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書籍「オスマン帝国史の諸相」感想
 気鋭の日本の若手オスマン研究者達の論稿集。ひとり1章全17章から構成されています(序文の鈴木菫氏による、日本のオスマン朝研究史も含めると実質18章)。

 本書を読み始めて1/3くらいのところで思った最初の感想は、「このような切り口の論稿集がサファヴィー朝からガージャール朝初期のイランについても出て欲しい」ということでした。なんというか、A perfect book for meです。金曜夜に購入し、そのままファミレスで心ゆくまで読みふけるという、久しぶりに私にとっては至福の時を過ごせた本。午前3時までに全17章のうち、11章まで一気に読んでしまいました。まあ一般受けはしない内容だとは思いますが、安定した時代の社会や経済に興味のある私としては、是非読みたかった時代・内容の書籍です。個人的には、略奪ボーナスがあったスレイマン時代以前や、近代化と西欧の衝撃に悩む19世紀以降よりも、略奪ボーナスの時期が終わり、国内で経済を回してゆかなければならない時代である17,18世紀の方が、成長ボーナスが終わり、停滞人口で経済を回してゆかなければいかない今の日本にとって参考になることが多い時代だと思うので、オスマン朝の中では一番興味のある16世紀後半から18世紀の論文が3/5くらい占める本書はそんな私にうってつけの書籍です。

 掲載論文を時代・ジャンル別に分けると以下のような感じ。

      経済   地方史   政治   外交   行政/官界   世界観 
15世紀                                       1
16世紀  2       2
17世紀                              2
18世紀                      2       1
19世紀  1              1      1       3
20世紀                1

 各時代について、全てのテーマが記載されているわけではありませんが、時代毎に異なったテーマを採り上げることで、「その時代の他のテーマはどうなっているのだろう」「そのテーマの他の時代はどうなっているのだろう」と、上記表中のホワイトスペースへのさらなる関心を掻き立てられ、うまい編集となっているように思えました。個人的には経済に一番興味があるので、澤井一彰氏の単著を読んでみたいと思うようになっていますが、将来はともかく、ここ数年以内くらいだと日本語で出版しても多分売れないだろうから、国会図書館に論文を読みに行こうと思っています。

 16世紀後半(スレイマン時代以後)から18世紀(ナポレオン侵攻以前)の安定した時代の行政や経済・地方史に興味があるので、19世紀以降を扱った第三部は読まないだろうな~と思ってたら、毎晩寝る前に手が出てしまい、結局全部読んでしまいました。あまり興味の無かった19世紀や、現在活動中の政党の話まで興味をそそられ、書籍の編集方針にうまく嵌ってしまいました。

統計やデータを用いた経済史に興味がある私としては、経済関連の三編が特に面白かったのは当然なのですが、世界観や地方史への興味も大きいので(本書には章番号はついていないのですが、便宜上ここでは章番号を入れています)、

第七章「オスマン王統譜における始祖立ちの変容」(小笠原弘幸氏)
第十章「部族から県へ」(齋藤久美子氏)

も非常に面白く読めました。前者は14世紀から16世紀初にかけてのオスマン史書に記載されている創世神話から現オスマン王家に至る系譜の変遷を追うことで、王家の世界観がどのように変遷していったかを分析しています。後者は、現トルコ東部でたまたま目にした碑文から書き起こし、15世紀、サファヴィー朝とオスマン朝の抗争の渦中にあった現東トルコの末端支配の在り方や地方有力一族の歴史を断片的な史料から読み解いてゆくもの。非常にスリリングな記述で読み応えがありました。最後の「サファヴィー朝防衛の重要性が薄れた為、史料にケサン県が登場しなくなる」という指摘は非常に重要な指摘なので、ケサン県だけではなく、近隣諸県についても、史料に登場しなくなるのかどうか、知りたいと思いました。

12章「オスマン帝国の税制近代化と資産税 -19世紀のダマスカスの時代」(大河原知樹氏)では、1833,39,44,52年のダマスクスの街区毎の税収一欄表や税内容を分析して都市ダマスクスの一面を描き出していて、私としてはイメージしやすく、頭に入りやすいものがありました。政治史の記述を読んでいて、「エジプトのアリー朝が1830年代にシリアを支配した」という記載を読んでも、イマイチ頭に入らず、すぐ忘れてしまうのですが、支配時期に行われた税制改革のありようを数値入りで示されると、すんなり頭に入ってくるのでした。13章「オスマン帝国における「公教育」と非ムスリム」(長谷部圭彦氏)も面白く読めました。さして興味もない19世紀の教育制度改革の話が興味深く読めたのは何故だろうかと考えるに、やはり教育というものが、自分自身に普通に関係していたテーマだからだと思い至りました。私は教育業に従事しているわけではありませんが、普通に高校生まで公立学校で学んでいたので、公教育という切り口は関心を持ちやすいのかも。マクロ経済とか、税制、末端行政、教育といったテーマは、現代に生きる私の日常生活で接する話なので、関心を持ちやすいのではないかと思った次第です。

 一方で、読むのに時間がかかったのが、司法行政を扱った2編。これは内容が面白く無いのではなく、単に、私が司法というものに殆ど関わらずに生きてきたからだということだと思います。10章「オスマン朝「軍人法官」の実像(松尾有里子氏)」では、イスタンブルの上級審の法定台帳から、訴訟のテーマの比率、当事者の分類、法定審理の進み方など、具体的に理解でき、読み始めはとっつきが悪くて進まなかったのですが、途中からぐんぐん引きこまれました。11章「オスマン帝国の制定法裁判所制度(秋葉淳氏)」は、”制定法裁判所制度”という用語に最後まで目が眩み続けましたが、読み進めてゆくと、近代化改革の為に新設された司法省と、伝統的シャリーア法定を統括する長老府の権力闘争という軸が浮き出てきて読み応えがありました。

