古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
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カテゴリ:世界情勢・社会問題( 24 )


彼は帰ってくる、 でも私/あなたの為じゃない 映画『帰ってきたヒトラー』

 最も印象に残ったのは、ラスト近くのセリフ

”君に私を消すことはできない
私は君の一部なのだ
君たち全員の”

および、エンディングのひとつ前の歌カーチャ・エプシュタインの本作の原題でもある歌”Er Ist Wieder Da”(彼は帰って来る)の歌詞(オリジナルのドイツ語版の歌詞はこちら英語版テキストはこちら)の中のいちフレーズです。

”彼は戻ってくる でも私の為にじゃない*1”

 この映画には、うっかりしていると、ユダヤ人への感情を露にする部分と犬殺しさえしなければ、この人に任せてもいい、と思えてしまう部分があります。映画のヒトラーは真面目に現在のドイツの諸問題を解析し、人々に問いかけ、真摯にその解決を探る人物として描かれています。ひっかかるのは反ユダヤ感情や犬殺しと世界征服を口にする場面くらい。戦争や弾圧をしない、任期限定の独裁者なら歓迎、という風潮は実際ありそうです。しかし、本作においては、エンディングの歌詞で気づかされます。


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by zae06141 | 2016-09-29 00:18 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

普通という名のパノプティコン:村田沙耶香著『コンビニ人間』とドストエフスキー

 アマゾンレビューにもレビュー(こちら*1)を書いたのですが、書き切れない部分が多いのでこちらに追加を書くことにしました。この本は、内容自体も面白いのですが、読者の反応を読む方がもっと面白いという、そして賛否が「あちら側」「こちら側」「どっちでもないけど共感できる部分があります」の概ね三者に分かれているのが特徴的です。

*1 10/3 レビューの題名を変更しました。本作は、「普通という名のパノプティコン」を風刺した小説だと考えるようになった次第です。結局本記事の題名も変えました。

 私にとって小説や文学、映画は、基本的には、共感や感情移入というより、作者や監督の主張は何なのか?、この作品がヒットした社会的・心理的土壌は何なのか? という分析的な読み方をしてきたので、「登場人物に感情移入」という視点を意識するようになったのはここ数年のことです(「面白い・つまらない」はありました)。もちろんそれ以前に感情移入が無かったわけではないものの、個人的好き嫌いは二の次だと思っていたので、好き・嫌い、共感する・しないで書かれているレビューを読むと違和感を感じていたのですが、いつの間にか自分も、アマゾンレビューの「参考になった」「ならない」ボタンを、「共感した・しない」で押している場合があることを意識するようになりました。アマゾン・レビューも、「製品紹介・批評」という意味で理解していたので、できるだけポジション・トーク的なものは避けて製品紹介に徹しようと思っているものの、やはり限度はあります。本書は特に、好き・嫌いのレビューが目立つもので、この手の作品への言及はなるべく避けたいものの、実際読んでみたところ、分析的に解体できる部分もあるため、レビューを書いてしまいました。キーワードのひとつはドストエフスキーです。


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by zae06141 | 2016-09-22 00:15 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

オリンピック歴代大会国別メダル獲得数上位15国と、日本の種目別メダル獲得数の一覧グラフ(2016年版)

※リオデジャネイロ・オリンピックの結果を追加しました。

 第二次世界大戦後の、歴代オリンピックでの国別メダル獲得数上位15国と、日本の種目別メダル獲得数の一覧グラフにリオデジャネイロオリンピックの結果を追加しました。

 出典は、2012年まではオリンピックの統計情報を集めたこちらのSports-Reference Oympic Sportsサイト、今回はリオデジャネイロ公式サイトです。


資料の共有と流用を容易にすることを目的に、表計算ソフトで作成しています。記事をDLしてお手元の表計算ソフトで読み込むことが可能(な筈)です。

上に紹介した統計情報サイト(Sports Reference)では、こちらの日本の歴代大会結果のページにあるように、CSVでの表示に切り替えられるようになっており、データの共有という意味で、非常に親切なつくりとなっていると思います。

 作成した国別データを眺めていると、いくつかの傾向が見て取れます。例えば

・参加国は、世界大戦直後は、戦前から引き続き帝国主義国家中心の参加
・その後、共産主義陣営が加わり、共産主義崩壊後は、経済力に応じた序列に近づいている
・日本は、高度経済成長期に合わせて順位が上昇したが、その後長期低落傾向にあり、最近少し歯止めがかかった

 日本の種目別を見ていると、柔道、水泳、体操、レスリング中心であることがよくわかります。前々から印象はありましたが、データを整理すると、特定の競技に深く依存している様子がよくわかります。旧共産陣営のように、国策で無理な選手養成までやってメダルを増やして欲しいとは思いませんが、やはり、1億もの人口を有する先進国としては、もう少し順位が上になってもいいのではないかなー、とも思ったりします。

 色々データを見ていて思ったのですが、イスラム圏のメダル獲得数は極端に低いですね。目立つのはイラン(前回2個が今回12個)とトルコ(前回8個、今5個)くらいで、エジプト、パキスタンといったあたりは、人口の割りに獲得数が非常に低い結果となっています。メダルと取ればいい、というわけでもなく、そこそこの参加者を出していただいていることからも、オリンピックの意義は達せられているとはいえ、少しさびしい限りです。あと、国力から見てインドも極端に少ないですね。

 これらのデータを見る限り、オリンピックは、欧米、アフリカ、ソ連圏、東アジア圏までは取り込むことに成功したと言えそうですが、イスラム圏とインドはまだこれからなのかと思うに至りました。

 ここ数回の大会では、ブルガリアとルーマニアの凋落が激しく、ブルガリアは、1988年には35個だったのが、2004年12個、2008年5個、今回2個となっています。ルーマニアは2000年で25個、2004年19個だったのが、2008年で8個、今年は9個。やはり、共産主義崩壊後の社会混乱が、選手の育成にも影響しているものと思われます。これも残念なことです。
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by zae06141 | 2016-08-23 00:28 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

