古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
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2014年役に立った歴史関連書籍・論説・PDF

 昨年読んだ歴史関連の著作物は、書籍よりも雑誌論文やpdfが多いので、記事を分割してみました。昨年は基本的に数量経済史に繋がるものばかり読んでいたようです。昨年は、ローマ帝国の人口推計とGDPの数値の根拠とロジックや、ビザンツ帝国とオスマン朝の財政額の史料などを知ることができ、有用でした。そういうわけで、数量経済史関連のものが多くなりましたが、以下、昨年役立った書籍やPDFについて紹介したいと思います(以下more)。







【1】歴史人口推計関連

1.Atlas of World Population History (Hist Atlas) Colin McEvedy著(書籍)(感想
2.ウォルター・シャイデルの古代ローマ人口推計関連論説pdf
 「Roman population size: the logic of the debate(2007年7月)」(PDF)(要約記事
 「The Roman slave supply(2007年5月)」(PDF)(要約記事
3.プトレマイオス地理学人口推計に用いた場合の記事
4. A new perspective for the demographic study of Roman Spain. CARRERAS MONFORTC著(PDF)(要約記事
5. 「コンスタンティノープルの人口と生産機構」 米田治泰著「西南アジア研究 No21 p31-48(人口推計紹介記事
6.古代ギリシャ・ローマの飢饉と食糧供給(書籍) ピーター ガーンジィ著

 これらの書籍・PDFのお陰で古代ローマの人口推計の根拠については概ね理解することが出来ました。要約をサイトに記載することもでき、一応古代ローマの人口推計については、私の中ではだいたい終わった感じになりました。


【2】財政推計値関連

1.State, Land Tax and Agriculture in Iraq from the Arab Conquest to the Crisis of the Abbasid Caliphate (Seventh-Tenth Centuries) Michele Campopiano著(PDF)
2.The Third Century Internal Crisis of the Abbasids DAVID WAINES著(PDF)
3.初期イスラム期のエジプト税制  森本公誠著(書籍)
4.中国歴代戸口、田地、田賦統計 梁方仲著(書籍)
5.The Government of the Ottoman Empire in the Time of Suleiman the Magnificent(1913年) Albert Howe Lybyer著(PDF)
6.「A History of the Byzantine State and Society(1997年)」 WarrenTreadgold著(PDF)

 上記1-3は、アッバース朝のイラクとエジプトの財政額推計に関する論文です。非常に有用だったので今年中には要約を書きたいと予定しています。


【3】 GDP推計関連

1.「古代帝国における国家と市場の制度的補完性について(1)ローマ帝国」 明石茂生著(PDF)
2.「古代帝国における国家と市場の制度的補完性について (2) 漢帝国」明石茂生著(PDF)
3.The size of the economy and the distribution of income in the Roman Empire Walter Sheidel(PDF)
4.The standard of living in ancient societies : a comparison between the Han Empire, the Roman Empire , and Babylonia Bas van Leeuwen, Reinhard Pirngruber, and Jieli van Leeuwen-Li(PDF)

 これらは、ローマ帝国、漢王朝、パルティアのGDPや所得に関する研究です。

 数量経済史、或いは数値を用いた歴史分析は、どういう史料があって、どういうロジックでその数値が導き出されているのか、という点が重要なのであって、結果の数値は、今後の史料とロジックの変化によって、いくらでも変わる可能性のあるものです。重要なのは史料とロジックであって、結果の数値自体にはないのですが、結果の数値が一人歩きをしてしまう危険もまた大きいことも確かなので、この点が数量経済史が嫌われてしまう要因でもあるようです。私の本業のIT業でも、同様の問題を抱えています。IT業界では、「新規導入のサーバーの性能が2倍になるから、システム全体の性能が2倍になる、業務効率が2倍になる」などという宣伝文句や、美しいEXCELグラフに溢れています。私の見たところ、欧米の顧客は、数字の読み方に慣れているので、業者側が提示する数値について、どういう根拠とロジックで、業務効率がその倍率になるのか、と徹底的に突いて来る傾向が感じられますが、日本人は、こうした点を突っ込む意識がまだまだ弱く、本番稼動直前の総合性能試験で性能問題が発覚し、「おたくの営業やエンジニアがn倍の性能になると言った、言わない」というトラブルに発展することが結構あります。「どんな数字も疑う」「根拠とロジックを突き詰める」という習慣が、欧米に比べ、日本ではまだ意識が低く、場合によっては、数字すべてを胡散臭いものだとして、拒絶してしまう、という、極端な方向にいってしまう傾向さえ感じられることがあります。そういう極端に陥ることなく、数値が構成・加工されてくる背景や意図をじっくり追及する姿勢が、IT業界や歴史学だけではなく、生活のあらゆる面で、より以上に必要となってきているのではないかと思うのです。

