古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
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書籍「海のかなたのローマ帝国/ローマ経済の考古学/渤海の歴史と文化/サウジアラビアを知るための65章」等

 この週末2日間、終日図書館にこもって色々読みました。朝開館直前に行って閉館まで1日11時間、しかもどういうわけか集中力が持続し続けるという私としては近来稀な出来事。幾つかについては書評をAmazonなどに記載したものもありますが、それ以外のものも多いので、書籍紹介も兼ねて簡単にフィードバックしたいと思います。といっても沢山目を通したので斜め読みが多く、一冊全部読んだものは少ないのですが。。

「海のかなたのローマ帝国」
 きっかけは先週「ローマ帝国 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 」を読んだこと。本屋で南川高志氏が記載している解説を立ち読みし、少し興味は持っていたのですが、今更入門書的な書籍を買うまでもないと思っていたところ、蔵書数も少ない近所の町内図書館にあったので借りてきて読みました。啓発される視点が多く、特に「ローマの支配の地方への浸透ぶりの実際」と「英国のインド統治とローマ帝国」などが参考となりました。2003年に出版された時はローマ時代のブリタニアのなどという辺境を扱った「海のかなたのローマ帝国」の意義が理解できなかったのですが、「ローマ帝国 (〈1冊でわかる〉シリーズ」に啓発されて読んでみたところ、かなり有用でした。ギボンの「ローマ帝国衰亡史」が18世紀後半に登場し、インド赴任時代のチャーチルが愛読したなどの話や、熱心なローマ研究ぶりなど、英国は植民地時代の最初から、ローマ支配を参考にしていたものと思い込んでいたのですが、その先入観を覆されました。19世紀末までは、「衰亡史」も没落を主軸に捉えた反面教師のように受け取られていたのですね。それにしても南川氏の文章は上手いですね。たまたま私にとって相性が良いだけなのかも知れませんが、どうにも引きずり込まれてしまい、飛ばし読み、斜め読みができず、結局2/3を読まされることになりました。巻末で、今後はドイツ、フランスなどの地方支配の実態の研究に向かう、との記載がありましたが、今後の研究(の書籍化)が楽しみです。

・「ローマ経済の考古学

 431ページもある分厚い大著です。ローマ帝国各地の貨幣、農地、鉱山、採石場などの状況を丹念に分析した書籍です。読み物としては面白くはありませんが、資料としては非常に有用だと思いました。分厚いので斜め読みどころか、拾い読み、全ページ目を通しましたが、実際に読んだ分量は50ページ程ですが、参考になりました。紀元前後から250年の銀貨の銀含有率の変遷表は良く目にしますが、318-340年の資料ははじめて。コンスタンティヌスと内戦中のリキニウス支配時代の東方の銀貨の銀含有量が極度に低くなり、それが内戦の資金捻出の為、との分析は説得力がありました。しかし、この年代の銀含有量は3.5%以下というのも驚きです(2世紀までは70%以上、250年で40%程度)。また、英国、スペイン、シリアその他各地の田園地帯の遺跡を分析し、都市とヴィラと一般農民の分布の分析などは、当時の農地の景観を具体的にイメージすることができて有用でした。同じような分析が、各地のついて延々と繰り返し続くので、読み物としては飽きてしまうと思うのですが、南川氏が英国について書いている田園風景と似たような景観が帝国全土に広がっていたことが良くわかります。遺物の出土範囲から、地方のローカルな交易圏を分析する点などは、こうした話は、オリエントとインダス文明の交流など、異なった文明の交流などではよく目にする話ですが、ローマ帝国内のローカル経済という地味な分野でも地道に行われていることに少し感動しました。


・「渤海の歴史と文化
 後に続く後継国を持たず、蜃気楼に浮かぶ楼閣のごとく忽然と現れて消え去った渤海には幻想的なロマンを感じ、惹かれるものがあります。とはいえ渤海史は一応講談社の「渤海国」で概説に目を通しており、渤海史に限らず詳細な政治史にはあまり興味が無いので(ギボンのローマ帝国衰亡史やタキトゥスさえ一部しか読めていないのでした)、前半の歴史の部分は全て飛ばし、目を通したのは最後の章、朝鮮、日本、中国の史料一覧と解説、及び3国の渤海認識の歴史的変遷、及び3国とロシアを合わせた研究史と研究動向と文学・思想・絵画など文化関連の章だけ。中国と韓国の間で争点となっている論争の背景などに興味があったのと、最近は史料や研究史に興味が傾いてきていることもあり、最後の章はそんな私にはうってつけでした。