ウクライナの西と東

 今回のウクライナ騒乱の報道を見ていて一番驚いたのが、この時期のキエフ市街に雪が見られなかったこと。思わずWebcamで、キエフ、ソフィア、モスクワ、プラハの映像を確認してしまいましたが、どの市街にも雪のかけらも見えず、今年は暖冬なのかと思ってしまいました。ヨーロッパの降雪予報状況表示サイトを見ても、アルプスやピレネー以外あまり降ってない様子です。デモ騒ぎが発生している時は、アクセスが集中しているからかWebcamも接続できず、リアルタイムでデモ映像が見れなかったのは残念でしたが、二三日後、見れるようになった時には、平穏となったキエフの独立広場にバリケードが映っていたのが生々しい感じでした。思うには、ナポレオンのモスクワ遠征に関し、雪景色の中に撤退してゆくナポレオン軍の絵をよく目にしますが、今年の冬の映像を見ていると、年によっては雪と無関係なままで撤退しきれた可能性もあるかも、アウステルリッツの戦いが12月であり、ウィーンの北200km地点にあることを考えると、アウステルリッツの戦いもももしかしたら雪に苦しむ結果となった可能性もあるかも、などと考えてしまいました。

 もう一つ、ウクライナ騒乱で気づいたことは、前回大統領選での大統領と対立候補への支持率(左)と、平均所得(中)と、主要利用言語(右)の分布図が見事にまで一致している点。ウクライナの東西区分がドニエプル川では無いことは今回初めて認識しましたが、東と西の所得格差が倍以上、ソ連時代の工業化が東偏重で行なわれ、独立後20年を経ても西側に西欧の投資が廻っていない様子を示しているように思えます。ある意味西ウクライナはドイツにおける旧東ドイツのようなものなのでしょうか。ウクライナへの短期旅行では、日本に関しては2005年にビザ・バウチャーが不要になっているので、あまり治安が悪化しないうちにいきたいと思っていたのですが、当分無理そうかも。
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by zae06141 | 2014-03-03 00:12 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

ブラジル関連の話題:ブラジルアマゾンオープン/90年代ハイパーインフレデータ

 最近「ブラジル―その歴史と経済」 というブラジル経済史本を近所の図書館のリサイクル本で入手しました。出版は1990年と古く、1987年から94年の間のハイパーインフレ期間の前半し か掲載されていないこともあり、今となっては重要性が低くなったのでリサイクルとなったのだと思われます。最近は、リフレーション政策が実施されることに なり、世界経済危機以前に出版された経済本の重要性が低まったということなのか、図書館でリサイクルに出される経済本が目立ちます。これらは資料として活 用できるので、私にとっては価値があるのですが、欲しがる人は多くはないようで、リサイクル日から一週間後くらいに行っても残っていることがあります。私 の印象では、経済以外では法律関係・社会問題関連の書籍が売れ残る傾向にあるように思えます。いずれも時間が経ってしまうと、有用性が落ちてしまうと考え られているのではないかと思われます。というわけで、私の場合数量統計史から歴史に関心を持つことも多いので(しかも本書はポルトガルのブラジル征服期か らの経済史となっています)、ひょっとしたら、これを機会に中南米史に興味が出るかも知れません。

メモ:ブラジルの年間インフレ率データ:
http://www.ipeadata.gov.br/->macroeconomic->Analytical index->prices->Analytical index IPCA - General index->IPCA - extended consumer price index - growth rate

1988  980,21
1989 1.972,91
1990 1.620,97
1991  472,70
1992 1.119,10
1993 2.477,15
1994  916,46

1987年から94年まで1000%前後のインフレ率。大変な数字です。

 ブラジル情報をもうひとつ。今年に入り、ブラジルアマゾン(通販の)ができています。昨年はスペインとインドアマゾンができました。経済力に応じて開店している感じ。ポルトガル語圏ではポルトガルより先にブラジルアマゾンができてしまいました。スペインは、メキシコ・アマゾンに先を越されること無く開店し、ほっとしているかも。インドアマゾンはヒンディー語ではなく英語なので、まだ富裕者向けということなのでしょうね。
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by zae06141 | 2013-03-27 00:15 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

2012年衆議院選挙:中央銀行の責任と雇用の関係

 2010年の参議院選挙では、主要政党のマニフェストを全部読んで(短縮版だけでなく、完全版も)コメントをブログに書いたりしていたのですが、今回はそこまでする必要が無いので、自民・民主・日本維新の会の短縮版公約とyoutubeに掲載されている政権放送だけ見ました(日本未来の党を忘れてました。明日見る予定)。私は、民主党が政権を取るに至った躍進の時期(安部首相の途中から民主党政権獲得後まで)に日本にいなかったので、前回の参院選では、いったいどうなっているのか現状を知ることと、日本の経済政策について選挙で何かできるのであれば、自分でも考えてみようと思って詳しく読んだのですが、今回の衆院選は日頃だいたい情報はつかめているので、手短に済ますことにしました。それにしても忙しい12月に選挙とは。。。今にして思えば、投票率が低いと現政権に有利という一般論と、米国大統領選終了後という条件から12月になったというのは予想できることではあったけど、迷惑な話。選挙の回数を減らしていただかないと、有権者側も学習している時間が無いし、選挙終了後、敗北政党が政策をきちんと見直す時間は無いままに、次の選挙に向けて直ぐに政権攻撃ばかりを始めてしまうので、参院衆院含めてもう少し選挙の回数を減らして欲しいものです。

 ところで、昨日FRBバーナンキ議長の記者会見が発表され、失業率目標値の導入に関する質疑がなされていましたが、確か雇用に関しても日銀法改正の争点のひとつだったと思うので、少し思うところを記載したいと思います。「日銀が雇用にも責任を持った場合、正規雇用が増えるかも」とか「リストラは減るかも」という期待する人がいるのではないか、という印象があるのですが、私はそれは違うと思っています。

 まず、よく言われるのは、米国の中央銀行の責務は物価と雇用、ドイツや日本は物価だけで、その背景として、米国は1930年代の世界恐慌時の高い失業率、ドイツは第一次世界大戦後のハイパーインフレがある、と言われています。それはその通りなのかも知れませんが、米国やドイツの中央銀行の役割は、歴史的理由だけではなく、現在の雇用慣行にも密接に結びついているものと思います。一応私の勤務先はグローバル企業で、私も中国赴任中は現地社員の採用も行っていましたので、その時聞きかじった話を元に(あと、経済学の世界では常識なのだと思いますが)記載しますと、日米独の雇用慣行とインフレ対策については、以下の特徴があるとのことです。

