古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
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最近(2016年末-2017年冬頃)読んだ古代ローマ関連書籍(1)

結構な長文となってしまったので2回に分割しました。

 昨年8月末、「最近(2016年夏頃)読んだ古代ローマと古代末期関連本」 という記事を書き、『秘史』の翻訳や、山川リブレット『背教者ユリアヌス』、西ゴート映画『アマーヤ』により、古代末期の興味が戻ってきたと記載しました。その後割りと直ぐに、大清水裕著『ディオクレティアヌス時代のローマ帝国』(感想)が読了でき、特に後期ローマ帝国(3-7世紀)の行政/経済/社会/言語状況等を、地域毎に知りたい、という欲求が高まり、関連書籍や論説などを順番に消化しているところです。




1) まずは、『西洋古代史研究入門』(1997年)を読みました。この本は、前半が古代ギリシアの研究史と論文・書籍紹介、後半が古代ローマの研究史と論文紹介です。古代ローマの部分は、以前からざっと読んではいたので、当初は古代末期の部分だけじっくり読み直すつもりだったのですが、途中から全部ローラー的に丹念に読み直すことにしました。古代ローマの研究史は、学生時代の講義で若干は理解しているつもりだったこともあり、卒業後の10年間の差分を知るだけの書籍だろう、と当初思っていたのですが、そんなことはありませんでした。1980年代中頃の学部講義で語られる研究史とは、1970年代とそれ以前のもので、80年代に雑誌に続々と発表されている幾つかの論文は読んではいても、全体像や研究動向などは、特に卒論をローマ史でやろうと考えていたわけではない一介の学部学生が把握することは難しく、この点『西洋古代史研究入門』は80-90年代の研究史と論文を知ることができたので有用でした。現在第一線の方々は、本書を入門書と読んだ世代か、本書が出たあたりで30歳くらいだと思われます。これらの方々は、ちょうど本書以降から著作や論文を発表しだした世代にあたるので、現在第一線の方々の著作を読めば、本書以降の研究がわかる、ということになりそうです。現在第一線の方々が学んだ研究が本書でわかる、という意味でも、本書は現在でも有用な書籍だと思います。

 一方古代ギリシアのパートは未読だったので、興味深く読めました。古代ギリシアの研究状況については、卒業後殆ど新刊書籍を読んでいないことから、私の知識はほぼ学生時代の講義で学習した村川堅太郎止まりだということがわかりました。それゆえ、本書を読んで、本書執筆(1997年)以降の古代ギリシアの書籍を読むのが楽しみです。98年以降の20年間の展開を読むのは、推理小説の解決編を知る期待に近いものがあります。本書にて、これこれこういう論争があります、この部分の研究が今盛んです、と書かれていた部分が、現在どういう展開を見せているのか、20年分を知る楽しみがあります。

2)『古代ローマを知る事典』(2004年)。これは、私の興味に合う書籍だったのですが、これまでは特に興味のある箇所だけしか読んでおらず、今回完読しました。色々発見がありました。「初心者が一冊で理解するローマ帝国入門」として妥当かどうかはわかりませんが、一応入門書候補になる書籍なのではないかと思います。

3) 村川堅太郎『羅馬大土地所有制』(1949年)

