古代世界の午後雑記


「古代世界の午後」更新履歴と雑記
by Solaris1
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中世ペルシア語文学『ホスローと小姓』の<女性>の部分の翻訳

 最近女性と子供の歴史に興味が出ています。カロリング朝時代の女性ドゥオダが著した著作(『ドゥオダの遺訓書』)を読み、古代中世の女性の著作家を調べるために『西洋中世の女たち』等いくつかの著作を見てみたところ、女性史そのものに興味がでてきて完読してしまい、最近古代中世の女性について少しづつ調べているところです。

 古代ローマと中世については日本語書籍もでていて比較的情報があるのですが、古代イランについては殆ど情報がありません。女性に関する記載のあるササン朝の史料で思いつくところでは、『ホスローと小姓』と『千の審判の書』くらいです。後者はササン朝末期に成立したと考えられる判決事例集で、英語訳があります(こちら)。多分家族法が判決で言及されていて、そこから女性像が伺われるはずなので、いつか調査してみたいと思っています(しかしたいした情報はないと予想しています。アケメネス朝については、ペルセポリス城砦文書に登場する女性の研究があり、日本でも川瀬豊子氏が多数論説を書いているものの、書籍は出そうもないのが残念です。英語書籍では『Women in Ancient Persia, 559-331 B.C』という書籍があります)。『ホスローと小姓』は、ササン朝時代に成立したかどうかは確定できないものの、ホスローという王が登場することから、ホスロー1世(在531-579年)か、ホスロー2世(在591-628年)時代の作品だとの可能性もある掌編です(もっと後世の可能性もある)。今回その中に数行登場する女性のパートを英訳本から翻訳しました(こちら)。アラビア語版の【女性】の部分と、中世ペルシア語版の97行目です。

 以前(2014年11月)に翻訳した時に女性のパートを訳出しなかったのは、内容があまりにつまらなかったからです。女性の性格や気質、趣味や習慣・習俗・活動・行動・思想や内面などについての記載は殆どなく、「髪が長くて腰がくびれていて胸が大きい」とうような、ステレオタイプな外見の記述ばかりなので訳す気にならなかったのです。この部分よりは、中世ペルシア語版の116行目の女性の一言の方がよほど女性の気質や性格を現しているので、そちらの方で十分だと思ったこともあります。
 まあ、しかし、今回良い機会なので訳しました(ほんとに数行です)。

ところで、定価6400円の17世紀の冒険旅行家シャルダンの『ペルシア紀行』(17世紀後半のサファヴィー朝)の中古が650円くらいで出ています。656頁の分厚い本です。置き場に困りますし、学生や高齢者以外読んでいる時間はないような本ですが、買い時です。あと、日本語で読める数少ないサファヴィー朝通史本であり、かつオスマン・サファヴィー・ムガルの近世三大イスラム帝国の並立を描いた『三日月の世紀』のレビューがなかったので書きました。これは良書だと思うので、特にイスラーム史にご興味のない一般の歴史愛好家に読まれて欲しい本です。

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# by zae06141 | 2017-05-14 00:05 | 古代イラン関係 | Comments(0)

あまり知られていない古代中世の女性著述家たち

15年くらい前に「あまり知られていない古代の女性女王」という記事を書いたことがありますが、今回はその著述家編で、「あまり知られていない近代以前の女性著述家の話」というのを書いてみました。人選は独断と偏見です。この企画は、カロリング朝のドゥオダの著書を読んだことが直接のきっかけです。アンナ・コムネナは、一般の知名度は低いかも知れませんがビザンツ史ではメジャーです。今回入れたのは、宣伝して知名度をあげて将来邦訳が出てほしい、との下心で入れました。ヒルデガルトはかなりメジャーですが、当初数合わせのために入れていたもので、そのまま残ってしまいました。

 インド圏で見つけられていないのが残念です。古代の仏教文献『尼僧の告白-テーリーガーター』(岩波文庫)が近い感じがありますが、まったく同一の内容が別の尼僧の台詞として登場するなど、著述家としての個性が感じられなかったため、対象外になりました。

※余禄(漫画関連)

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# by zae06141 | 2017-05-04 00:08 | その他歴史関係 | Comments(0)

2017年 最近のサイト記事更新(2)

前回に続き今回も最近の細かいサイト更新履歴です。

6.アウレリウス・ウィクトル関連 

 アウレリウス・ウィクトル(320‐390年頃)の著作は一冊だけだと思い込んでいました。現在上智大学のアウレリウス・ウィクトル研究会が翻訳しているのは、『Liber de Caesaribus (皇帝列伝)』ですが、いままで、これと『Epitome de Caesaribus(皇帝史略)』をごっちゃにしていました。史書史料一覧を修正しました。