米国:昔はレイオフという習慣があり、景気が悪化すると一時解雇が簡単だった。景気が過熱(インフレ率の上昇)した場合、レイオフしていた人員を再雇用することで失業率が改善した。逆に、景気が悪化し、企業業績が悪化(赤字化・株主配当減少)となると、株価収益率を上げる為(株主優先)の為、レイオフして企業財務を改善した。IT業界の場合、企業システム構築プロジェクトが終了すると、構築に関わったSEは解雇され、別の企業の新規プロジェクトの為に雇われる。

日本:昔は終身雇用制だったので、景気が過熱してもその為の新規雇用はせずに(※この場合の新規雇用とは景気の為の雇用であって、好景気の結果としての新卒採用増とは異なる。新卒は戦力になるまではコストですから)、残業時間を増やして対処した。逆に不景気となった場合は、赤字となっても社員を解雇しなかった(会社は株主だけではなく、社員のものでもあった)。IT業界の場合、企業プロジェクト構築が終了すると、情報システムを”情報システム子会社”化して社員の雇用を続けた。

ドイツ:税と社会保障の負担率が高すぎ、可処分所得が(日米等に比べると)低いので、もともと大幅な景気変動する余地がない。残業しても半分くらい税と社会保障に消えてゆくから、残業したがらない(だからドイツ人の年間労働時間は日米よりかなり低い)。労働時間が抑えられ、新規雇用もしないから、供給が悪化し、インフレになり易くなる。だからドイツ中央銀行はインフレファイターとなる。

という話です。日米については、「昔は」と加えているのは理由があるのですが(後述)、一応最近のデータを調べてみました。本来なら財務省や白書等からデータを持ってくるべきですが、時間も無いのでとりあえず「カンタンな答 - 難しい問題には常に簡単な、しかし間違った答が存在する」というブログの2011-01-27の記事、「フィリップス曲線について (2) 」に、2008-10年の、日米独の、失業率とインフレ率の関係をグラフ(フィリップ曲線)にまとめた記事がありますので、グラフについてはそちらをご覧ください。

 当該記事のグラフを見ますと、米国は、明確にインフレ率と失業率の相関関係が強く出ている、文字通り「曲線」となっています。一方、日独は、インフレ率と失業率は殆ど相関しておらず、曲線ではなく、「フラット」な線を描いています。

 さて、上記日米の雇用慣行の記載で、「昔は」と記載しました。理由は、現在の米国ではレイオフというよりリストラが主流だと思いますし、日本も、終身雇用は減少してきていて、非正規雇用やリストラが飛躍的に増大しているからです。各国の「失業」の定義も様々なので、単純にフィリップ曲線を比べて言い切ってしまうことはできません。しかし、傾向は見て取れると思います。

 私が思うには、日銀が雇用にも責任を持った場合、

「正規雇用が増える」「リストラは減る」ということではなくて、「非正規雇用の調整が日銀に可能となる」または「正規雇用も非正規雇用並みに採用・解雇が容易になる」ということであって、日銀の政策で雇用を増やせるかも知れないが、一方、それを企業側が認めるには、「不況となった場合、切りやすくすることが条件」ということにしかならないのではないかと思います。

 もちろん、切りやすくなろうが、雇用増大のチャンスが増えるのであれば、これはこれで意味があります。強調したいのは、米国の中央銀行が雇用にも責任を持っているのだから、日銀もそうすれば、「いいことばかり」だという印象を持つのは違うのではないか、ということです。よさそうな話には必ず裏があります。米国の場合には、「採用し易い代わりに切り易い」という雇用慣習があっての上で、中央銀行が雇用に責任を持つことになっているわけですから、「採用」の部分ばかりに目がいって、「切り易い」という方に目がいかずに日銀法改正に突き進んでしまって、将来、「だまされた」なんてことを言わないように願いたいものではあります。

 
 最後。東京都知事選ですが、マック赤坂氏に入れることにしました。もう猪瀬氏の勝利は間違いないところですし。マック氏の政見放送、NHK版民放版、両方見てしまいました。いや、実際見て癒されましたもん。ネタはいつもと同じですが、衣装がいけてます(ウルトラマン版と仮面ライダー版も見てみたかった。。。)。12分間の安らぎ経験料として、彼に投票いたします。
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by zae06141 | 2012-12-15 00:26 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

1993/2003/2011年の世界各国の輸入先第一位の国色塗りマップ

 長ったらしくわかりにくいタイトルとなってしまいました。ブルガリア在住時、各国にとっての輸入先第一位の国ってどこになるのだろう、と、暇つぶしに手書きで色塗り世界地図を作ったことがあります。その結果を見て、第二次世界大戦中の地図に似ていると思いました。やはり冷戦という枠組みが取り払われてみると、冷戦前の(つまりは第二次大戦中の)勢力が幅を利かすことになるのかも、と思った次第。最近書棚を確保する為に本を売ろうと整理していて、その手書きの地図が出てきたのですが、出典が記載するのを忘れていて、記憶にあった出典本を確認したら載ってなかったこともあり、ついでに最近の状況はどうかと、調べてみました。以下の地図は、濃い青色で塗られている部分は、輸入先第一位がドイツである国々。貿易相手先の国におうける輸入順位が一位となるということは、それなりの経済関係の深さと経済力を示すことでもあるので、輸入先一位国マップは、それなりに世界の中での経済力の位置づけを反映しているものと思うわけです。

 赤は、輸入先第一位が日本である国々。緑が米国。薄ピンクがフランス。紫がロシアで、黄色が中国、水色はメキシコです。細かい説明は後述するとして、まず三つの地図を眺めていてわかることは、

-1993-2003年くらいは、第二次世界大戦時の勢力図に似ている
-年が下るについてての米国の後退
-アフリカ諸国の輸入先第一位は、旧宗主国(西アフリカ諸国(フランス)、イタリア(リビア)、英国(ボツワナ、ザンビア、タンザニア)など)
-2011年における中国の拡大

というところだと思います。

1993年
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2003年
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2011年
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(上の画像は、右クリックして「画像だけを表示」すると拡大します)

 全体として、第二次世界大戦頃の勢力関係が、アンドレ・グンダー・フランク書籍「リオリエント」で描いた意味での、17,18世紀の世界経済地図に移行し、まさに、「リオリエント」な展開をしているように見えてしまいます。