 学生時代、日本でのローマ研究者の大御所といえば土井正興/弓削達/吉村忠典の三氏であり(あくまで私の認識)、村川氏は既に古代ギリシアの人であるという以上に秀村欣二氏と並んで過去の人という印象がありました(羅馬というのが古さを感じさせます)。当時、土地制度というとマルクス主義の影響が濃く、一方これを乗り越えるために持ち出されたM.ウェーバーも、先見的に理論を適用する部分ではマルクス主義と共通していて、どちらにも満足できないものがありました。近代の概念である資本主義や商工業観を古代に持ち込むのも違和感がありました。本書の場合も、題名と年代からしてマルクスかウェーバーだろう、という先入観をずっと持っていたので避けていたのですが、属州農業を属州毎に論じている書籍を探していたところ、(日本語書籍では)なかなか見つからず、本書がまさにそれを扱っている、という情報を得たので読んでみました。イデオロギー的先見性が殆ど見られず、冷静にマルクス主義的研究やウェーバーやそれ以外の研究動向を分析していて、かなり普通の実証研究で驚きました。まだ考古学の知見が文献史学に導入される以前の、文献史学の範囲内の研究ですが、その範囲をまとめた研究という前提ならば今もって基本文献を用いた入門書として有用な基礎研究という印象を持ちました。
 本書は学生時代古書店で見て、当時の古書価格2000円くらいしたハードカバーの本だとの記憶があったのですが、先日図書館で実見したところ、選書くらいのサイズの150頁の薄い本でした。記憶はけっこうあやふやなものだ、と改めて思いました(当初図書館で読んでいたのですが、良書なので入手したいと考えていたところ、古書は出てないし、全文コピーはできないし、と思っていたら、『村川堅太郎古代史論集III』に収録されていて、古書も廉価で出ていることがわかり購入)。

4)『古代地中海世界のダイナミズム―空間・ネットワーク・文化の交錯』(2010年)。

全部で16の論文が入っているのですが、古代ローマはうち8つ、残りは古代ギリシアのもので、読んだのはローマの6編です。面白かった。こういう論文集(できればローマに特化したもの)が沢山出てくれると嬉しいかも。現在中古で14800円と高額なのが残念です。

5) 新保良明氏の『古代ローマの帝国官僚と行政-小さな政府と都市』が昨年9月刊行、と告知されたので楽しみにしていたのですが、10月→11月→12月、と毎月遅延されてしまったので、その間後期ローマ帝国の爵位などを調べていました。大清水裕氏の『ディオクレティアヌス時代のローマ帝国』でクラリッシムスやペルフェクティッシムスという爵位が当該時代の碑文で重視されていることに興味を促されてのことです。色々調べるほどに、A.H.M Jonesの『後期ローマ帝国 284-602年』(これ)はやはり読まねばならないのかも、と思って図書館に見に行ったところ、上下2巻で1550頁くらいあるのにぶっとび、更に同著者の『The Prosopography of the Later Roman Empire』も実見したところ、全三巻(第三巻が二冊に分かれていて実質四巻)、260年から641年の人名史料事典で合計4100頁を越す分厚さぶりにぶっとびました。何名が掲載されているのか定かではありませんが、ビザンツ世界の人名事典『Prosopography of the Byzantine World』が1025-1180年のパートで1万人とあり、上の後期ローマ帝国の人名事典も1頁複数人が記載されていたので、全部で1-2万人くらい掲載されているかも知れません。 A.H.M Jonesの『後期ローマ帝国』は、タイトルだけは学生時代から知っていましたが、その頃既に発表から20年たっていて、そのうち翻訳されるだろう、と思っているうちに30年、とうとう発表から50年たっても翻訳されないので、将来もでないだろう、と思っていましたが、その理由が実見してみてよくわかりました。1500頁あるといっても、前半1/4は通史、後半は1/4は註、最後の100頁は官職表資料となっていて、本論部分は中盤の700頁くらいです。この部分だけでも翻訳し、前半はカット、註と資料集を英文のままつけて翻訳本を出してくれると嬉しいのですが、、、、、。読むとしてもいつ来るかわからない老後かな、という気もしていましたが、やはり1500頁くらいある『Cambridge History of Iran Vol2』も、完読したわけではありませんが、主要部分は頑張って読んだので、やってやれないこともないかも知れません(が、『Cambridge History of Iran Vol2』は出版後20年目頃に読んだので、まだ廃れていない、という意識がありましたが、出版後50年以上たった『後期ローマ帝国』はやはり無理かも、、、、などと悶々としています)。

 新保良明氏『古代ローマの帝国官僚と行政-小さな政府と都市』の主な感想はレビュー(こちら)に書いた通りです(どうでもいい話ですが、この本、アマゾンで購入したわけでもないのに、「アマゾンで購入」タグがついています。最近のアマゾンは、アマゾンで購入しているのにも関わらず購入タグがつかなかったり、購入していなくてもタグがついてしまうという、システム上の混乱が目に付きます。アマゾン社に連絡したところ、既に不具合として認識しているそうで、対応中とのことでした)。