 また、ピーター・ガーンジィ著『古代ギリシア・ローマの飢饉と食糧供給』の14章、p301に記載されている『ローマ概略史』は、『Epitome de Caesaribus』ですが、ここで記載のある2000万モディウスの出典部分1章6節を見ると、ラテン語原文でも英訳でも2億と読めます。10倍の違いがあります。もしこれが正しいとすると、この前後の論証の土台が崩れることになってしまいます。この部分の注記を「帝政期の都市ローマの人口と4世紀のコンスタンティノープルの人口推計の算定根拠」の記事の穀物輸入量の部分に追記しました。

7.ローマ時代の属州の徴税

 長谷川博隆『古代ローマの政治と社会』(2001年、名古屋大学 出版会)をもとに、属州の税制について「古代ローマ帝国の人口・財政・官吏・役人などの各種データ」の記事に追記しました。属州ごとに違っている様子がよくわかりました。

8.アケメネス朝を扱った古代ギリシア戯曲 アイスキュロス作『ペルシア人』

こういう戯曲があるとは知りませんでした。アケメネス朝時代、サラミス海戦で敗れた後のアケメネス朝ダレイオスと王妃アトゥサ、クセルクセスが登場する短い戯曲です。Wikipediaに記事がたっています(こちら)。昭和元年以来何度も邦訳がでています。1925年版と1927年版は、著作権が切れているのでいずれ国会図書館デジタルコレクションで公開されるのではないかと思います。イラン世界の映画・小説のリンク集に追加しました。

9.古代ローマ時代の学校教育と子供の世界

古代ローマ時代の学校教育と子供の世界の研究書を見つけました。アンリ・イレーネ・マルー『古代教育文化史』(原著1948年・邦訳1985年)と『世界子どもの歴史 第二巻 古代ギリシアとローマ』(1985年)です。この本を、「帝政ローマ時代の生活」のページに載せました。
 以前、「最近アマゾンで古書を買うと、その後の出品価格が下落することが続いている」と記載しましたが、最近、半年待っても下落しないので『古代教育文化史』を5500円で購入したところ、その2ヵ月後に3680円で出ていました、、、、。もうこうなると、高額の本は誰かをそそのかして買わせて下落するのを待つ、、、という作戦に出たいのですが、どうやったらいいかわかなくて悩んでます。。。。

10.漢代の飲食

林巳奈夫氏が京都大學人文科學研究所『東方學報』、1975年12月、48号)に掲載した、出土した飲食物遺物を分析・検討した論説のリンクをリンク集漢代の生活のページに追加しました。



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# by zae06141 | 2017-04-24 00:10 | その他歴史関係 | Comments(0)

2017年 最近のサイト記事更新(1)

 最近記事にできそうな調べものが減ってきてしまいました。普段コピーの裏紙とかアマゾン配送伝票の裏紙とかをメモに持ち歩いて、何か頭に浮かんだ疑問に思ったことを即座に書き留めておいて、余暇に調べて過ごす、ということをしています。現在そのメモは既に数十枚に達していて、膨大な調査事項があるのですが、ちょっと調べて適量の記事になるような、記事にしやすい、適度な調査事項はあらかた調べつくしてしまいつつあります。残るのは、例えば「明朝最盛期と清朝前半期の人口1億5千万-2億人説の由来(史料と推計値の算定根拠)」のような、調べるだけで(一日の実作業時間8時間として)実働4日、記述をまとめるのに実働2日かかるような負荷の高い事項か、或いは逆に、検索して数分、図書館で調べても15分程度でわかってしまうような、わざわざ記事にすることも無いような事項の、両極に分かれつつあるのが最近の傾向です。というわけで、今回と次回は、単体の記事になりにくい、ちょっとした記事の追加や修正をいくつかまとめて更新履歴として載せることにしました。

1.ローマ領土内でのユリウス暦の浸透

古代地中海世界のダイナミズム―空間・ネットワーク・文化の交錯-桜井-万里子編』(2010年、山川出版社)所収、志内一興著「イガエディアニ人に贈られた日時計」という興味深い論考があります。ユリウス暦のローマ帝国領内への浸透具合に関する論考です。「古代地中海世界の暦について」の記事に紹介文を追記しました。