 面白かったので、1913年(第一次世界大戦前)、1928年(世界恐慌前)、1937年(第二次世界大戦前)、1970年(冷戦半ば)についても色塗りマップを作ってみました。次回掲載したいと思います。

 以下、出典と注記・詳細コメントです。

1993年の地図

 出典は、マクミラン新編世界歴史統計〈1〉ヨーロッパ歴史統計:1750‐1993マクミラン新編世界歴史統計 (2) アジア・アフリカ・太平洋州歴史統計:1750-1993マクミラン新編世界歴史統計〈3〉南北アメリカ歴史統計:1750~1993

 ノルウェーの輸入相手先一位は(若干色が異なっていますが三枚とも)スウェーデン。アイルランドの輸入相手先一位は三枚とも英国。二ユージーランドの1993と2003年の輸入相手先一位はオーストラリア。また、マクミランには記載が無かった空白地域は、概ね2003年と大体同じなのではないかと思われます。中南米は見事なまでに米国の裏庭。


2003年

 出典は、国際連合 貿易統計年鑑 Vol.55 2006年版(国際連合統計局:原書房) 。 

 ルーマニア、アルバニア、スロベニア、リビアの輸入先第一位はイタリア。ルーマニアは、ロマンス語なので、イタリア人が進出し易いということでしょうか。
イラン・パキスタン・イエメン・ケニアの輸入先第一位はUAE。ゲートウェイとしての貿易都市国家の姿が見事に表れています。同様のゲートウェイ国は、2011年の地図の、ドイツにとっての輸入先一位であるオランダ(内陸ヨーロッパへのGW)や、2010年のインドネシアの輸入先第一位であるシンガポール(東南アジア諸国へのGW)、2010年のチリの輸入先一位である中国(南米へのGW)、日本にとっての台湾(中国へのGW)などに見て取ることができます。

 また、特定国ががっちり抑えた後背地とでもいうべき国々も見て取ることができます。例えば、オーストラリアにとってのニュージーランド、英国にとってのアイルランド、スウェーデンにとってのノルウェー、スペインにとってのポルトガル、タイにとってのラオスなど。2003年からは、アルゼンチンの輸入先一位はブラジルとなっています(2003年のチリの輸入相手先一位はアルゼンチン)。南米での米国の経済力が後退し、ブラジルが台頭している様子も見て取れます。シリアは、1993年にはロシアが輸入先一位だったのですが、2003年には中国となっています。フランスはガッチリ旧植民地を抑えている印象を受けます。

 色塗りマップ中、以下の国々は、2003年のデータが資料では空白だったので、前後の年のデータを用いています。
-2002年のデータ
 コンゴ、ニューギニア、ギニア、
-2004年のデータ
 モザンビーク、セルビア、


2011年

 出典は、JETROの国・地域別情報(J-FILE)から。

 まず第一に目を引くのは、中国の拡大。2010年まで米国が常に第一だったサウジアラビアの輸入先第一地の座が中国に奪われたのは驚きです。エジプトはどうなってゆくのでしょうか。実はドイツの輸入先一位の座も2010年は中国となっていて、2011年にオランダが奪回している状況。この地図ではインドの存在感がまったくありませんが、いかにインドの成長がIT業界という特定の業界に依存しているかが、この地図からも見て取れると思います。ジェトロの資料に登場している国々の中では、インドを輸入先一位としている国はUAEだけ。確かアフリカ東部の国の輸入先第二位には顔を出していたと思います。近世インド洋沿岸地域での南インド商人の経済版図を髣髴とさせるものがあります。そのうち2011年の国連貿易統計年鑑が出版されたら地図上で空白となっている国々も調べてみたいと思います。その中には、インドを輸入先一位の国としている国があるかも知れません。

 トルコの輸入先第一はロシアとなっていますが、数値的には、ロシア、中国、ドイツ、米国の差はわずかで、近年トルコ経済の伸張とともに、有力国が競争している状況が見て取れます。シリアやエジプト、サウジ等、ほぼ独裁政権との政治的関係のみで貿易関係を築いてきたのとは異なり、トルコが取れれば、真の意味での中東・バルカンへの経済進出の足がかりになるという、トルコの経済上の地政学(?)的重要度が明確に表れたデータとなっていると思います。

 同様に競争が激しいのがマレーシアとインドネシアを巡る日本・中国・シンガポールの競争。フィリピンも中国が追上げていて日本も危ない状況。

 とまあ、貿易データを眺めているだけでは見えてこないようなことも、色塗りマップを作ってみると見えてくるものもあるのだと思いました。何か新しい発見は無いものかと、1913-1970年についても同じことをやってみました。予想通りの点あり、先入観が覆された点あり、色糸と参考になりました。次回掲載する予定です。
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by zae06141 | 2012-11-24 00:15 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

2012年11月米大統領選挙

 11月7日(日本時間)のCNN米大統領選速報を見ていて思ったことが二つあります。

 ひとつは、11月7日の13時25分頃(日本時間)。オバマ氏当選が決まった頃です。以下の開票速報地図となっていました。大統領が決まったわけですが、アラスカ州はまだ投票中となっています。こんな状況では投票しても面白く無いと思うのですが。アラスカ州の人は同時開票にして欲しいと思っていないのでしょうか。
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 二つ目は、出口調査のデータのうち、人種別データ。最初のものは、11日の最終結果が確定時(フロリダの集計終了時)の全米のもの。白人は圧倒的に共和党支持です。
 
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しかし、メーン州やニューハンプシャー州など、いわゆるWASPの地区にあっても、州民に殆ど有色人種がいない州では、民主党への投票率が多数派となっています(以下の3つは7日21時頃のもの。開票率は97%程度だが、傾向は変わらないので最終結果の画面ショットは取得していません)。最初のこれはメーン州。
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 ところが、同じ東北部州でも、有色人種が多くなると、白人の共和党支持者が増えるようです。以下はニューヨーク州。
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 南部諸州の白人はどこも圧倒的に共和党。以下はミシシッピ州。
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 一応全部の州について出口調査の結果を見たのですが(CNNの出口調査のデータは33州について掲載されており、掲載されていない州もある)、なんとなく、目の前に有色人種のいない州は、頭でっかちに理念優先となっていて、民主党支持者の多い都会人口の多い州でも、有色人種が目の前にいる州では、やっぱり有色人種に職を奪われているとかの意識がるのかも。。。。。と思ってしまいました。
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by zae06141 | 2012-11-18 00:43 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