 新保氏の新刊は、細かいところでは結構疑問点がでたので、調査しながら読み進めたこともあり、足掛け1ヶ月くらいかかってしまいました(とはいえ入手不能な海外文献が出典の場合は、一部についは、恐らくこれが出典で、こういう解釈だろう、との推測だけで、殆どの事項は確認できていませんが、、、)。結論的には著者の解釈に納得できる部分が多く、少し説明不足な感じもありましたが、そもそも本書は研究者向けの書籍であって、私のような前提知識が不足している一般読者向けではないので、仕方がないことではあります。しかし本書のお陰で、帝国行政に関して、(現時点の私にとっての)残る大きな調査事項は、皇帝官房、属州総督の属吏、都市行政の吏員、及び帝政後期の行政と官僚に関する研究、という整理ができました。そして結局帝政後期となると、A.H.M.Jonesの『後期ローマ帝国』が立ちはだかることになるという、、、、、
 レビューでは書きづらかったのでここで書きますが、新保氏が、都市化率が古代にしては過大としか思えない数値を(暫定数値ではあっても)採用してしまったのは、都市財政規模を大きくして、氏の研究テーマであるエヴェルジェティシズムの重要性をアピールしたいからではないのだろうか?という印象を受けてしまいました。個人的には、そんなことをしなくても、エヴェルジェティシズムの重要性は変わりはないので大丈夫だと思っています。

 新保本は、読了するのに足掛け一ヶ月かかってしまったのですが、これは、気になった点を調べようと検索すると、結構な量の関連文献がネットで公開されていて、一部を読んだりしているうちに時間をとられてしまったためです(そしてまだ読んでないPDFが沢山あります)。研究文献が公開されるのは、オープンソース運動を推進している立場からは大変嬉しいのですが、7000円の本に実質数十時間(多分20時間くらい)をかけたという点で、あまり経済活動に貢献しない、という妙な脅迫観念のようなものが生まれてしまいました。趣味なんだから、コストのかからない散歩をしようと、お金をかけてスポーツセンターに通おうと、高級クラブにいこうと、図書館で本を借りようと、本は全部新刊を買おうとひとそれぞれではありますが、例えば、漫画だと、30分で1冊500円、1時間あたり消費1000円、映画1時間半-2時間で1800円という経済効率と比較すると、7000円の本は7時間程度で読まないと消費に貢献しないかも、、、、というような意識が読んでる最中ついてまわっていました(これでもアルバイトの時給くらいでしかないので、7000円の本は3時間くらいで読まなくてはならないのかも)。昨今は余暇を如何に消費に組み込むか、で関連企業は余暇に関する統計情報を集め、余暇の奪い合いにしのぎを削っているので、消費に貢献しない余暇の使い方はよろしくない、みたいな強迫観念にちょっと囚われている感じです(というようなことをここ1ヶ月ばかりずっと考えていたのですが、積読も含めればそこそこ消費しているので、まあいいのか、と今思いました。部屋のスペースの確保が大変ですが。ダンロードしたPDFもたまってゆく一方であります、、、)。

※昨年秋、古代メソポタミア料理再現会を実施した音食紀行さんが、先週古代ローマ料理再現会を実施していたことを一昨日くらいに知りました。相変わらず情報が遅い私。これはちょっと参加したかったかも(メソポタミアも本当は参加したかったのですけど)。以前古代エジプト再現料理を食べたことがあるのですが、普通のビールとパンとお菓子でした。。。本物に忠実なものを作ると現代人の口に合わなくて、売上げにならない恐れがあるのでこういうことにしかならないのでは、と思ったのですが、人数限定の1回だけの料理会であれば、参加者もマニアックな人々だけなので問題ないのかも知れません。取り合えずひよこ豆とレンズ豆のペースト買いました。

次回に続く

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by zae06141 | 2017-02-11 00:06 | 古代ローマ・ビザンツ関係 | Comments(0)
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