2.クシャン朝の王閻膏珍の閻の意味

クシャン朝の王、ヴィマ・カドフィセスの『後漢書』の表記「閻膏珍」が、どうして発音的に「ヴィマ」なのかずっと疑問だったのですが、閻は、閻魔大王の閻で、閻魔は、ヴェーダ語でYama、漢語中古音のyemだと気づきました。つまり、ヴィマはYama=閻魔のことで、発音・意味ともに、『後漢書』に登場する閻膏珍は正確な表記なのだと理解しました(たぶんあってるのではないかと思います)。一応以下の記事に追記しました。古代イラン史学史(4) 20世紀前半の歴史学・20世紀中頃までのクシャン朝研究史

3.1世紀ローマの風刺詩人マルティアリスの邦訳があることを知りました。リンク集に追加しました(『マールティアーリス詩集』大学書林,1964年等)。

4.古代ローマの学校の史料

私は身近なものにまず興味があるのですが、古代ローマの学校の様子についてもずっと知りたいと思っていました。いままで結構な数のローマ遺跡を訪問してきましたが、学校の遺跡は見たことがありません。以前、9世紀のビザンツを描いた映画『コンスタンティン・フィロソフ』で小学校の映像が出ているのと、小説『カイウスはばかだ』で小学校の様子が非常に詳しく描かれていることから、改めて出典を知りたいと思っていたところ、
H.I.マルー著『古代教育文化史』第三部で断片的な史料を駆使して、当時の学校教育の内容と学校の様子を明らかにしている部分を読むことができました。史料そのものではなく、マルーの書籍の当該箇所の案内を古代地中海世界の書物の記事に追加しました。マルーの『古代教育文化史』(原著1947年、邦訳1985年)は恥ずかしながら書籍の存在を最近まで知らなかったのですが、この手の書籍が他にあまり見られないのは、マルーの本書が決定版だからなのではないか、と思いました。本文中に出典史料箇所が都度記載されていて読みやすく、現在少しづつ読んでいます。第一部古代ギリシア約110頁、第二部ヘレニズム時代約160頁、第三部ローマ時代約140頁合計約550頁ある大著です。多分、ローマ時代の部分は今月中くらいには読了できるのではないかと思います。

5.ローマ時代の識字率

本村 凌二氏の「ローマ人の読み書き能力」( 『書物の言語態(シリーズ言語態3)(宮下志朗・丹治愛編)』p31-50)という論説が興味深く読めました。いちおう
古代地中海世界の書物の記事にリンクと簡単な解説を追加しました。古代のローマ人にとっての識字力とは、以下のような簡単な英語を読むのに近いのだ、ということがわかりました。アルファベットさえ覚えれば読めるのだ、というこれまでの先入観を覆されました。識字率という言葉は、識字率(名前の読み書きができる程度)と識文率(文章が読めるレベル)とにわけて定義すべきではないのか、と思うようになりました。今までラテン語を勉強しようとして、テキストの最初の10ページで挫折する、ということを何度も繰り返してきましたが、簡単な碑文を読解する、というところに焦点を絞ると、案外少しは続けられるのではないか、というような気もしています。

ITCOULDBEVERYHARDTOREADLATININSCRIPTIONANDTEXTFORA.R.P.EVENFURTHERFORJP

次回に続く

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# by zae06141 | 2017-04-14 00:33 | その他歴史関係 | Comments(0)

突厥同時代史料『キョル=テギン碑文/ビルゲカガン碑文/トニュクク碑文』、メナンドロス・プロテクトールのビザンツー突厥使節記訳注の掲載場所

 今回の記事は、国会図書館の遠隔服複写サービスを利用したい方向けの情報です。

 突厥の同時代史料である、東突厥代第二帝国の可汗、ビルゲ可汗(在716-734年)と彼を補佐した1歳年下の弟のキョル・テギン(731年没)、更に同時代の高官のトニュククの三つの碑文の邦訳が、1943年刊『満蒙史論叢』第四巻、小野川秀美訳注「突厥碑文譯註」にあります。本史料は、突厥自身が自ら刻んだ同時代史料の中の最長のものとして突厥史最重要史料のひとつです。「突厥碑文譯註」は『満蒙史論叢』4巻のp249-425頁です。249-50は論文扉頁とその裏頁なので、実質251頁からの開始です。内訳は以下の通りです。

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# by zae06141 | 2017-04-04 00:14 | その他歴史関係 | Comments(0)

匈奴と突厥の暦

前回の突厥の石碑一覧の記事作成時の当初の目的であった、匈奴と匈奴の暦や祖先の業績の記録は一応見付けることができました。




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# by zae06141 | 2017-03-26 00:29 | その他歴史関係 | Comments(0)