2012年12月衆院選挙:日銀無制限金融緩和とブルガリアでのハイパーインフレ

 選挙も近づいてきたのでたまには時事ネタを書いてみました(スペイン歴史映画「エスコリアルの陰謀」の紹介・感想は12月に延期)。

 安倍総裁が無制限金融緩和と日銀法改正を口にされており、「金融緩和で景気がよくなる」「給与と雇用も改善するだろう」と考えておられる方々の期待が膨らんでいるようですし、一方ハイパーインフレを懸念する方々もおられるようです。1996/7年のブルガリアでハイパーインフレを体験し、現在私や周囲の方々がどのような金融対策を行っているのかを踏まえて、少し意見を書いてみたいと思います。

 まず思うに、「3%のインフレになるまで無制限に緩和するが、目標に達したら引き締めるからハイパーインフレの心配は無い」との意見については、私はまず、外貨両替や外貨預金、海外資産購入を制限してからでないと、この懸念はなくならないと思います。というのは、私も周囲の人々も、資産の一部を外貨・外債・外国株など海外に持っています。私の場合、円・ドル・ユーロを1/3づつ持っています(若干元も持ってきますが、これは出張や旅行をした時、両替せずに、現地で直接ATMから旅費を引き出すことが目的なので金額は少ないのですが、いつ元に資金を移す必要が発生するかわからないので、その時の為の口座の準備という意味合いがあります)。ドルとユーロに分けているのは、為替取引で儲けようというのではなく、リスクヘッジの為です。FXとは違います。無制限金融緩和でどっちにふれても構わないのですが、2008年の世界金融恐慌まで10年以上だいたい1ドル100-120円の範囲内で推移してきましたから、その時に積みあがった分の平均が(その後の円高時の積み増し含めて)約95円となるので、今の心境は、無制限金融緩和による円安95円突破を待ち構えている、という部分があります(ユーロは金融危機発生後の下落相場で購入したので平均105円。あと少し)。こういう人は、案外多いのではないでしょうか。口に出さないだけで。安倍さんのように、日銀法改正という、ヘリコプターマネーに道を開くようなことを首相候補が公然と口にした時点で、円を売っておこうという気になるのは当然ですし、ヘリコプターマネーが実施され、継続的な円安が傾向が続く場合、円を売り続けます。つまりは、緩和された分の円を購買に回すことは無いので、企業の売り上げに貢献はしません。つまり、金融緩和によるインフレが起こっても、紙幣自体の下落を招くだけで、景気回復には結びつかないと思うわけです。住宅をローンで所有している人も、家を担保にお金を借り、外貨資産を持つことで過剰インフレのリスクヘッジをすることができますから、「実業の景気回復」が起こらない限り、なんらかの資産を持っている人々は、外貨など海外資産に移してリスクヘッジをするパターンが増えるのではないかと感じています。当然のことながら、目的は資産保全にある為、ある程度の目減りは保全コストのうちだとの認識があります(参考-長期的な円ドル為替レート変動曲線(1971-2012年)実行為替レートのグラフ)。

 10月30日の量的緩和発表と前後して、国内メガバンク三行の国際決済業務強化の記事も報道されていました。日経の記事では、これは海外融資の外貨確保が目的だと記載されていましたが、メガバンクの海外融資増加は昨年あたりから何度も報道されていまし、国際決済の情報システム拡張や売り込みの話は何年も前からIT業界では周知の話しですから、何故10月30日の金融緩和のタイミングで国際決済業務の記事が出たのか。私はこれは、インフレ対策用外貨保持対策に邦銀メガバンクを使おう、という宣伝ではないかとの印象があります。無制限量的緩和(過度のインフレ)に備えて国内資産の外貨需要が強まった場合、銀行の顧客はシティやHSBCなど、豊富に外貨を保持している銀行に流れる可能性があります。彼らは世界で決済業務を行っているので、他国の通貨を豊富に保持しています。日本の輸出入取引が主な外貨獲得手段である邦銀メガバンクよりも、インフレ回避の為の外貨獲得は外資系銀行に顧客が流れる可能性があります。メガバンクが国際決済業務強化を行い、円以外の通貨間取引(米国-ドイツ、中国-米国、極端に言えばトルコ-フランスとかでも)業務内容を拡張することで、外貨保持力を高めることができます、ということを、暗にアピールしたのではないかと思うわけです。

 私がいつも疑問に思うのは、「金融政策や財政政策が景気を創造できる」と思っている人がいるように思えることです。金融政策や財政政策は、「景気を刺激・抑制」することはできても、「需要の無いところから景気を創造」することはできません。実業に投資先が無い場合に、いたずらに金融緩和・財政投資を続けても、不動産や株などのバブルを作り出すだけです。「バブルでもいいじゃないか」という意見もあると思いますが、バブル崩壊時に逃げ遅れるとどのような目に合うのか、この20年で身をもって知った人々も多いのではないでしょうか。貸しはがしを恐れる事業者は容易にバブルな投資案件に投資しはしないので、金融緩和を続けても、結局は国債や海外融資等に回ってしまうのではないかと思うのです(11/2日の日経新聞では、今回の金融緩和を「官製円キャリーを促すのでは」と指摘し、大喜びの米国ヘッジファンドのコメントを掲載し、15日には、国内融資が微減し、海外融資額の拡大の記事が掲載されています。つまり、金融緩和しても、金融機関は、最近は国債購入よりも、海外直接投資に向けてしまう流れがグラフ化されてました)。

 それでもうまくいけば、”金融緩和バブル”を起こすことができるかも知れません。しかし、海外投資が一般人には簡単ではなかった1989年当時とは異なり、現在は、ヘリコプターマネーの恐れには、外貨・海外資産でリスクヘッジをする方が簡単で確実です。日本国内に金融緩和バブルが起こるよりも、海外資産の方にバブルが起こってしまう可能性の方が高いように思えます。緩和され、しかも商品の購買活動に結びつかない紙幣はだぶつき、インフレにはなるので、インフレ率に応じた春闘などでの賃金ベースアップは望めるかも知れませんが、これは結局物価と賃金がスライドしただけなので、総体的には雇用増や、実質賃金上昇には結びつかないように思えます。しかも、企業側の視点で言えば、賃金上昇はギリギリまで極力避けたがるので、物価が上がりだしてから、賃金上昇までの間にタイムラグがあります。このタイムラグの期間は、実質的に賃金圧縮となりますから、その期間は苦しくなると思います。