 それによると、韓国が渤海国を自国史に編入したのはナショナリズムが勃興した日本統治時代から戦後のことだと思っていたのですが、李氏朝鮮時代の著作の一部に、既にそうした見解が見られていたとは知りませんでした。新羅と渤海を南北時代と称するのも、近年のイデオロギーの産物ではなく、李氏時代の著作に既にあったのですね。また、史料一覧については非常に詳細で(というか、もともと史料が少なすぎなので、ニッチ史料まで紹介できるということなのでしょうが)、秋田県の多賀にある碑文まで紹介されているのには驚きました。中国の歴代史料にも、「旧唐書」系と「新唐書」系で見解が分かれている(前者は高句麗の別種説、後者は靺鞨説)のもへぇ~という感じ。

 中国の研究史や渤海認識についても、韓国の学者にしては冷静な記述がなされているように思えましたが、その次の日本の渤海認識の章を、本書の監訳者である濱田耕策氏が書いていることから、「この翻訳はかなり訳者が手を入れているのでは?」との疑念も出てきてしまいましたが。。。。(濱田氏のパートでは「渤海は日本に朝貢している、と当時の日本側は認識していた」という記載が出てくるのですが、韓国人がこういう文章を書くとは思えないのでした)。そういう疑念があるとはいえ、結果的にはあまり偏向色を感じない、冷静な学究書籍となっていると思えます。渤海史書籍としてはかなり有用なのではないかと思えました。それにしても、国王だけではなく、臣下や将軍までが唐から官位をもらっていたとなると、中国が自国内の地方政権と主張するのもわかる気もするのですが、近代以前の中国の冊封体制は近代的な概念では理解し難い独特の論理でできているので、渤海独立国論争は解釈に振り回されて永遠に続くのでしょうね。。。。

・「疾駆する草原の征服者―遼 西夏 金 元 中国の歴史
 読んだのは杉山正明氏の、契丹研究の為の中国取材旅行の章と東丹国の章だけ。歴史シリーズで著者のエッセイが長々と続くのは珍しいと思うのですが、面白かったです。気になったのは1点、宋代の人口について、「宋の優勢を印象づける為、単に史書の数字を3倍しただけの1億3千万という説は受け入れがたい。史書の通り4000万と考える」というのはどうかなぁ。前回の記事でも記載した通り、宋代の史書記載の人口に疑念があり、1億という推定値を出しているのはそれなりの根拠があってのことなので、そうした研究を無視するのは研究者としてどうなのかなぁ。この人の場合、中国中心史観を相対化したいのはわかるのですが、思い入れが強いあまり「戦争といっても余程の例外を除きモンゴルは戦わなかった」「モンゴルは負けることが多かった」(「遊牧民から見た世界史」p361)などと書いてしまう姿勢が気になります。政治家が「秘書がやった」、金正日が「拉致は部下が勝手にやった」などと言っても通用しないのと同じで、「2回目の元寇は高麗と南宋がやった」などとは誰も思わないと思うのですが。。。。「遊牧民から見た世界史」は著者の思想の普及を図ったアジ本なので構わないのですが、講談社の中国の歴史シリーズみたいな書籍でやるのは学者としての信用を損なうように思えます。見解を異にする人を説得できる客観的な主張をするのが学者の務めだと思うのですが、杉山氏の場合、シンパを増やすことにしかならない姿勢が見られるのが残念です。