 序文の鈴木菫氏による、日本のオスマン朝研究史もよかった。最初は「日本ローカルな研究史よりも先にオスマン朝研究史全体を知りたいのに」と思っていたのですが、読んでみたら、これはこれで良かったです。近世イランの日本での研究史も読みたくなってしまいました。世界全体での研究史ももちろん知りたいのですけれども。

 さて、私にとってメインの経済史。

4章の澤井一彰氏の「穀物問題に見るオスマン朝と地中海世界」は、読む前は、領土が急拡大して、人口が急増したイスタンブルの穀物不足問題の状況そのものを描いた話だろうと思ってたら、更に一歩進んだその先の「穀物不足の状況において、西欧に密輸出する業者とその取締の実態」という内容でした。アドリア海沿岸に、闇穀物倉庫が多数建設されていた様など、当時の景観までイメージできる記載や、各種密輸の手口など、これはこれで面白く読めました。恐らく、イスタンブルの状況は、「16世紀後半におけるイスタンブルへの人口流入とその対応策」という論文の方に描かれているものと思われるので、国会図書館に読みに行こうと思っていますが、最初に「16世紀後半におけるイスタンブルへの人口流入とその対応策」を読んでしまっていたら、「穀物問題に見るオスマン朝と地中海世界」は、「似たような内容だろう」と思い込んでしまい、読まずに終わってしまったかも。その意味で、本書に「穀物問題に見るオスマン朝と地中海世界」の方が掲載されていてよかったかも。澤井一彰氏は、フェルナン・ブローデルが、大著「地中海(フェリペ2世時代の地中海と地中海世界)」で、実質スペイン・ヴェネツィア側しか描けなかった16世紀後半の地中海世界のオスマン側を描こうとしている目標があるようですね。将来的に是非、ブローデルの「地中海」を完成させる大著をものして欲しいと期待する次第です。ひとつだけ、最後に思ったことは、屋上屋根を重ねるようなことは学者にはできない相談なのかも知れませんが、1564-90年のヴェネツィアの穀物消費量とオスマン朝のヴェネツィアへの輸出総量の推計値と年度変化のグラフが出せると、両者の連動具合がより明確になるのではないかと思えました。あともうひとつ。登場する地名の一部が掲載地図に記載がなかったのが残念。

3章の「オスマン帝国におけるフィレンツェ絹織物及び毛織物の販売」(鴨野洋一郎氏)では、フィレンツェの織物製造商社セッリストーリ会社(商社という用語は論稿には出てこないが、記述を読むと、製造だけではなく、輸入販売も行なっている)のオスマン帝国への販売内容を分析していて、1496-1500年の販売内容一覧表や、織物種別分類統計表はワタシが大好きなデータ資料。オスマン宮廷への販売額がオスマン帝国全体の売上の37.8%、絹織物に絞れば44.4%にも達し、西欧近代化を支えた一要素である富の一部が、繁栄中のオスマン宮廷からもたらされた状況が数字的に見て取れます。それにしても、英国で生産された毛織物が、商社を通じてオスマン帝国に売却されていたとは知らなかった。しかしこれで、「16世紀イングランド行財政史研究」(井内太郎著)につながることになるので、そのうち「16世紀イングランド行財政史研究」も読むかも。あと、鴨野氏の論文でも引用されている、斉藤寛海氏の「中世後期イタリアの商業と都市」もそのうち読むかも。斉藤氏の当該書は、最初の方に「イギリス羊毛のフィレンツェへの輸送」「ダマスクス市場のフィレンツェ毛織物」という章があり、以前から興味はあったのですが、9450円という価格に手が出ないでいたのですが、当該部分だけ都立図書館に読みに行くかも。本書出版の母体となった「東洋文化 第91号(2011年3月) 特集 オスマン帝国史の諸問題」は非売品とのことなので、これも都立図書館に読みにゆく予定。

 私の場合、専門書については、1/3も読めば、無駄遣いではなくなり、2/3読めば元はとった、と思っているので、専門書は大抵4,5割くらいしか読まず、7,8割読めばいい方なのですが、本書は全ページ読んでしまいました(注釈に記載されている海外の参照文献のローマ字表記の部分は殆ど読んでませんが。。。)。本書は6300円なので、十分元はとりました。ところで、この6300円という価格は、私にとっては重要な価格なのでした。どうしてそうなのか、自分でもよくわからないのですが、この10年間、新刊6500円(消費税含む)以上の書籍は、6500円以下の古書が出るまで待ってしまう、古書の場合は、送料含めて6500円以下になるまで待つ、どうにも下落しない古書の場合は図書館で必要箇所だけ読む、という傾向があるのでした。例外は、サーサーン朝とパルティア関連書籍のようで、この10年間で購入した6500円以上の書籍9冊のうち、8冊がサーサーン朝とパルティア関連なのでした。というわけで、「オスマン帝国史の諸相」も、あと200円高かったら、新刊で買わなかったかも。。。。(建築・都市空間・インフラ、文芸・風俗というテーマの論稿も入っていれば、8000円くらいまでOKだったかも)