 とはいえ、大きく円安に振れれば、輸出企業の業績は向上し、その分日本国内の景気上昇に寄与するかも知れません。しかし、このいわゆる近隣窮乏化政策は、輸出先国でも同じような緩和策を招くだけで、影響を受ける国から批判されると思われます。他国の批判を押し切ってまで円安が継続する程緩和を続ければ、信用を失い、関税率アップやUSTRによる制裁条項などの報復を受けかねないと思います。1980年代までの、米国や欧州との貿易摩擦を知っている世代は、無理な為替操作は簡単では無いことは実感としてわかるのではないかと思います。

 これらのことを考えると、「金融緩和で景気がよくなる」「給与と雇用も改善する」という見解に対しては、私は疑問に思えるわけです。ただし、金融緩和は、他国の緩和に対応した分は実施すべきだと思っています(他国が国内用に実施する金融緩和は日本にとっては近隣窮乏化政策ですから。なお、今年の経済白書には、為替変動レートの累積寄与度という表があり、日米のマネタリーベースが為替変動にどの程度影響しているのかを2002年以降の表として推計しています。こちらには算出方法について詳細が記載されています。試行錯誤に近い試算を繰り返し、苦労して推計している様子がよくわかります)。しかし、金融政策はあくまで「景気を刺激・抑制するもの」であり、「景気を創造するものではない」と思っています。


 それでは、外貨・海外資産の取引を不便・制限すればいいではないか、という意見が出てくるものと思います。この方法だと、緩和した分国内にとどまりますから、バブルを生むことはできるのではないかと思います。バブルは、国内資産を再配分する、という効能があると思います。うまく逃げ切った人とそうでない人とに資産の再分配が行われるからです(同時に逃げ切った人と逃げ遅れた人との格差も増大すると思います)。


 日本くらいの経済規模だと、ブルガリアのようなハイパーインフレには簡単にならないし、他国からもさせてもらえないように思うのですが、心配なのが日銀法改正です。法律的な歯止めが無いと、「景気が回復するまでやれ」という圧力がかかってしまい、ブレーキが利かなくなることを懸念するわけです。これまで記載してきたように、現在の状況で単に金融緩和を続けても、インフレへのリスクヘッジの外貨・海外資産に流れ、あるいは物価と賃金がスライドする程度で、景気創出や雇用増には結びつかないと思うので、量的緩和を続けてもなかなか雇用や実質賃金が増加しないことから、「より思い切った緩和を」との声が上がり、エスカレートする。心配なのはこの点です。1996/7年のブルガリアの場合、IMFが介入し、固定相場制にして外貨取引を事実上制限するまでは(固定相場制だから、外貨を持つことに意味が無くなる。同時に中央銀行の国債引き受けも禁止した)、紙幣増刷が続きました(具体的には政府が国債を中央銀行にすべて引き受けさせたという点では安倍氏をはじめとする、日銀国債引き受け論と同じ)。国民は、次々と新しく登場する高額紙幣などに価値は無いと思いはじめました。そのうち暴落すると考えるわけですから。どういうことになったかというと、

-97年1月の月間インフレ率500%、3月には月間2000%のインフレ。
-96年の通貨下落率3000%(95年末1ドル67レバ、96年550レバ、97年2月初に2608レバ。私が目にした最大値は、市中の両替商でに3100レバを記録した日があった)
-タバコ、ブランデーなどが貨幣として流通する(実際始めて目撃した時は驚きました。第二次大戦中のヨーロッパのレジスタンスかと思いました)
-ドルの流通(学生でさえ、1ドル単位で手に入れてました)
-高額紙幣は、だんだん流通しなくなる(新規高額紙幣が頻繁に登場し(登場する度に額面が増える)、国民は、あまり目にしない高額紙幣については偽札と本物の違いがわからないから、下手に偽札を受け取ってしまうと打撃が大きいので、その辺の商店では受け取ってもらえなくなった)
-自国通貨の信用が失われてしまったので、エネルギー・食料の輸入ができなくなり、都会の人は毎週末田舎の親戚の元に食料調達に出かけ(日本の戦後のように、窓から列車に乗り降りする程混雑した)、郊外に土地を持つ人は自家菜園を作り、公道の街路樹を切り倒して暖房に使い、コートを着て寝た(私も肺炎になった))
-若い女性だけではなく、50歳くらいまでの一般婦人が外貨を求めて売春するようになった。

 台風が吹き荒れてるような日々でした。社会が崩壊するとはこういうことかと思いました。戦争ではなく、爆撃を受けたわけでもないのに、経済現象でここまで社会は荒れるものなのだと思いました。更に言えば、金融危機による社会混乱をひとまず終わらせたIMFの緊縮財政路線(均衡財政や非効率企業での全面リストラの強制など)は、今の日本の状態など温室に思えるほど過酷なものでした。当然外貨を持っている外国人や一部の富裕層は憎しみの対象となり、外国人は見分け易いので排外主義者による暴行が頻発した。私も数名の排外主義者に日中暴行され一週間程入院しました。しかし私は彼らに怒りは感じませんでした。レイプ事件や、ノイローゼになって家族を殺害するような事件が連日のように新聞に掲載されていました。そんな状況では外国人を憎むようになっても仕方がありません。だからもう、はっきり書きます。今の日本が不況とか、金融緩和で景気が良くなるとか、日銀に国債を引き受けさせれば景気が良くなるとか主張してる人々、ぬるま湯ですよ。ぬるま湯(色々思い出してきたところで、建設国債の全額日銀引き受けを安倍氏が主張した記事や、安倍氏どころか、みんなの党や維新の会も日銀法改正主張をしている日経の記事を読んだのでエキサイトしてしまいました)。

 ハイパーインフレ直前のブルガリアの経済事情と現在の日本の経済状況は異なりますし、経済規模も大きく異なりますが、中央銀行に国債を引き受けさせ、紙幣増刷に歯止めがかからなくなり、ある時点で「思い切った」ことをやってしまい、加速して指数関数的な方向へ向かってしまう原理は共通するところがあると思います。歯止めは絶対に必要だと思います。