・「サウジアラビアを知るための65章
 最近、イスラーム研究者や親イスラームの方々を「護教論者」と糾弾する人々がいる人を知りました。そういう方はアラブ研究者である池内恵などを絶賛しているようです。が、彼はあくまで「アラブ」の研究者であって、イスラーム全体の研究者では無い筈なのですが、反「護教論者」は池内恵をもって、イラン研究者(桜井啓子など)を糾弾しているのが不思議です。更に不思議なのは、反「護教論者」の一人にせっせとAmazonレビューを書いている方がおられ、イスラーム関連のレビューを全て拝見したところ、サウジアラビアだけは、批判していないことがわかりました。結局反「護教論者」って、親米派なのね。と思うとともに、私自身があまりサウジについて読んだことが無いことにも思い至り、今回何冊か目を通してみました。
 まず最初にわかったことは、「イランを知るための65章」では、55名の執筆人がおり、私の知る範囲で著名なイラン研究者は殆ど参加しているのに対し、「サウジアラビアを知るための65章」では池内氏が入っていない点。執筆者が11名と少ないので、池内氏も貴重な戦力だと思うのですが、なんで?派閥とか?本書は決してサウジ礼賛の書ではなく、マイナス面も多数記載しているので、池内氏の辛口記事を入れても問題ないように思えるのですが。。。池内氏の守備範囲はエジプト・シリア・ヨルダンという印象もあるのですが、ひょっとして彼はサウジについてはあまり知らないのではないか?と思えてしまいました。とりあえず本書は役に立ちましたが、生の生活情報が殆ど無いので、在住者の経験も知りたいと思い、次の2作を読んでみました。

・「恋するサウジ
・「不思議探検サウジアラビア
 読み始めるまでこの2作が同じ著者だとは思っていなかったのですが、何か違いがあるかも知れない、と思い、一応目を通しましたが、内容は殆ど同じ。ただ、後者は文章より読者の興味を引くような可愛いイラストが主体で、更に本書には本来DVDが付されていて、どうやら本書のメインはそちらにある模様。で、読んだ感想なのですが、富裕者向け観光ガイドという感じ。著者は「古い情報に誤解している方も多い」「70ヶ国を訪問したが、こんなに親切で安全は国は無い!」「アメリカをそのまま持ってきたようなショッピングモールがある。英語も良く通じる」「常識の違いは、ポイントを抑えることで楽める」と感動を熱く語っています。素直に感動した気持ちを伝えたいのだという気持ちはわかるのですが、サウジに恋するあまり、盲目になってしまっている、という感じ。あとがきで「テロが無い」とまで書くに至っては、こういう人が早稲田大学の客員教授だとはビックリです(外務省の海外安全ホームページのサウジアラビアのページに本書出版当時のテロ被害情報があります)。貧乏国を嫌悪する様子が見られるのも気分が悪くなりました。なんというか、北朝鮮で豊富な石油が出れば、北朝鮮もサウジアラビアみたいになれるんじゃないの。で、そこにアメリカンショッピングモールがあれば著者も礼賛するようになるんじゃないの。と思いましたね。まあ著者はサウジに招待されて視察するくらいだから、サウジの広報を勤めるのが仕事なのかも知れませんが、それにしても能天気すぎるのではないかと思います。と同時に、イランや中国を批判する人の意識も少しわかりました。イランや中国が好きな私も(決してムッラー体制や共産党を支持しているわけではないのですが)、きっと郡司さんと同じように見えているのでしょうね。

・「アルジェリアを知るための62章
 最近アルジェリア大使館の個人ビザ取得のページをネットで読んで、「アルジェリアも平和になり、開放的になったのか」と、最新情報に更新する為にざっと目を通しましたが、ジェトロの報告書みたいな内容でした。これじゃあ読者はアルジェリアに赴任する商社マンくらいしかいないんじゃないの、というくらいサウジアラビアよりも政治と経済に偏った内容。まあでも未だにテロ発生国のイメージがあったので、国内がだいぶ安定したことがわかっただけでも目を通した甲斐はありました。

・「スペイン・ポルトガル史 (新版 世界各国史)

 フィフリストの記事でも記載しましたが、最近12から15世紀のスペイン・ポルトガルと、12世紀のシチリアに興味を持ち出したので、レコンキスタ時代のイベリア半島経済、特に統計情報を知りたいと思い、その部分だけ目を通しましたが、殆ど通史だけ。16世紀に入ると人口や輸出入額などの数値が出てくるのですが、レコンキスタ時代はほぼ政治史だけ。まあ予想はしていましたが残念。

・「世界歴史大系 スペイン史〈1〉古代~近世
 こちらは2008年の出版であり、かつスペインのみを扱い、しかも2分冊であるにも関わらず、レコンキスタ時代の経済情報は「スペイン・ポルトガル史 」と同じような感じ。それ以外でも数値情報が少ないように思えました。

