古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
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最近(2016年夏頃)読んだ古代ローマと古代末期関連本

 今年前半はほとんど本を読まずに映画ばかり見ていたので、脳内の活字スペースに余裕ができたのか、6月後半以降スポンジが水を吸収するように集中力がでて本がどんどん読めています。地下鉄で2-3駅先で乗り換えという時でも一気に集中力がでてざくざく読めます。この好調がいつまで続くかわかりませんが、読める時にどんどん読んでしまおうと思っています。






 昨年春古代ローマ衰亡論関連書籍を5冊読み、最近の研究状況はわかったので取り合えずローマ帝国衰亡関連は当面いいかな、と思っていたのですが、今年1月に『秘史』(感想)、山川ブックレット『背教者ユリアヌス』(感想)を読み、古代末期のローマ帝国各地地域ごとの社会・経済に関してできる限り最新の考古学知見を加味した書籍を読みたいとうっすらと思っていたところ、映画『アマーヤ』で古代末期イベリア半島の西ゴート社会にも興味が戻りました。しかし学際的観点で西ゴートの社会・経済を扱った邦訳文献は殆どなさそうなので、同時代のフランク王国メロヴィング朝を扱った、白水社クセジュ文庫のレジーヌ・ル-ジャン著『メロヴィング朝』を読みました。これは考古学知見も加味され、メロヴィング朝の農村景観や人口推計などにも若干触れられていて有用でした(佐藤彰一著『ポスト・ローマ期フランク史の研究』も図書館でざっと目を通してきましたが、これも面白そうです。法制史などの古い研究だという先入観があったのですが、言語論的転回以降の新しい史料論を取り入れた研究書なのだと知りました。いずれ完読したいと思います))。6世紀の東方のシリアについては、渡辺金一著『中世ローマ帝国 (岩波新書)』(感想)に確か記載があったことを思い出し読んでみたところ、まさに求めていたもののひとつを読むことができました。これと同じレベルで古代ローマ領土全体の各地域に関する書籍をあと100箇所くらい読むのがどうやら自分の望みなのではないか、と感じるようになっています。

 6世紀のフランスとシリアの社会・経済に関する本を一応読めたので、次は7-10世紀のイタリア半島の社会史・経済史の書籍を探していたところ、岩波講座世界歴史第七巻『ヨーロッパの誕生』に、わずかな頁数ながら章を立てて研究状況が紹介されていることを知り読んでみたところ、この本は、私が中世前期に関して感じていたストレスをかなり解消してくれる書籍だということがわかりました(感想)。

 社会史・経済史の場合、多くの書籍では西ローマ滅亡後の古代末期はほぼスルー、前期中世はほとんどフランク王国の、アウストラシアとネウストリアあたりの一部の地域の社会・経済史が中世前期全体であるかのような描かれ方や、法制・政治史中心の、アプローチとしては古い文献などしか目にしたことが無かったので、考古学による成果や20世紀後半に勃興した史料論も随所で取り入れられている本書は、まさに私が望んでいた内容に近いものでした。

 帝政ローマ時代の東方領土の社会に関しても知りたかったので、このあたりを書いたバワーソック(『背教者ユリアヌス』で私にとって評判が下がった人)著『HELLENISM IN LATE ANTIQUITY』を注文したところ、最近では遅くても2週間で届くUSアマゾンの配送が2ヶ月もかかることになってしまったので、その間、ローマ時代のヘレニズムに触れている伊東俊太郎著『近代科学の誕生』を読み、更に12世紀ルネサンスに興味が出てきたので同著者の『12世紀ルネサンス』も読みました。私は、12世紀ルネサンスとは、十字軍が触媒となってイスラーム科学とイスラーム経由の古代ギリシア科学が伝わったものだと思っていたのですが、伊東氏の主張は、十字軍以前の十世紀からイスラームの科学はイベリア半島やイタリアに伝わり始めていて、12世紀ルネサンスについては、十字軍とは関係なく伝播が起こったことの論証にあることを知り、若干イメージが改まりました。プロティノス(3世紀)とかもなんとなく15世紀のプレトンのようなプラトンの劣化焼き直しだというイメージがあったのですが、伊東氏はより独創的積極的な役割を見出しているのも新鮮でした(プロティノスはおろか、弟子のポルピュリオスとプロクロスの邦訳まで出ているとは驚きです。老後に廻す著作がまた増えました)。古代シリア語文学に関しては以下のPDFも参考になりました。

シリア語文学:諸文化の十字路

ギリシア語からシリア語、アラビア語への翻訳―誰が何をなぜ翻訳したのか

 伊東氏の著作を読んでイスラム時代のスペインにも興味が戻ってきたので、W・M・ワット著『イスラーム・スペイン史』も読み、更に『アンダルシア文学史』も購入しました。ワットの著作は、文学史の割合が多いため若干の知識がついたことで、いきなり読むにはハードルが高そうだった『アンダルシア文学史』が読めそうな感じになっています。また、ワットの著作を読んだことで、余部福三氏の『アラブとしてのスペイン―アンダルシアの古都めぐり』も読める段階になったような気もしています。

 伊東氏の著作には、更に古代末期のシリアの学芸への興味も刺激されました。バワーソックの『HELLENISM IN LATE ANTIQUITY』にはシリアの章もあるので楽しみです。