 私が思うには、日本の場合、景気創出については、地道に、国内については、環境・高齢者向け産業・新エネルギー等の成長産業を育て、それだけでは足りないので、海外新興国のインフラ事業への進出を強化拡大し、個々の業務の生産性を高める、という地道な取り組みを幅広く続けることが一番だと思います(私の学生時代の同級生にはいまだにメールやPPTが使えない人もいます(営業職)。会うとリストラの怯えや定期昇給が無くなった愚痴を聞かされます。私が「今の時代ありえない」と言うと「お前はIT業界だから」と言われるのが落ちなので言いませんが、心の中では、ありえない、と思っています)。金融政策は、他国の緩和への対抗措置と、景気の刺激・抑制機能に留めることができるよう、日銀法は現行のままに留めるべきと考える次第です。
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by zae06141 | 2012-11-18 00:25 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)

「日本の公的医療を知るためのファクトシート=正確な議論のために」の中の米国医療に関する不正確な記載

 きりがいいので、久しぶりに映画以外の話題です(次回から近年のスペインの歴史ドラマ・映画紹介の予定です)。

 表記のチラシが、新宿の書店ブックファーストで配られていました。今年の厚生労働白書はメディアでも話題となっていてますが、ブックファーストでは先月22日から昨日まで、「社会保障について考える ~『厚生労働白書』から~」というフェアが開催されていて、これもメディアで話題となっており、興味があったので行って来ました。そのフェアのコーナーに、A3両面印刷の二枚綴じのカラー印刷のチラシが置かれており、「厚生労働白書」に掲載できなかった内容というようなことが書かれており、持ち帰って読みました。これは、こちらの「特定非営利活動法人 歯科医療情報推進機構」の9月1日のIDIニュース第56号(IDI=Institution of Dental Informations)の記事(削除されるかも知れないので一応バックアップを取りました)によりますと、「厚労省:社会保障の教育推進に関する検討会 - 8月24日、厚生労働省は「第5回社会保障の教育推進に関する検討会」(議長=権丈善一・慶大教授)を開催した」と記載があり、続いて、以下の資料が配布された、と記載があります。資料のタイトルが、ブックファーストで配られていたチラシと同じものなので、厚労省が作成した文書であることは間違いなさそうです。そのタイトルは以下のものです。

-「政府の役割と社会保障」「公的医療保険って何だろう」
 -「政府の役割と社会保障」
 -「政府の役割」「社会保障の役得割り」「税や社会保険料」「社会保険料と税の違い」

-社会保障の給付と負担の現状について
-日本の歳入・歳出構造
-ライフサイクルでみた社会保障の給付と負担のイメージ
-統計でみた平均的なライフサイクル

-日本の公的医療保険
 ①生涯にかかる医療、②医療保険制度の負担のイメージ、③日本とアメリカの医療保険の違い、④日本とアメリカの医療費比較


 経済白書は毎年目を通し、毎年ではありませんが、これはという年については購入しており、防衛白書も毎年ざっと目を通しているのですが、厚生労働白書に目を通したのは今年が初めてです。他の年の厚生労働白書に目を通したことが無いので比較はできませんが、確かに力が入っていて、書籍として購入する価値があるものと思えます(とはいえ私はまだ購入していませんが。。。白書そのものは、厚労省のサイトに掲載されていることもありますが、現在書籍が出ているものはA4版と、サイズが大きいことの方が主な理由です。持って歩けないし、本棚のスペースも取られます。A5版の縮刷版が出たら多分買います)。

・所得が高いほど、異なる意見を聞くことに対する肯定的見解を持つものの割合が増える傾向にある(7章240頁)。
・人間関係についての態度に関する意識(6章188頁)
・国政選挙の投票率(各国比較)(5章122頁)

というような、直接的には社会保障に関係しそうもない(しかし広い意味では関係する)国民意識調査やデータがこれでもか、というくらい多数掲載されていて、興味をそそります。データや分析・記載の妥当性を議論するたたき台として利用できる内容だと思います。なので、今年の「厚生労働白書」の興味を削ぐような事は書きたくないのですが、「厚生労働白書」そのものの記載では無いとはいえ、今回ブックファーストで配られていた資料は厚労省が作成して民間に配布した添付資料であることには違いは無く、そこに不正確な記載を見つけてしまい、かつネットに情報が流れていないようだと、とどうしても書きたくなるので、書きます。

 二枚目末尾の「日本とアメリカの医療費比較」では、「在ニューヨーク総領事HPより」と記載されている以下のアメリカの医療費の現状例が紹介されています。

 「米国の医療費は、日本に比べて非常に高額です。その中でも、マンハッタン区の医療費は同区外の2倍から3倍ともいわれており、一般の初診料は150ドルから300ドル、専門医を受診すると200ドルから500ドル、入院した場合は室料だけで1日約2千ドルから3千ドル程度の請求を受けます。一日の入院室料だけで、ニューヨーク圏中間給与所得者の一ヶ月分の月給(税込み)またはそれ以上に相当する訳です。処置・手術では急性虫垂炎で入院・手術(1日入院)を受けた場合は、1万ドル以上が請求されていますし、歯科治療では、歯一本の治療につき約千ドルと言われています。」(赤字の部分は、配布資料でも赤字で強調されています)

 これは、実際に、こちらの在ニューヨーク総領事HPに記載があります。これを読むと、「アメリカの医療はとんでもないんだな。日本の現行制度を守っていくべきだ」と一瞬思ってしまう人は少なくないのではないでしょうか。しかし、この文には、実は続きがあります。「歯一本の治療につき約千ドルと言われています。」の次に以下の文章が続きます。印象操作していると言われると嫌なので、最後まで引用します。

「これには下記に説明する二重構造の問題があります。

米国人が加入している管理型医療保険制度の下では、医療機関と保険会社との間で契約が交わされており、疾患毎に定められた規定治療費用(定額)が保険会社より医療機関側に支払われます。実際の急性虫垂炎・腹腔鏡下手術例(合併症なし、入院2日間)でみてみましょう。医療機関側からの請求総額は1万3千ドルでした。管理型医療保険制度に加入している患者については、保険会社から医療機関への支払いは、約4千5百ドル(請求額の3割)であり、患者本人の自己負担は数十ドル程度でした。非保険加入者(すなわち日本人旅行者等)は医療機関に対して全額の1万3千ドルを支払わざるをえません。一方、この管理型医療保険に加入していない(保険料が高くて加入できない)米国人も少なくありません。彼らは支払うことができないため、この費用は医療機関側の負担となっています。医療機関側からすれば、その分まで、お金は取れるところから取るという姿勢のようです。