 こんなことを書いて、著者や出版社の方には申し訳無いのですが、しかし一方、6500円以下の書籍で、かつ、あまり売れそうも無い書籍については、なるべく新刊を購入するようにしています。更に言えば、1年程前から日本の書籍については、アマゾンで新刊を購入しないことにしています。基本的には、新宿ジュンク堂で中身を確認し、購入を決めたら近所の町の本屋さんに取り寄せしてもらうことにしています。文庫やコミックでさえも。面倒くさいけど。稀に出版社に在庫が無く、ジュンク堂に在庫がある場合は、ネットでジュンク堂から購入します。ジュンク堂にも無い場合にアマゾンとしています。25年前就職活動時にコンピュータネットワークの未来を知り、ネットが発達しさえすれば情報収集できる程度の付加価値の低い媒体や、日本に輸入しているというだけで価格が3倍くらいする洋書、日本語に翻訳しているというだけで、価格が数倍になる洋書が、ITの威力で淘汰されてきている傾向は、私が望んだ未来です。仕事でも趣味でもグローバリゼーションの推進を今後も続けていくつもりです。しかし、年をとったからなのか、最近は、変化が速すぎるとも思い始めています。アマゾンに抵抗するわけではありませんが、もう閾値は越え、推進しなくても勝手にころがってゆくだろうから、町の本屋が全部ネットに置き換わるとは思っていないまでも、ある程度までネットに置き換わって減少することも間違いの無いところです。しかし、私は本が好きで、本屋さんも大好きです。自分の町の本屋さんは、やはり無くなって欲しくはありません。いつかはネットや大書店に負けて潰れてしまう運命にあるのかも知れませんが、そうであるならば、少しでも長く営業して欲しい、と1年程前から思い始め、新刊は近所の書店でいちいち注文して購入するようにしました(近所の書店に置いてるような本=売れている本は、遠慮なくアマゾンか古本屋で中古を購入していますけれど)。

 ということで、一応私なりに、出版社と著作者、町の本屋さんと、ネットと古書店での購入を分けています。しかし、結果として、ジュンク堂書店での購入が減少してしまったので、今年3月の新宿ジュンク堂書店閉店には、責任を感じてしまいました。実態としては、西新宿に「ブックファースト」が出来て、新宿大書店が過当競争となってしまったことが大きな要因だと思っています。そのブックファーストも、開店してから1年後くらいに売り場を縮小していましたから。とはいえ、少し観察していても、あまり本を大事にしないK書店ではなく、店員さんが崩れた本のメンテナンスをきちんとしているジュンク堂やブックファーストが閉店したり縮小したりするのはちょい腹に来ます。ジュンク堂が閉店するくらいなら、新宿に2店もあるK書店、片方なくなってくれればよかったのに。「オスマン帝国史の諸相」を読んで気分が良かったのに、最後は愚痴になってしまいましたので、最後に本書の話題に戻って終わりたいと思います。本書に関連する内容の、ネットで読める論文のリンクです(2本しかありませんが、そのうち調べて追加する予定。澤井氏の論文は、有料のものが他にも掲載されています)。

オスマン帝国史料解題
 オスマン帝国の史料にはどのようなものがあるかの解説です。今後も追加されてゆく予定とのこと。楽しみです。
澤井 一彰 「16, 17世紀イスタンブルにおける公定価格制度
山口明彦 「オスマン検地帳に見る18世紀初頭イランの地方社会 -イラン西部アルダラーンの農村と遊牧民社会

 折よく話題がオスマン朝となったので、次回からはオスマン朝映画を数本ご紹介してゆきたいと思います。

# by zae06141 | 2012-05-27 00:05 | 雑記 | Trackback | Comments(0)
山田長政の若き日を描くタイ歴史活劇映画「アユタヤのサムライ」
2010年タイ製作。原題「Yamada The Samurai of Ayothaya」。

 せっかくタイが日本人を主役とした映画を作ってくれたのに、日本では公開していないし、dvdも出ていないのは残念だ、と思っていたのですが、視聴してみたところ、日本公開は微妙だと思いました。決してつまらないわけではないのですが、少なくとも歴史映画では無い感じ。本作のポイントは以下の三点となるように思えました。

1.ニンジャやサムライとムエタイを戦わせてみたかった
2.ムエタイと武道の交流・融合
3.日本とタイの友情

 主演はタイを拠点に活動している大関正義。なので、主人公の独白部分は日本語です。

 理由はよくわからないのですが、タイの日本人村に住めなくなり、日本人の現地ニンジャ組織に追われる身となった山田長政が、現地住民に助けられ、介抱してくれた家の美女と恋に落ち、助けてくれたムエタイ集団との友情を育む。当初、日本の武道(柔道の前身のなにか)でムエタイ集団と試合をした長政は、簡単に叩きのめされ、ムエタイ修業に入る。ノリはベスト・キッドのような感じ。修業して再度ムエタイ集団に試合を望み、今度は互角となる(タイ人が少し手を抜いてくれたものと思われるが)。一方ムエタイ集団の方も日本刀を学ぶ。双方の武道を尊敬し合うという筋(しかしタイ人の日本刀の扱い方はヌンチャックな感じ)。刺青をしてもらいすっかりタイ人となってゆく長政。