古代ローマについては以下の書籍も読みました。

豊田浩志編『モノとヒトの新史料学-古代地中海世界と前近代メディア』(感想
ベルナール-レミィ著大清水裕訳『ディオクレティアヌスと四帝統治
モーティマー・チェンバーズ編『ローマ帝国の没落

上記レミィの著作は大清水裕氏の『ディオクレティアヌス時代のローマ帝国―ラテン碑文に見る帝国統治の継続と変容-山川歴史モノグラフ)』の事前準備として読んだものです。大清水氏の著作は、ディオクレティアヌス時代のイベリア半島の論文目当てだったのですが、よく見ると各論は、ディオクレティアヌス時代の西方ローマの各地域を対象としているため、今は全部読むつもりです。論文集を一気に読んでも一気に忘れるだけなので、他の本と平行して少しづつ反芻しながら読み、今年中の読了を目指したいと思っています。

 チェンバーズの『ローマ帝国の没落』は、原著は1956年刊行の、著名な研究者たちの諸ローマ帝国衰亡論を扱った短い論文集で、30年ぶりの再読です。内容をすっかり忘れていたのですが、改めて読んでみると、今となっては古すぎるものが半分あるものの、もう半分は今もって有用な研究であることを知りました(論者たちの衰亡論の元ネタとなっている研究は20世紀初頭のものが多いので、2016年の現在からすると100年近く前の研究だったりする)。特に12章ノーマン・ペインズの「現代におけるローマ没落原因論諸説」は、各論を批判的に論評したサマリーとなっていて、ここだけでもこの本は未だに読む価値のある本だと思います。

ところで、帝政ローマ前期は、よく西方の方が繁栄していた、とされ、アンガス・マディソンのような数量経済史の人口推計も、帝政前期、西方ローマの人口が東方を大きく上回る人口成長を見せたことになっていますが、その根拠は何なのか、ずっと知りたいと思っていました。バワーソックら英米の古代末期研究者には、東方をもちあげるイデオロギーが強くみられるとのことですが、そうだとしても、私もどうにも(現在の知見の範囲では)、帝政時代の西方ローマが東方を上回る繁栄をしていたようには思えないので、上述の『ローマ帝国の没落』でテニー・フランクがローマの墓地の碑文を研究し、東方の人名が多いことから、東方から人口流入があった、という説(1915-16年発表)を立てているのを読んで、ひょっとしてこれが根拠なのでは?と疑うようになってます(しかも、この説は同書所収の12章ノーマン・ペインズの「現代におけるローマ没落原因論諸説」で反論されているので(否定されているのではなく、史料解釈の別の可能性も指摘されている)数量経済史の西方繁栄説の根拠がフランクの研究だったりすると、はなはだ心もとない見解ということになってしまいそうな予感もしてます、、、。しかし一方、長谷川岳男『ギリシア「古典期」の創造-ローマ帝政期におけるギリシア人の歴史認識ー』(西洋史研究 Vol32,2003年)を読み直してみたところ、考古学調査に基づく当時(2003年)の最新研究が紹介されていて、それによると、ギリシア本土においては実際ヘレニズム後期に農地は放棄され、人口が減少していると考えられ、三世紀になってから再度の繁栄に向かうそうなので、帝政前期の西方繁栄と東方の停滞はありえたのかも知れません。しかし一方で、農場の縮小は、「ローマ征服による都市化」の推進に原因があり、停滞していたわけではない、という見方も成り立つそうです。古典期ギリシアのポリスは、従来見なされていた程都市化が進んでいたわけではなく、ローマ時代に入ってはじめて都市化が進んだ、という見方です(私がこれまで訪問した東方遺跡での印象もこれと同じです。古典ギリシア時代の遺跡と比べるとローマ時代の遺跡ははっきり見分けがつくほど洗練されています。現在開催されている東京国立博物館の『特別展 古代ギリシャ ー時空を超えた旅ー』での遺物でも同じ印象を受けました)。ギリシア本土以外の東方での考古学調査等含めた最新研究を読んでみたい次第です(長谷川氏の当該論文で、考古学調査の記載が依拠しているAlcockの論文は1997年と2001年のものなので、1990年出版のバワーソック『HELLENISM IN LATE ANTIQUITY』は、もう古すぎるような気がしてきました。せっかく購入したバワーソック、読むモチベーションが下がってしまいました、、、)。

ところで、フランス人学者パトリック ル ルがローマ時代のイベリア半島の研究者で、考古学知見を取り込んだ研究をしているということを知りました。彼の
Romains d'Espagne. Cités et politique dans les provinces(1995)(『ローマ時代のスペイン、地方都市と政治』)
Espagne romaines. L’empire dans ses provinces(2014)(『スペインのローマ、その帝国と地方』)
を読んでみたいのですが、英語版が出ていないのが残念です。電子書籍が出てくれれば、翻訳機で英訳して読めるので早くそういう時代になって欲しいと願う次第です。


 このように最近の読書を整理してみると、どうやら映画『アマーヤ』一発が起点となって、古代末期から中世初期のイベリア半島とシリア語文献研究のあたりをうろうろする感じになってしまっているようです。

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by zae06141 | 2016-08-29 00:14 | 古代ローマ・ビザンツ関係 | Comments(0)
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