医療費の請求書は、医師、検査所、病院等より別々に送られてくることが多く、忘れた頃に届くことも稀ではありません。

また、請求額や請求明細が誤っていることもしばしばみられますので、支払い前には十分な確認が必要です。これに備えておくには、治療内容は勿論のこと、関与した全医師の氏名、診察時間等を記録に残しておくことが肝要です。

医療費の支払いを怠ると、これが取り立て専門の会社に移されたりすると、種々のトラブルに巻き込まれることにもなります。請求に疑問があるとき、また、請求額が高額すぎて支払えないと思われる時には、医療機関に設置してある医療相談室(Social Service, Medicaid Office)に相談した方がいいでしょう。」


「患者本人の自己負担は数十ドル程度でした」というところに注目しないではいられません。これはどういうことなのか。少し調べてみたところ、こちらに東京大学修士の方作成の、わかりやすく纏められている現行米国医療制度の解説がありました(スライドに出てくるHMOは、Wikiに解説があります。しかしWikiの説明は平板なので、もっと具体的に実感できるような説明として、ライトハウスという米国での生活情報サイト(日本語)に「詳しく・やさしく徹底解説 アメリカ医療保険」という記事があります)。

 これらを読んだところ、私の理解では、在ニューヨーク総領事館のHP記載のアメリカ医療の事例は、「米国在住日本人や旅行者は、米国の「管理型医療保険制度」に入っていないので、「一日の入院費用が一ヶ月分の給料」になるという理解です。もちろん、「管理型医療保険制度」には、映画「シッコ」に描かれたような多大な問題があるからこそ、オバマ政権では社会保障制度改革に取り組んだのだと思うのですが(在ニューヨーク総領事の他のHPには、「病気や怪我など1回の入院で数百万円から1千万円になることを覚悟してください。病状がそれ程緊急性を要しない等、事情が許せば航空運賃を負担したとしても、本邦に帰国して診療を受けた方が良いケースもあります」」という強烈な文言があります)、米国の医療制度と日本の医療制度との比較をするなら、日本の例は、「日本の社会保険に入っていない外国人在住者や旅行者」を例に上げないとおかしいのではないでしょうか?しかも、「急性虫垂炎で入院・手術(1日入院)を受けた場合は、1万ドル以上」という部分は添付資料では赤字で強調されています。普通に考えれば、「アメリカは酷い・日本の制度を維持しなければ」という方向に誘導する為の作為的な引用例だとの印象を受けます。こういう印象操作(に見えるもの)は好きではないので書きました。因みに、在ニューヨーク総領事のHPにある、「この管理型医療保険に加入していない(保険料が高くて加入できない)米国人も少なくありません。彼らは支払うことができないため、この費用は医療機関側の負担となっています」という文言も意味不明です。支払えなければ治療は受けられないような気がするので、これは、意識不明のまま治療されたケースに相当するような気がしてしまうのですが、どうなのでしょうか。


蛇足ですが、海外医療や日本の社会健康保険については私は以下の経験・感想があります。

・歯の治療で、銀歯が全額保険対象だと知ったのは今年の話。金が一生モノだと思い込んでいて、子供の頃最初に金を詰めた時から、何の疑問もなくずっと金を詰めてきた(これまで最低でも5件の医者で虫歯の治療をしたが、一度も説明が無かったように思う(または私がちゃんと説明を聞いていなかった可能性もあります)。日本の社会保険は凄いと思いました(とはいえ、結局銀は詰めず、材質はなんだか忘れましたが白いものを詰めました)

・複雑骨折で手術・一ヶ月入院した時、加入している民間生保会社から30万程保険が下りたのですが、あとから、入院・治療費分社会健康保険が下りたので、民間保険の30万はそっくり預金になった。民間保険って基本的に家族の為とか、高額・長期治療が必要となる内容でしか必要ないのでは?(と思ったものの、未だに惰性で入ってます)

・ブルガリアにいる頃、肺炎となり、排外主義者達に暴行され負傷し入院したが(映画「ソフィアの夜明け」に登場する、トルコからの旅行者が排外主義者達にぼこぼこにされる場面と同じ)、かかったのは実費(薬代、X線代、注射代、食事代、手術時の麻酔代)だけだった。今はどうか知りませんが、当時(1995-8年)は、手厚い社会主義時代の制度が残っていて、外国人にも適用された(だから旧社会主義国家は財政破綻したのだと思いますが)

・ウズベキスタン旅行(1998年)中高熱に陥り医者にかかったが、ここでも社会主義時代の制度が残っていて、外国人旅行者であるにも関わらず、ウズベキスタン人と同じ扱いで、実費(薬代と注射代)だけだった。

・米国の湖でボートに乗っていて、転覆し、レスキューがやってきたのですが、やってきたレスキューが最初に口にしたのが、「カードもってるか?45ドルだ」だった。

・勤務先はグローバルのチェーン(?)の医療機関と契約しているので、そこに行く事になっています(深圳でもそこに行っていました)。今思えば、この医療機関が、米国の管理型医療保険制度の指定医療機関なのかも。
 

 自分の経験上なんとなく思うのは、旧社会主義国のように外国人にまで適用するくらい手厚すぎると財政破綻するし、米国と比べれば、医療費よりも、、「どこの病院でも診察・治療は受けられる」という点が、日本の公的医療の重要な点なのかも知れません。しかしまあ、タイとかで治療を受ける米国人が多い理由がよくわかりました。安かろう悪かろうのヤミ医療機関も繁盛しているような気もするのですが、どうなのでしょうか。映画「シッコ」も見なおそうと思います。グローバリゼーションが進むと、そのうち、交通事故などで危篤状態になっても瞬間冷凍とかしてタイとかに移送して手術し療養するような時代が確実に来そう。。。。
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by zae06141 | 2012-10-18 00:04 | 世界情勢・社会問題 | Comments(0)