 アユタヤーの町並み。

長政が介抱されている家。

 その家の屋根。真ん中が吹き抜けとなっているのが特徴的。


 ナレスワン王の御前試合となり、長政も出場。下記はナレスワン王(在1590-1605年)。

今回は長政が勝利する。国王に礼をする長政(右)と親友(左)。

最後に王が訓示して終わり。続いて長政が日本刀を僧侶から貰い受ける。

 続いて長政はアユタヤー軍・ムエタイ集団と一緒に蛮族を襲っている場面が出てくる。長政もムエタイ軍団も刀使っている。ムエタイと日本刀という2つの武道文化の融合を象徴しているかのようだ。長政はナレスワン王に労われる(どうやら蛮族はビルマ軍だった可能性があるそうですが、本当にビルマ軍だとすると少し物議を醸しそうな描きぶり)。

 介抱してくれた家の家族や村民と一緒にタイ伝統劇を見る主長政。

そして武士の服装をして小舟で日本ニンジャ暗殺組織との対決に至る。しかしムエタイ集団の同僚が、暗殺集団のリーダーに短筒で撃ちぬかれ死んでしまうという悲劇が起こるが、最後は暗殺集団を撃滅させて終わる。

 最後に長政は以下のようにつぶやく(日本語だったので、聞き取れた部分だけ記載してみます)。

--- 友よ、拙者はそなたが望んだとおりアユタヤの、、、、、、そなたの剣を使おう。
この地で真の友であったそなたが生まれ、そして死んでいった。勇敢な者は命を惜しまない。拙者は、、、化してこの地を守って見せよう。拙者は同じ国から来たものたちの手によって殺されるところであった。しかし運命は真の友を、、、遥か彼方大海でさえ、その妨げにならない程、、、、、(異なる?)町を持つ身であっても友として、、、を拙者に教えた。誠の友情に終わりは無い。永遠に強い絆で結ばれることを願ったのだ、。、、、、アユアヤの人々の友情をたっとび、出生でないこの地が魂の安息の地であると信ずる。---

かなりくさいセリフですが、本作のテーマが集約されていると思います。他にも途中いくつか、ステレオタイプなセリフが出てきます。

笛を吹きながら、「日本人としての評判は断じて落とせない」、とか。
この地は拙者の心にとどまるだろう。アユタヤの民のナレスワン王に対する忠誠心は、、、、拙者はこの地に(とどまることに?)誇りを感じている。

など。

大人向けというより、少年少女向けとしては、良い作品かも。一般うけはしないかもしれませんが、小中学校生向けの映画と考えれば、日本でも発売しても良いように思いました。

 最近は、中国映画「戦国」(2011年)の中井貴一さん、中国テレビドラマ楊貴妃(2010年)で孝謙天皇を演じた麻生祐未さん、中国で活動中の矢野浩二さん、韓国で活動中の笛木 優子さんなど、日本で公開されていない作品で活躍する日本人の方が増えてきているように思えます。また、英蘭合作「ムカデ人間」の北村昭博さん、アイスランド映画「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」の裕木奈江さんなど、米国以外の映画でも、日本出身の日本人が意外なところに出演されていて驚きます。日本国内の経済力が頭打ちとなっている以上、活躍の場を海外に移したり、広げたりすることは一つの選択肢であると思うので、応援しています。

IMDbの映画紹介はこちら
タイ歴史映画一覧はこちら

なお、山田長政を扱った作品としては1959年日タイ合作のアクション娯楽映画「山田長政 王者の剣」があります。

# by zae06141 | 2012-05-23 00:09 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
近世欧州歴史映画「作者不詳(Anonymous)(エリザベス一世時代)
 ローランド・エメリッヒ監督。2011年英独製作。エメリッヒ作品は製作を担当した「13階段」しか見ていないのですが、「13階段」がわりと気に入っていたので、予告編を見て本編も期待しておりました。なにやらミステリアスなサスペンスという感じでしたので期待していたのですが、よかったのは陰謀蠢くエリザベス時代末期のロンドンの雰囲気のよく出た映像だけでした。本作は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012(2/23ー27)」で日本公開されてたばかりで、今後日本語版dvdが発売されるかも知れないので、ここではネタバレ無しに映像中心に作品の紹介と感想を記載したいと思います。

 1595年頃(エリザベス62歳頃)から1605年頃の10年間の話と、それよりも40年前の回想が交互に入る構成。エリザベス一世晩年を迎え、後継者を巡る貴族達の暗闘にシェークスピアという名の役者の演じる劇が利用される。その劇は政治的意図があり、脚本を書いていたのは実は時の権力者ウィリアム・セシルとロバート・セシル一派に反対する貴族の一人だった。後世シェークスピアとして信じられている男は飲んだくれで民衆受け狙いのアジを飛ばす下品な役者。脚本家の貴族がこの男に渡した脚本が当たりまくり、やがてそれに気を良くしたシェークスピアは暴走を始め、予定していた政治的陰謀は思わぬ方向へと展開してゆく。。。。。



 というような筋を期待していたのですが、話はかなり違う方向へ行ってしまい、40年前の過去のエピソードが頻繁に挿入され、思わぬ人間関係が明らかになる、という話になって終わり。その思わぬ人間関係にもっと説得力があればいいのですが、なんだかなあ。NHK大河ドラマ「時宗」で、渡部篤郎演じる時輔が実は生きていました。みたいな感じ。シェークスピア別人説については殆ど何も知らなかったので、本作をきっかけに興味を持つ効果はありましたが、本作が特に斬新な説を出しているわけでもなく、しかもかなり破綻気味なので、何も知らなかった私でも、「これは無理がありそう」と思ってしまいましたので、シェークスピア別人説に少し詳しい方が見たら、今更な上に穴だらけな説を見せつけられてがっかりしてしまうかも知れません。

