もあるので調べてみたのですが、どうやらそうではなく、849年のは略奪だけで、860年にはノルマン人に略奪されているので、「これ以降廃墟のままで残る」という部分は塩野氏の修辞だと思われるわけです。こういう筆のすさびというか、文章に酔ったような極端な表現をするようなところが塩野氏の作品をあまり好きになれなくなってしまった部分なんですよね(ギボンについても同じですけど。まあどちらも文学なので当然ではあるのですが、、、All of them なのか、Some of them なのか、one of themなのか、80
%なのか60、40、20%或いは数%なのか、こういうところは印象に大きく影響するので文学でないならば、厳密に表現する必要があると思うわけです)。あと860年のノルマンによる略奪の記載を書いていないところなども気になるわけです。しかし、塩野氏の文章は、中世イタリア人側の史料に刻まれた「イスラム海賊の恐怖」をそのまま描いている、と理解すれば納得できるわけです。もしかしたら本当に中世キリスト教徒側の史料にルーニは2回廃墟となった、と書かれているのかも知れませんし、それが事実ではなくても、当時の史料作者自身がイスラム海賊の恐怖を宣伝するためにそのような文章を書いたのかも知れませんし。こういうところをきちんと本文や註で出典を示し、更に検証もしてくれれば、「物語」ではなく、「中世キリスト教徒にとっての現実」を描いた(イスラム側の言い分や検証を欠いている)歴史書として読めるのですが、、、、
 ちなみに、この前発見した学生時代の読書リストを見ていて、オスマン帝国に興味を持ったルーツは、塩野氏の『海の都の物語』なのではないか、という気がしています。当時の塩野氏はよかったのになあ、、、というのは記憶だけの話で事実は違うかも知れないので、そのうち『海の都・・』もざっと見返してみたいと思います。私の記憶によれば、塩野氏が極端な書き方をするようになったのは、確か本人が、『ローマ人の物語』の真ん中くらい(2000年頃?)に、「もうこの先のキャリアを気にする必要もない年齢になったので、いいたいことを書くようになりました」と書いたor発言した後あたりから、という記憶があり、ご本人がわかってやっているのであればいいのではないか。ただし私には合わない文章・内容になってしまったけど。と思うようになりました。塩野氏の文章に単純に酔っていられた頃はある意味幸せではありました。しかしこれは、塩野氏も変わったが、私も変わったor知識がついた、ということなのかも知れないので、できれば来年『海の都・・・』等昔読んだ塩野本を読み直してみたいと思っています。

※※2017/Feb/28追記 
 26年ぶりに中公文庫版『海の都の物語(下)』をぱらぱらとめくってみて、2分もたたないうちに、以下の記載が目に飛び込んできました。

「発端は、四世紀になされた、コンスタンティヌス大帝のキリスト教公認にまでさかのぼる。大帝がキリスト教を、ローマ帝国の国教とせずに、他の宗教と同格にして、公認だけしていれば問題は生じなかったのであった(p408)」

この文章は、

「「大帝キリスト教を、ローマ帝国の国教とせずに、他の宗教と同格にして、公認だけしてい」た。その後の諸帝も「公認だけしていれば問題は生じなかったのであった」」

と、「大帝が」を「大帝は」に修正し、「た。その後の諸帝も」を補足して分割すれば問題ない文章となります。しかし、普通に読めば、「公認だけしていれば」の主語は「大帝が」であり、コンスタンティヌス大帝は公認だけにとどめておかなかったから問題が生じた=国教化したのは大帝である、と読めるのではないでしょうか。

ローマ帝国がキリスト教を国教化したのは同じ四世紀のことで、歴史の大勢には影響しないささいな間違いですが、いつか『海の都の物語』全編読み直したいと思っていた気持ちはかなりしぼんでしまいました。ざっとめくって1分ちょっとでこれが見つかってしまうのですから、全部をじっくり読み直すと、『ローマ亡き後の地中海世界(上)』同様ひっかかるところばかりでてきて読み進められず、いちいち調べなくてはいられなくなり、いやな気持ちになるだけ、という可能性が高いように感じます。南川高志氏の気持ち(こちらで紹介しております)がようやくわかった気がします。私の中で、『海の都の物語』に別れを告げる日が来たようです(とはいえ、ヴェネツィア史入門としては、やはり今でも本書はお奨めだと思います。その気持ちは変わりません)。

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by zae06141 | 2016-12-20 00:06 | その他歴史関係 | Comments(0)

歴史学方法論書籍:新版岩波講座世界歴史 第一巻『世界史へのアプローチ』

 第1巻は世界史の方法論を扱った書籍です。出版年である1998年当時の世界史史学の最新の方法論や問題意識が列挙されているといっていい書籍となっています。既に出版から18年たっているので、現在の歴史学の最新状況ではないとはいえ、本巻は、1990年代中盤の日本における世界史史学会の方法論や問題意識を知る歴史資料として捉えれば、今もって有用な書籍といえそうです。目次は以下の通りです。

   時代区分論 岸本美緒                   15
   地域区分論 -つくられる地域、こわされる値域 古田元夫 37
   世界史と日本史の可能性 -近代日本人の見た歴史のリアリティ 山内昌之 55
   社会史の視野 福井憲彦                 85
   自然環境と歴史学 -トータル・ヒストリを求めて 川北稔 109   
   ソーシャル・サイエンス・ヒストリィと歴史人口学 斎藤修 133
   ジェンダーとセクシュアリティ 本村凌二         159
   歴史の叙法 -過去と現在の接点- 鶴間和幸         187   
   史料とはなにか 杉山正明                 211
   コンピュータと歴史家 斎藤修               243
   歴史の知とアイデンティティ 樺山紘一           265

著者の専門分野を踏まえて内容・特徴を記載すると以下の通りです。


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by zae06141 | 2016-09-15 00:12 | その他歴史関係 | Comments(0)

新版岩波講座世界歴史シリーズの目次 ver2

 岩波講座世界歴史シリーズは、バラバラな論文集の寄せ集め、というイメージがあったので、第七巻『ヨーロッパの誕生―4−10世紀』に感動するあまり他の巻にも良書があるのではないかと、ネットで目次を調べようとしたところ、節の題名まで含めた目次がみつからないことを知りました。そこで図書館で目次を調べてネットに掲載することにしました。岩波講座世界歴史シリーズは、山川出版社の世界歴史体系シリーズと並んで、研究史や(出版当事の)研究最前線の文献紹介の手引書として非常に有用です。更に執筆者の多くは、2000年代に入ってから単著を出している(本シリーズ出版当時の)中堅が多いことから、あまり知見のない時代や地域について、現在ベテランになっているであろう研究者をサーチするのにも役立ちそうです。目次には数ページ単位の節の題名まで記載されているため、章題だけではイメージしにくい内容が、よりイメージし易くなっていて、この点でも有用です。


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by zae06141 | 2016-09-07 00:18 | その他歴史関係 | Comments(0)