・「ポルトガル史
 こちらもレコンキスタ時代の経済情報は少ないのですが、単なる通史と期待していなかったところ、1527から32年に行われた全国人口調査の数値が掲載されているのは拾い物でした。各州とベスト13位までの都市人口表や、17世紀以降の英国との経済関係の数値情報などが掲載されていて有用でした。

ところで、スペイン関係の部分を記載していて、何故図書館に行ったのか思い出しました。そもそも、高山博氏の「中世地中海世界とシチリア王国」を借りに行ったのでした。先に図書館のホームページで在庫を確認してからいけばよかったのですが、以前置いてあった記憶がありでかけてみたところ、置いてなかったので、借りて直ぐ帰ってくる筈が、終日こもることになってしまったのでした。

・「イスラム世界は何故没落したか
 西欧の勃興時期に興味がでてくると、同時に、イスラームはいつ停滞・没落したのか?にも興味が出てきてしまうようです。本書にその辺を期待してみたのですが、基本的にオスマン朝をしか扱っておらず、しかも、基本的には「停滞をいつ意識したか」という点とその後の対応を扱っていて、停滞した時期やその理由などを知りたかったので、この点期待外れでしたが、天文計算や暦については緻密ではあったけれども、日常の時間や度量衡は指の大きさを基準にするなど「絶対尺度」が無かった点や、14世紀に既に機械時計が発明されていた西欧人にとっては、16世紀に既にイスラーム人の時間感覚がルーズに思えるなど、色々と参考になる情報が掲載されていて有用です。西欧がイスラーム文化に興味を持ち、言語を学習したり政治的にも常駐大使を派遣するなど多方面で興味を持ったのに対して、オスマン側では案件ごとにしか大使を派遣せず、しかもその大使も西欧の社会や文化に興味を持たないなど(西欧を見下していたから)、など、。まだ1/3程しか読んでいないのでちゃんとした書評はできないのですが、没落要因の一部は参考になりました。図書館から借りてきたので引き続き読み通したいと思っていますが、西欧を見下す思考は、西欧の発展に負けた理由ではあっても、停滞した理由では無いと思うので、停滞理由については他著にあたってみたいと思います。


 というわけで、各書数行程度のコメントで終わらそうと思って書き始めたのですが、えんえん大部な記事となってしまいました。最近仁木稔氏が、次回著作執筆の為の資料調査をブログにアップしていて、実のところ、それに触発されて、数行コメントを書こうと思ったのですが、誰も読みたくなくなるような長大なものになってしまいました。今後は控えることにしたいと思います。
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by zae06141 | 2010-06-29 00:43 | その他歴史関係 | Comments(10)
Commented by 頑固猫 at 2010-06-29 15:20 x
 イスラームに関する文献をチェックしまくりの仁木稔氏の次回作、どんな内容になるのでしょうか。
 気になる所です。

 さてイスラームの没落の原因について、別段イスラームが没落してる訳ではないんじゃないの?
 と言うのが私自身の意見です。
 流通形態の変化と産業構造の変化による地政学的要件の問題であり、イスラーム自体は別段改革する必要はないし、議論しても大して成果は出ないだろうと思っていたりします。
 経済にした所で、200年前よりも、はるかに裕福になってるでしょ?
 No.1じゃなきゃいやなの?
 落ち着きなさいな。
 とか最近は冷めているのでした。
 現在語られているイスラームは、議論上の理念でしかなく、多様に変化してしまう実態のない言葉遊びの産物にすぎないと思います。
 信者はたくさんいるし、宗教としてのロジックが崩壊している訳でもないし。
 学者さん達の内輪揉めを見ると、所詮は他人事として研究してるのだなと、お気楽ですねと、クスリと笑ってしまうのでした。
Commented by zae06141 at 2010-07-01 07:37
 サッカーのお陰で変な時間に起きるようになってしまいました。確かにそうかも知れません。没落と捉えるのは欧米進歩史観からの視点だろうと思います。私自身は文化相対主義のつもりなのですが、自身の潜在的な先入観を発見ししばし限界を感じます。本人たちが幸福を感じていれば周りがとやかく言うことでは無いのですが。。