 そういうわけで、見所は、陰鬱としたロンドンの宮殿と町並みをCGをうまく合成して再現したところでしょうか。陰鬱なロンドンの再現映画は他にも沢山あるので、特に本作ならではというものはあまり無いかも知れませんが、一応ご紹介します。

最初のこれはエリザベスの宮殿。

右下は宮殿を上空から見たところ。左下はアイルランドに出兵したエセックス伯の軍隊。

右下は冬の宮殿の上空からの映像。左下は凍結したテムズ川。多数の船を並べた船橋の上に、家屋が立ち込めている様子がよくわかります。

右下は、橋の上に立ち込める家屋。結構高い建物もあります。左下はロンドンの城門。1601年2月の反乱軍がロンドンに突入する場面。

これもテムズ川にかかる船橋。左下は真上から。右下は町の側から。画面ショットでは暗くて見にくいのですが、群衆が橋に向かって走ってゆく映像です。CGとの合成がうまくできていました。

右下の画面の右側にテムズ川の船橋が見えており、左下隅にグローブ座の一端が見えています。画面はそのまま左に向い、グローブ座の全貌(左下画面)が映ります。中国の客家の円屋に似ています。(こんなの

そのグローブ座。演目により相当舞台に手を入れている様子がよく出ていました。大掛かりな舞台背景を建設したり、外周の壁まで補強工事を行ったり。”粗末な木造の芝居小屋”程度の認識でいましたが、かなり手が込んだ建築物だったのですね。

街角の様子。

晩年のヴァネッサ・レッドグレイヴ演じるエリザベス。宮殿で「真夏の夜の夢」を見ているところ。晩年のアルツハイマーっぽい症状が目立ってきていた様子がうまく演じられていました。ケイト・ウィンスレットが「エリザベス」「ゴールデンエイジ」で演じた毅然として立派なエリザベス女王も、晩年はこんな感じだったのかも。

その「真夏の夜の夢」の役者。白塗りの化粧がなんとなく「サテリコン」風で不気味。

劇場そばの居酒屋。マーメイドの看板。左奥に一部見えているのは劇場。

これは「ジュリアス・シーザー」の舞台。結構ちゃんとローマ風建築の舞台背景となってます。

これはなんの劇だったか忘れてしまいましたが、舞台全部を建築し直した程の大掛かりなセット。

映画「恋に落ちたシェークスピア」で一端を見ることができた当時の劇場を、更に詳しく見ることができ、参考になりました。というところが本作で得られた点でしょうか。せっかくの面白そうな題材をうまく生かしきれていないように思えました。単館ロードショーは難しいかも知れませんが、他の作品、例えば以前ご紹介した、血の伯爵夫人バートリー・エルジェーベトを描いた「The Countess(伯爵夫人)」などと二本立てで公開するといいかも知れません。この二本、いずれも英国が製作に噛んでいて、まったく同じ時期(1595-1605頃)を描いているので、併映してみるのも面白いかも。

IMDbの映画情報はこちら
英国歴史映画一覧表はこちら

# by zae06141 | 2012-05-19 00:04 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
youtubeにあがっている古代の言語の発音各種
 前回で、16世紀までのロシア歴史映画紹介は一応終わりました。昨年のGWに20本程日本語情報の殆どない歴史映画を見て、当初はその20本(東欧・ロシア・オスマン朝中心に古代エジプトと古代ローマ数本)の紹介という予定だったのに、次々に映画が見つかり、予想もしない程膨らんでしまいました。あまりに映画の本数が多いので、週2回記事を公開するを目標として、この1年間で97本の作品を紹介してきました。

 週2回記事を公開することを決めた当初は、厳しいかもと思っていたのですが、実際やってみると、時間的にはそれ程きつくは無かったのものの、時代順に公開してゆくのは結構しんどいものがありました。国毎・時代順に紹介してゆくことにしたのは、ビジビリティを上げることと、映画の内容を理解する為の史実調査の効率を上げることを目的として決めたものです。

 各国とも、10作品程あるのですが、最初の5,6本は物珍しくてさくさく見て調べることができるものの、7,8本目で飽きが来て、だいたいどの国でも、最後の1,2本は見ない・見ても記事をなかなか書かない、という状況に陥り、そのうち予定回が来てしまい、嫌々追われるように見て記事を書くという自体に陥ってしまったのでした。そうした記事は質も低下し、誤字脱字はもちろん、説明と映像が一致していないどころか、途中で文章が切れたまま記事が公開され、後日見なおして修正するケースが多発するようになりました。

 誰に頼まれてやっている話でも無いのですが、趣味とはいえ、一度目標を立てると達成しないではいられない性格なので、取り敢えず当初目標の東欧・ロシア・オスマン朝が終わるまで頑張ろうと思ってやってきましたが、1年間続けることができ、16世紀までのロシア映画が終わるということもあり、区切りがいいので「国別・時代順」の自己ルールは、前回でひとまず終わりにしようと思います。取り敢えず達成感はありました。

 日本語情報の無い歴史映画はまだ沢山あるので、今後も週二度くらいのペースで紹介記事を書いていこうと思っていますが、時代や国は適当な順番でいこうと思っています。また、調べ物も好きなので、歴史映画やドラマ以外の情報の割合も増やそうと思っています。

 さて、今回の話題。突然思いついて調べてみました。まだ見つかっていないものも、今後見つけ次第掲載したいと思います。

1.シュメール語
-未発見

2.古代エジプト語

3.古代カナン・フェニキア語
 画像の途中から文章の朗読が出てきます。

4.インド・ヨーロッパ祖語
-未発見
-復元祖語で記載した短い文章は2つあるそうです。
 1)The Sheep and the Horses
 2)The king and the god
 そのうちこの音声映像がアップされる時が来るかも知れません。