 私は、こうした観点から、数量経済史で登場する過去の帝国や王朝の人口数や、GDPや財政数値などについて調べています。結果の数値を知りたいということよりも、どういう史料があって、どういうロジックで数値が導き出されているのか、を知りたい為に行なっています。数年前までは、私も、近代欧米以前の地域の数値は、「百万のマルコ」的に、きりのいい数字を並べただけで、まじめに検討するような内容では無いと考えていました。しかし一方で、帳簿の詳細なつけ方が明らかになったり、帳簿自体が発見されたり、農地区画の遺構や、発掘された倉庫の大きさなど、多様な断片的な史料から、それなりに信頼できる数値もあるのではないか、とも感じられるようになりました。


【4】 農業生産性(収穫倍率)関連

1.古代ギリシャ・ローマの飢饉と食糧供給(書籍) ピーター ガーンジィ著
2.ローマ農業の生産性 馬場典明 財団法人古代学協会『古代文化』 Vol49(1997年)
3.前六-後三世紀ガンジス川中流域の稲作法-インド古代農法の歴史的位置-三田昌彦 名古屋大学東洋史研究報告16号 1992年
4.古代インドの農業 岩本裕 (『古代史講座』学生社弟8巻「古代の土地制度」第3章)
5.古代インドの農書『クリシ・パラーシャラ』について 岩本裕 『古代文化』Vol17-1 1966年
6.世界農業史上における古代パンジャープ 早地農業の位置について 飯沼二郎 『人文学報』 20号 京都大学人文科学研究所 1964年
7.古代シュメールにおける農業生産-ラガシュ都市を中心として- 前川和也 『オリエント』Vol9 2-3 1966
8. 収穫倍率についての覚書 森本芳樹(PDF) (中世西欧の収穫倍率)
9..日本古代における農業生産と経済成長:耕地面積、土地生産性、農業生産性の数量的分析 高島正憲(PDF)


 これらの論説を読んでいてわかったことは、各時代や地域の農業生産性を比較する場合、①一定の区画における播種量を考慮せず適当にまいた土地の生産性と、②土地の範囲も既定せず、種の量も特に規定・限定せず、播いた種に対する収穫生産性と、③一定の区画において、一定の種を播いた場合の生産性、④優良地の生産性 ⑤ある地方全域の平均生産性 の5つが混同されていることが多い、ということでした。例えば、古代シュメールの76倍という生産性は、③と④に該当し、中世西欧の4-5倍という倍率は②と⑤に該当する、ということなどです。西欧で④の条件の土地(ベルギーなど)であれば、20倍の倍率であることもあるが、西欧全体の平均では4-5倍になる、古代ローマにおいて、イタリア半島の優良地であれば、10倍、平均すると4倍、区画を既定せず、とにかく生産性の高い土地に播けば76倍を記録することもある、というようなことです。これらの内容の要約については、次回掲載したいと思います。


【5】 その他

1.Hamza al-Isfahani and Sasanid Historica Geography(PDF)
2.エウトロピウス『首都創建以来の歴史』(PDF)
3.プロコピオス『秘史』(PDF)
4.ケウカメウス『ストラテギコン』(PDF)

1と2は、パルティア・サーサーン朝の史料として論文などによく出てくるもので、かねがね読みたいと思っていたものです。僅かな情報ですが、この史料にしか書かれていない内容が多く、大変貴重です。読むことができて幸運です。

3は、あまりにも有名な作品なので説明は省きますが、高校生くらいの頃、ビザンツ帝国に興味を持ち出した頃に、肯定的な興味を持っていたユスティニアヌスとテオドラのイメージが、思い切り悪くなりました。著者の偏見が思い切り入っているとはいえ、これでもか、と胸の悪くなるような記載が続くので、肯定的に解釈しろと言われても無理があります。

4は、11世紀のビザンツ帝国マケドニア朝の貴族ケウカメノスが息子に残した家訓です。井上浩一氏は、1986年に(上)(中)と訳したのに、(下)はいまだに公開されていないのが残念です。これも結構暗澹とした世相と世界観が描かれているのですが、当事のビザンツ人の意識を知ることができ、非常に有用でした。現在の日本でを世知辛い世の中だと考えている方にとっては、共感できるところの多い処世訓だと思います。
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by zae06141 | 2015-01-08 00:47 | その他歴史関係 | Comments(0)
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