ただ、200年前より裕福だから納得してください、という点はかなり無理があるのではないかと思います。現在の先進国による市場・資源獲得先となってしまった国々では、一般市民にも先進国との格差情報が知れてきています。知らなければ幸せでいられたのに、知ってしまうとそうはいかなくなる。私はブルガリア・中国で勤務した経験がありますが、「個人的能力に差が無いのに何故ここまで収入に格差があるのだ」と不満をお持ちです(チュニジアやイランでもサウジ・クウェートとの格差は知れ渡っていました)。日本でも、「江戸時代よりましなんだから、格差増大貧困化してもいいじゃないですか」と外資の人に言われても納得できる人は少ないと思うのです(200年前に戻ってもいいから外国を締め出すことにしたのがイスラーム圏だとターリバーンなのだと思うわけです)。
Commented by 頑固猫 at 2010-07-01 22:25 x
 経済に関しては、多少誤解させる書き方をしてしまいました。申し訳ありません。
 私が落ち着けと言いたいのは、富裕な人々の方なのです。
 昔、アマルティア・センの貧困研究、潜在能力論に触れた時、大いに納得し、日本も貧乏になった時の事を考えなきゃと思った事があります。
 センが懸念した「飼いならされた主婦、あきらめきった奴隷は、ほんの少しの幸せでも満足してしまう」…などと言う事が起きないようないよう、「満足」の意味を考えなければいけないなと。
 昨今の中国のトヨタ・ホンダの工場での労働ストライキのきっかけが、日本人従業員との賃金格差であったとの報道がされていましたが、飛び抜けて富裕な社会と言う物は消えて行ってしまい、平準化がより進む事になるでしょう。
 例えば中国の富裕な方が、地方農村の人々も今後は豊かになるべきかと問われ、自分の取り分が減るからNoであると言う回答をネット上で見た事があります。
 この人物は、本気でそう思っているのでしょうか。あるいは単なるアンチ中国の方によるデマなのか?
 いつ貧困が自身に及ぶか判らない未来に留意し、心構えと対策を考える時期が来ているのでしょう。
Commented by zae06141 at 2010-07-02 07:02
 サッカー時間が抜けないようです。今日も早起きです。頑固猫さんのお話はいつも勉強になります。アマルティア・センという方は恥ずかしながら知りませんでした。

 中国の件について、回答された方の富裕度にもよると思いますが、今月ビザ緩和となった年収6-25万元レベルの人は、農村の富裕化についてNoと答える人がいると思います。私の元職場の人などの例ですが、これ以上の経済成長持続への疑問があるようです。

1.年間800万人の大学卒の就職困難さは日本以上です。私の元勤務先の受付は、英文科を卒業し、英会話ができるのに、数十社に履歴書を送り、見つかった職が、雇用不安定な契約社員です。農村が富裕化による競争率増加を恐れている。

2.実質はまだ大きな差があるのですが、沿岸都市部は一見先進国と変わらないくらい社会の先進化が進んでいます。日本のこの20年の停滞ぶりは中国でもよく報道されていますから、「追いついてしまった後、これ以上成長するのか?」という疑問を持っているようです。成長しなければパイの取り合いとなってしまう。平均所得が2万ドルになると、米国の倍の経済規模という前人未到の領域となりますが、そういう事態が想像し難い。
Commented by zae06141 at 2010-07-02 07:03
3.元高圧力は、米国の資金搾取の方便、という説が出回っています。ブラザ合意が日本の停滞に結びついたという説は新聞でも良く掲載されてる一方、円高により日本社会の富裕化・資産蓄積も進んだ事実はあまり知られていないと思います。

4.沿岸都市部が先進国の下請けで成長している事実も知れ渡っており、農村部の貧しい労働力は中国国内での下請け地域です。農村部が富裕化した場合、中国経済を支える下請け先を海外に移転できるのか!?