5.アヴェスター語

-ヤスナ31章第8節
 アヴェスターの中でもっとも古いとされる「ガーサー」の部分。当時の発音を再現したものなのか、今に残る口伝の発音で読んでいるだけなのかはわかりませんが、なんとなく、後述のヴェーダ語に似ている気がします。
 当時の発音を再現したものであれ、今に残る口伝の発音で読んでいるだけであれ、ガーサーの言葉(ガーサー語ともいうらしい)が、現代ペルシア語といかに相違しているかは、同じ編集者がガーサーの言葉と現代ペルシア語の双方で詠んでいる映像を比較すると明確にわかります。

-ガーサー語版ヤスナ28章2節
-現代ペルシア語版ヤスナ28章2節
 説明が何も無いのですが、恐らく現代ペルシア語の発音でアヴェスター語を読んでいるのではなく、現代ペルシア語訳のアヴェスターを読んでいるのだと思います。それでも相違は明瞭です。
因みに、ヤスナ28,29,33の日本語(及び各種言語)字幕付きの映像もあります(朗読は現代ペルシア語)スプリームマスターテレビというエコ団体の放送局が製作した番組とのこと。

-こちらは、フィローズガリという現在のゾロアスター教司祭の方のヤシュト朗読。インドのパールシーの方なのではないかと推測しています。

6.ヴェーダ語

-リグ・ヴェーダ
 リグ・ヴェーダは各種ヴェーダの中でも最も古い部分だそうですが、中でも第3-5巻が最も古い部分とのことで、できればこの部分を聞いてみたかったのですが、映像ではどの巻なのかわからないのが残念です。個人的には、上述のヤスナ31章の言語になんとなく似ている(あくまで他の言語と比較してみると、という話)ような気がしました。

-サーマ・ヴェーダ
-ヤジュル・ヴェーダ
 この映像のヤジュル・ヴェーダは発音的に上のリグ・ヴェーダの映像に似ている感じですが、圧倒的にテンポが速いのが特徴的。この映像で一番面白いのが、最後に登場する映画「ベンハー」のポスターをパクった画像。


7.ホメロスのギリシア語
-未調査

8.古代ローマ最盛期のラテン語

 カエサルやキケロの著書の単なる朗読なら直ぐ見つかるのですが、それなりに古代ラテン語っぽさを目指したものは簡単には見つかりませんでした。
-キケロのラテン語(カティリナ弾劾)
 素人の方のようですが、”ラテン語テキストの朗読”ではなく、話し言葉を目指したものとのことです。
-カエサル(未調査)

9.万葉集
-未発見

10.平安時代の日本語
朗読 源氏物語(Tale of Genji) 若紫1 平安朝日本語復元による試み
 聞いていて、なんとなく意味がわかります。金田一春彦氏の指導で俳優・声優の関弘子氏が朗読したものとのこと。タイムスリップしても、なんとか会話が通じそう。


 最後。アヴェスター語の映像を探していて、クルド労働者党(PKK・過激派テロ組織とされている)かヤズィード派のクルド人か、または中東以外のクルド人作成らしき映像を見つけました。「The language of Avesta The Kurdish language」という題名がついていて、クルド語とアヴェスター語の似ている単語を取り出して、クルド人のアイデンティティの起源をアヴェスタ時代のマギに求めるイデオロギー映像なのですが(単なるロマンでやっているだけかも知れないけど)、結構見ていて面白い映像。映像的には完全にゾロアスター教徒の末裔です。映画「プリンセス・オブ・ペルシア エステル勇戦記」のカットが登場したり、アケメネス朝のグリフォンやシャープール一世のレリーフを元にしたイラストが登場したりと、ゾロアスター教の末裔と信じているクルド人の人口がどのくらいいるのか知りませんが、古代メディア・アケメネス朝・サーサーン朝の映画を作ってくれるとしたら、現政府のイランではなくて、クルド人団体とかになったりして。

 上記映像に登場する古代イランの絵は、こちらのyoutube映像「3000 yrs Persian / Aryaian Culture 500-BC & 6th Century BC 」により大量に数十枚掲載されています。クルドの映像はこれらの画集からの引用だと思うのですが、色調が気に入ってしまいました。出版されている画集であれば、是非購入したい思っています。しかしそれにはまずタイトルを探さないとどうにもならないわけですが。。。。

 個人的にはアヴェスターのヤスナ31章第8節が気に入りました。何か作業をしている時にBGMとして聞くには、私的には波長が合っている感じです。

 あと、印欧祖語の復元音声は、どこかの誰かに是非作成して欲しいと思っています。印欧祖語復元語、アヴェスター、ヴェーダ語、ヒッタイト語、古代ペルシア語、近世ペルシア語、サンスクリット語、ヒンディー語、ゲルマン祖語、ドイツ語、古代スラブ語、ロシア語など、同じ意味の一つの短い文章を次々と各時代の言語で朗読してゆく映像とか、是非聞いてみたいと思っています。印欧祖語から枝分かれして、現代の各国語に至るまでの発音が次第に変化してゆく調子がわかるかもと期待する次第です。

# by zae06141 | 2012-05-15 00:05 | その他歴史関係 | Trackback | Comments(4)
ロシア歴史映画「イェルマーク」(イワン雷帝時代)
 シベリアの語源となったシビル・ハン国を滅ぼしたコサック首長イェルマーク(1542-1585年)一代記。

