古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
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国立国会図書館アジア情報室記事紹介:ブーラーク印刷所の歴史と各国図書館事情

 このところ千一夜物語や「カリーラとディムナ」などアラビア文学の情報を調べていたら、「カルカッタ版」、「ブーラーク版」などの言葉を目にするようになり、少し調べてみたところ、ブーラークとは19世紀初頭にカイロに開設された印刷所のことであり、それに関する有用な紹介記事が、国立国会図書館のサイトにありました。

 「アラビア文字活字印刷の普及とムハンマド・アリー時代のブーラーク印刷所」

 この記事によると、アラビア文字の印刷は西欧において開始され、それらがオスマン朝に輸入されたものの、イスラーム世界の印刷業の開始が遅れたのは、主に2つの理由とされています。
 
1.知識は師弟相伝の記憶によって伝えられるべきもの
2.欧州印刷の活字では、美しいアラビア文字の書体を表現できなかった

 さらに、髙松洋一氏の「オスマン朝における活版印刷の導入 - イブラヒム・ミュテフェッリカの印刷所開設(1727) を中心として」という論考では、「1485 年にはすでに、オスマン朝においてムスリムがアラビア文字によって印刷を行なうことは、勅令により禁じられていた」とされています。印刷本による知識の普及が近代西欧飛躍のもっとも重要な要因のひとつであることを考えると、このようなオスマン政府の措置は自らの可能性を閉ざしてしまったものとして非常に残念です。とはいえ、同論考によると、そのオスマン朝でも、欧州製作のアラビア文字の印刷本の輸入は行われており、イスタンブールでは、アラビア文字を利用しない、非ムスリムのトルコ語やペルシア語文献の印刷は行われていたそうですから、もう少しアラビア学芸最盛期の書籍の現存になどが行われていてもよさそうにも思えるのですが、そこまで裾野は広くなかったのでしょうね。

 一方、紙がサーサーン朝時代に中国から輸入されるようになり、紙の製造技術がアッバース朝時代に伝わったイスラーム世界に、同様に中国から印刷術が伝わらなかったのだろうかとの疑問があります。この点については、箕輪成男氏の「紙と羊皮紙・写本の社会史(p155)」に、エジプトのエルハイユムという場所で発見された、900-1350年頃に比定されるパピルスには、印刷されたアラビア文字が記載されているとのこと。同書でも、印刷術が広まらなかったのは、文字の美観にあるとされています。中国から伝わったかどうかは定かでは無いものの、アラビア学芸最盛期には印刷技術があったらしいことと、13世紀以降アラブの退潮とともに最盛期の学芸著作の多くが損失していったということを考えると、情報の流通をコントロールすることは秩序の安定に寄与することはあっても、文化の発展は遅滞もしくは退行してしまうものなのだ、と思わずにはいられません(そう考えると、現世界でネットを制御しようとしている発展中諸国家も、大局的には停滞しかもたらさないのではないかと思うのです)。

 さて、「アラビア文字活字印刷の普及とムハンマド・アリー時代のブーラーク印刷所」には、18世紀初頭ハンガリー出身のイブラヒム・ミュテフェッリカの印刷所作成活動や、ブーラーク印刷所成立の経緯、ブーラーク印刷所で印刷された書籍の分野・言語別分類などが掲載されていて有用です。

 また、この記事の掲載されている、国立国会図書館のアジア情報室というところが出している通報所収の記事は、単なる記事の概要紹介レベルを超えた情報量があり、非常に便利です。

 情報の流通に興味のある私としては、昨今のアジア各国図書館事情を調査した下記報告記は非常に興味深く参考になりました。

ベトナムの出版事情および統計にみる国外の著作動向: アジア情報室通報第2巻第2号

タイの出版界の状況について : アジア情報室通報第5巻第4号

インドネシアの出版、書店、図書館――出張報告 : アジア情報室通報第6巻第3号

エジプトとトルコの出版事情―出張報告 : アジア情報室通報第5巻第2号

カザフスタンの出版事情と図書館-出張報告:アジア情報室通報第6巻第4号

タイの出版、書店、図書館、日本関係機関―出張報告 : アジア情報室通報第6巻第2号

パキスタンの諸言語資源をめぐる現状と課題 : アジア情報室通報第4巻第4号

モンゴル国立中央図書館について: アジア情報室通報第2巻第3号

 アジア情報室の皆様にはこれからも有益なご活動と、サイトへの記事掲載のように、国民へのフィードバックを継続を期待したいと思います。
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by zae06141 | 2010-02-21 22:43 | その他歴史関係 | Comments(0)
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