5.歴代王朝の繁栄は王朝成立後、60年くらいでピークになり、その後停滞が続く。もうそうなっている、という考え。テレビドラマなどが暗に役人腐敗を批判する歴史ドラマを作っていますが、一面こうした考えを助長する結果となっているようにも思えます。

 人口増加分の吸収だけで6%の成長が必要であり、10%の成長率でも実質は4%とも考えられますから、農村部の成長は、都市部の成長を奪う>少子高齢化で年金どうする?>貯蓄が必要>元高反対 と日本社会と似てるというか、伝染しているようにさえ思えたりのですが、今はまだ表面しか見えないのだと思います。海外旅行の増加は「質」の成長に気づくと機会と期待しています。
Commented by zae06141 at 2010-07-02 07:48
 長々とすみません。最後です。年収25万元以上の人は、優秀で実力ある人か、国営資産の切り売りや成長バブルに乗っただけで、中国の経済力に見合ったビジネス活動以外の方法で儲けた人である可能性があります。後者の人は、先進国の駐在同様、身分・実力不相応な暮らしをしている筈で、こういう人も、既得権益を手放したがらず、農村の富裕化に反対すると思います。

 ところで、胡錦濤政権は北京閥で比較的社会・政治政策で農村部のケアも考えるが、習近平は上海閥で、経済中心の成長路線で農村部はあまり省見ない、という話があります。ホントかどうか詳細は知りませんが、小泉新自由主義政策と政権発足当初の民主党の政策みたいだな~とか、思ったりしています。

 (余談)天安門事件当時、北京出身の同僚は、毎晩徹夜で報道を見、上海出身の同僚は、毎晩の様に日本人同僚と飲みまくってました(しかも事件の話はせず)。更に北京の彼はある時同僚の日本人がタイでマリファナを吸った話をしたら、席を立って帰ってしまった。あくまで印象ですが北の人にはある種生硬な生真面目さを感じ、南に行く程自分の欲望に正直な印象があります(人間味があるとも見れますけど)。
Commented by 頑固猫 at 2010-07-02 23:15 x
 詳細な御返答ありがとうございます。
 参考になりました。
 中国の経済は問題と矛盾を抱え過ぎていて、いつか一波乱ありそうで、不安に思っています。正直ソフトランディングは難しいだろうなあ。
 そう言えばインドを包囲するような形で海外拠点や基地を作ったり、島嶼の実効支配をちまちまと行い、日本を含む周辺諸国と摩擦を起こしたりすと、中国の昨今の拡大路線は、不安の裏返しなんでしょうかねえ。
Commented by zae06141 at 2010-07-03 07:44
そうでしょうか?日本も多くの矛盾を抱えていますし、強権的な政治ができない分、責任の所在もうやむやで、大変な場所が異なるだけで、大変度はあまり変わらないと思っています。国民が希望を持って明るい点は日本よりましかも。また、個人的には米国圏の方がはるかに矛盾は大きいと思っています。インドの国内テロは中国とは比較になりませんし、米国・中国・インドは覇権国家(文明国家)なので、帝国主義政策という点では同じだと思っています。米軍の世界展開は中国側からみると、「包囲網」に見えますし、米軍の方が中国軍に比べると遥かに世界で摩擦を起こしているものと思います。チベットが独立すればインド軍が進駐するだけでしょうし。
 お気を悪くされるかも知れませんし、それは本意では無いのですが、中国がいつまでも抗日戦争文化(私はもう、あれは文化だと思った方がわかりやすいと思っています)を保持し、国内の不満をそらせるのと同様、「中国問題視文化」も日本国内の不満をそらせる効果を持っている点では同じだと思っています。
Commented by zae06141 at 2010-07-03 07:44
覇権国家の争いは勝手にやらせておいて、日本は金融戦争に対応しなくちゃいけないのに、東大の経済学科を出ながらマクロ経済がわかってなさそうな人間が金融相を担当しているようでは日本の国債もいつヘッジファンドの攻撃を受けることになるかと不安でなりません。世界金融危機のおり、財政出動と同時に為替固定化を行うという基本的な対応をした中国と、現実為替固定も資本の移動規制もできない日本で100兆円もの経済対策を口にする時代錯誤金融相。。。。。確かに中国のソフトランディングは国民自身も簡単ではないと思ってると思いますが、日本は中国を心配しているどころではないと思うのでした(また長文になってしまいました。すみません。。。。)
Commented by 頑固猫 at 2010-07-05 23:50 x
 またも長文の御返事ありがとうございます。気を悪くなんてしませんから大丈夫ですよw
 私の子供が大きくなる頃の日本が、まあそれなりに生活できる国でありますようにと祈っております。
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