 受験の時、上記のように、シビル・ハン国を滅ぼしたイェルマーク、と覚えてしまい、以来記憶が更新されないまま今に至ってしまったが、ドラマを見ながら調べていて、イェルマークはシビル汗国の都、カシリクを占領しはしたものの、最後はシビル汗によって反撃され戦死してたとは知りませんでした。本作は、幼馴染の少女と生き別れ、その少女がシビル汗の正妻となる、という、恋愛叙事詩のような脚色がありますが、それ以外は概ね史実に沿った内容のようです。以下はイェルマーク。本作では、コサックとして生まれたのではなく、故郷が戦乱で荒廃し、孤児となってコサック入りしたということになっているので、ロシア人の容貌です。

 本作のヒロインはイェルマークの幼馴染のイェレナなのだけど、あまり出てこない。全体としては、物語り後半で全面衝突するシビル汗クチュムがシビル汗国のハーンを奪取する経緯から描かれていて、クチュムとイェルマーク両者が主人公という感じ。一話50分、全5話。ご興味のある方は「More」をクリックしてください。
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# by zae06141 | 2012-05-11 00:09 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(2)
ロシア歴史映画「ツァール」(イワン雷帝)
 一週間もあれば届くだろうと、GW一週間前に新刊「オスマン帝国史の諸相」の取り寄せを近所の書店にお願いしました。しかし先週金曜日帰りがけに寄ってみると、まだ届いていない、とのこと。GW前半は購入後放置していたファーティマ朝本を読んで過ごすことに。更に昨夜、再度書店に寄ってみたが、4/27日に出版社から出荷されているものの、まだ未着とのこと。GW中は取次店も休みなので配送されることは無いと思うとのこと。これでGWに前半で「オスマン帝国の諸相」を読み、後半で書籍で言及されている関連論文などを調べるという予定が崩れてしまいました。そこで本日、これも購入後6年も放置していた、サンスクリット語の解説本「サンスクリット」を読んだところ、軽く衝撃を受け、GW後半は古代インドについて調べて過ごす予定。「サンスクリット」は、語学書ではなく、「サンスクリット」とは何か、を諸側面から記載したもの。以前から、インド人がコンピュータ・プログラミングに得意なのは、サンスクリット語自体がプログラミング言語のようなものだから、という言説が流行っていましたが、具体的にどういうことなのかまったくわかりませんでした。同僚のインド人すら、ちゃんと説明できた人はいなかった。しかし、漸くどういうことなのか、理解できそうが気がしています。

 さて今回は、ロシア史上の怪帝イヴァン雷帝を描いた2009年ロシア製作「ツァーリ」。雷帝(左)と、幼馴染の府主教フィリップ(右)の対立を描く。

 エイゼンシュタインのイワン雷帝第三部とでもいうような残虐なイワンの描きぶり。ご興味のある方は「More」をクリックしてください。

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# by zae06141 | 2012-05-03 00:05 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
中世ロシア歴史伝説映画「アナスタシア・スルツカヤ」
2003年ベラルーシ製作。ベラルーシの伝説の女公で、クリム汗の遠征軍を破ったとされるアナスタシア・スルツカヤの話。ソ連崩壊後の独立後にあって、ベラルーシ民族主義を鼓舞する目的で製作されたようです。映像が美しく、「この手の作品の常道だからこんなもの」と思ってみれば、悪くない作品です。私は結構気に入っています。ご興味のある方は「More」をクリックしてください。

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# by zae06141 | 2012-04-29 00:02 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
ロシア歴史映画「三つの海の彼方の旅行記」
モスクワ大公国時代の都市トヴェーリの商人で、1466-69年にインドへ旅したアファナーシ・ニキーチンの旅行記「三つの海の彼方の旅行記」の映画化。1958年ソ連。英題「Pardesi(ヒンディー語の”外国人”の音表記の模様)」原題「Хождение за три моря」。恐らく、インドが戦後社会主義政策を採っていたことから、インドとの合作ネタが探されて、ニキーチンの旅行記の映画化となったのだと思われます。この映画がなかったら、一生ニキーチンについて知ることはなかったかも。ロシアでは記念硬貨が発行されていたり、銅像が立つ程著名人なようです。三つの海とは、カスピ海、アラビア海、黒海を指しているとのこと。そのルートは、「Секретная миссия Афанасия Никитина(アファナーシ・ニキーチンの秘密任務)」サイトから拝借した地図によると、行きは、ヴォルガ川を下ってカスピ海からホラズムに至り、帰りは現ソマリアのマスカットを訪問してから現トルコの黒海岸トラブゾンに出て黒海を横断し、クリミア半島のフェオドシヤに出てドン川を遡ったようです。故郷近くの町で息絶えたとのこと。

旅行中日誌を書きとめ、彼の旅行記は訪問した当時中部インドで栄えていたイスラーム王朝のバフマニー朝(1347–1527年)の史料としても有用なようです。ムガル帝国以前にこんなにインドの南までイスラーム王朝があったことも本作で初めて知りました。全体としては、インドの史跡紹介映像という感じです。ご興味のある方は「More」をクリックしてください。


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# by zae06141 | 2012-04-25 00:04 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
中世ロシア歴史映画「ガリーチ公・ダニーロ(13世紀)
 通常は、「ガーリチ・ヴォルイニ公」と知られているダニーロ(1201-1264年、ガーリチ公在1205—1206, 1211—1212, 1229—1231, 1233—1235, 1238—1254),のモンゴルの侵攻に苦しんだ1245年から1252年の事跡を描いた1987年のソ連映画です。「ガーリチ・ヴォルイニ公」は、ガーリチとヴォルイニの二つの公国のことで、ヴォルイニ公だったのは(在1205—1206, 1215—1231)の事。両公国を兄と息子に継がせてからは、本人は「全ルーシの王」(在1254-64年)の地位にあった。日本では、ガーリチ・ヴォルイニ公、ダヌィーロの訳語さえ定着していない程マイナーな存在。ガーリチは、ハーリチ、ガリツィア、ハリチ、ハールィチ、などと訳され、ヴォルイニは、ヴォルィーニ、ヴォロディミール、ヴォルインスキー、ヴウォジミエン、ヴォインスキ、ダニーロも、ダニイロ、ダヌィーロだったりする。もうこれだけで扱いが面倒くさい人物である。何故こんなことになっている主な原因は、ロシア語とウクライナ語とポーランド語の発音の相違による。

ロシア語:ガリーチ・ヴラジミール
ウクライナ語:ハリチ・ヴォルイニ(Wikiの記載はハールィチ・ヴォルィーニダヌィーロ」で、現在日本語での検索ヒット数が一番多いので、ハールィチ公ダヌィーロ」の訳も記載しておく)
ポーランド語:ハリツゥカ・ヴォルイスカ

本作の原題は、「Даниил - князь Галицкий」で1987年ソ連製作なので、本記事は、ロシア発音で記載することにする。また名前はダニーロとする。

 ここまででもかなり面倒なのに、ダニーロはしょっちゅう公位を退いたり退かされたり、支配力がどの程度だったか非常にわかりにくい。更に、ガリーチ・ヴラジミール公国の領域も今一つ分かりにくい。参考までに、下記にWikiの地図を掲載する。

一番青い部分が、ガリーチ・ヴラジミール両公国の領域。南の点がガリーチ公国の都ガリーチ。北の点がヴラジミール公国の都ヴラジミール。東の点がキエフ。彼の父親ロマンは、1204-05年、キエフ大公に就いており、ダニーロも1240年にキエフ大公となっている。もっとも、この時代のキエフ大公の地位は下落しており、1254-64年「全ルーシの王」という称号をローマ法王から得た。これは、ハンガリー・ポーランド・オーストリア・ボヘミア・ドイツ騎士団など、カトリック勢力と同盟を結び、モンゴルに対抗する為である(要領のいいノヴゴロドは別にして、正教会圏のロシア諸公国はモンゴルに占領されてしまったため)。もともと当時のロシアは諸侯国の分裂状態にあり、更に統一の進んだ西側諸国(ハンガリー・ポーランド・ボヘミア・ドイツ騎士団)と、モンゴルの侵入と、東西双方から圧迫されていた。ダニーロはこうした困難な時代に生きた。

 このような複雑な時代・地域に生きた人なので、本作の対象も、1245年から55年の11年程の話に絞られている。物語は、バトゥの陣営に出頭させられ、屈服した1245年から始まり、バトゥの兄の息子を破った、「モンゴル軍に対しての最初の勝利」で終わる。前半は映像に工夫があり良かった。後半は、1950年代の安っぽいB級ハリウッド史劇という感じとなってしまい残念。それにしても、本作が扱っている期間については、ネット上に、映画情報はおろか、歴史情報すら無さそうです。映画を見ているよりも、背景と史実を調べている方が時間がかかったくらいです。そういう意味で、このあたりの歴史の学習には役立ちました。詳細にご興味のある方は「More」をクリックしてください。

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# by zae06141 | 2012-04-21 00:09 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
中世ロシア歴史映画「アレクサンドル・ネフスキー ネヴァ川の戦い」(2008版)
題名は、「ネヴァ川の戦い」。歴史映画に戦争はつきものとはいえ、私は戦争に関するものは好きではないので、ここまであからさまに「戦争だけ」が対象だと思われる題名がついていることと、エイゼンシュタインの「アレクサンドル・ネフスキー」がつまらなかったのと、予告編を見ると、下記のように、最近中世欧州映画で流行りの映像なので、だいた内容は予想でき、あまり関心は無かったのですが、ネットに上がっていたのでとりあえず見てみました。

 期待していなかったからか、まあまあ楽しめました。少なくとも、「ヤロスラフ」を見た直後で、この次に「Сага древних булгар. Лествица Владимира Красное Солнышко」(いちおう、キエフのウラジミール聖公を扱っている)なんかを見てしまったからか、肯定的な評価になってしまったのかも。エイゼンシュタインの「アレクサンドル・ネフスキー」を見たのは20年くらい前なので今見ると違う感想を抱くかも知れませんが、エイゼンシュタイン版は、技術的には映画史上に残る作品だとしても、内容的には、スターリンが1940年前後に多数作らせた国粋映画のひとつにしか思えないのした。

 で、新版ネフスキーですが、アレクサンドルの宮廷が木造で、サイズもあまり大きくは無いのに対して、スウェーデン王エリク11世の王宮が石造で立派に描かれているのには驚きました。スウェーデンの予算でも入ってるんでしょうか。。。。バトゥの部下が出てきてアレクサンダルと会談する場面も嬉しいレア映像。画面ショット中心に簡単にご紹介します。ご興味のある方は「More」をクリックしてください。

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# by zae06141 | 2012-04-17 00:04 | その他の時代の歴史映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)
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