突厥碑文邦訳一覧とリンク

匈奴と突厥の暦と祖先の業績の記録方法について調べてたところ、突厥自身が作成した碑文が意外に邦訳されていることを知りました。Wikipediaの突厥碑文の記事に碑文一覧があるのですが、訳文の箇所がわかりにくいので自分のメモのためこの記事を作成しています。また、Wikipdiaの突厥碑文一覧(本日時点)に掲載されていない碑文とその邦訳もあることを知りました。

突厥碑文訳にはいろいろ参考になったことがあります。




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# by zae06141 | 2017-03-16 00:09 | その他歴史関係 | Comments(0)

最近見つけた書籍の話など

久しぶりに池袋ジュンク堂書店にいってきました。
2-3年前の出版であるにも関わらず、いままで出版されていたことを知らなかった書籍を多数見つけました。新宿ジュンク堂書店が閉店してからは、ブックファーストや紀伊国屋本店にいくことが多くなりました。その頃の紀伊国屋本店は、書籍の扱い方が雑な印象があり、あまり行かないようにしていました。しかし、しばらくすると紀伊国屋本店は大幅に改善しました。これは私の推測ですが、新宿ジュンク堂書店の店員の一部が、紀伊国屋書店に流れたのではないかと見ています。大きさの上では1000坪のジュンク堂新宿店より、ブックファースト(1090坪)や、紀伊国屋本店(1434坪)書店の方が広いのですが、本の種類は、ジュンク堂新宿店の方が圧倒的に多い印象がありました。やっぱりジュンク堂が好きなので、ここ2-3年は、丸の内オアゾ店にいくようになっていました。オアゾ店は、交通機関的に出やすいのと、駅上にあるので行き易いためです。池袋店は駅から少し歩くのも面倒です。雨が降っていると更に避けたくなります。




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# by zae06141 | 2017-03-06 00:45 | その他歴史関係 | Comments(0)

村川 堅太郎著『羅馬大土地所有制』 の目次

村川 堅太郎(1907-1991年)著『羅馬大土地所有制』(1949年、日本評論社、社会構成史大系第二巻として発売)の目次がネット上になさそうなので、掲載します。

この書籍は現在絶版ですが、『村川堅太郎古代史論集〈3〉古典古代の社会と経済』(岩波書店、1987年)に収録されており、古代史論集の方は、定価6700円と高価ですが、古書は廉価で入手できます。第一部は八編の論文、第二部が「羅馬大土地所有制」です。以下『羅馬大土地所有制』の目次です。

第二部『羅馬大土地所有制』(181)
 第一篇 イタリアにおける大土地所有(183)
  一 序説(183)
  二 学説史的回顧と概念規定(197)
  三 ローマ農業論の記述(210)
  四 直営地の経営(221)
  五 小作制(241)
  六 大土地所有者の実例 -プリニウス書簡の研究-(254)
  七 社会構成上における大土地所有の位置(266)
  八 むすび(278)

 第二篇 属州における大土地所有(281)
  序(281)
  一 属州アフリカの皇帝領(283)
  二 その他の属州(308)
  附録一 シシリーにおける土地賃貸者(315)
  附録二 小作制についての史料(325)

日本評論者版は全150頁の薄い本です。本書は紙幅147頁にそのまま再録しています。1949年刊の『羅馬大土地所有制』は、「羅馬」と「ローマ」が混在しているものの、「羅馬」以外は基本カタカナが利用されていて読みやすく、1987年の論集では、タイトル以外は全部カタカナに修正されているので更に読みやすくなっています。
 まだ考古学の知見が文献史学に導入される以前の、古典文献史学の範囲内の研究ですが、その範囲をまとめた研究という前提ならば今もって基本文献を用いた入門書として有用な基礎研究といえるのではないかとの印象を持ちました。

 第二篇の第二章はガリアの農業を扱っていて、当時知られた文献史料で出来る限り各地の特徴を描き出そうとしています。プリニウスの書簡がイタリア半島の史料として活用されており、新保良明氏『古代ローマの帝国官僚と行政-小さな政府と都市』(2016年、ミネルヴァ書房)と並んで、退屈で一部流し読みしていた『プリニウス書簡集』を面白く読めそうな気にさせられる書籍でした。『プリニウス書簡集』、近いうちに完読したいと思うようになりました。

 論集のあとがきで『羅馬大土地所有制』について述べている箇所が面白かったです。

 「幸か不幸かこの問題に関する拙稿は、このソ連・東欧諸国を含めてのヨーロッパでの社会経済史の大隆盛、尽くることなき甲論乙駁より前に戦前の乏しい文献をたよりに、いとも無邪気に書かれたものであった。いわば石器時代の遺物のごとく、磨きをかけてもどうにもならないし、磨くためには無限の労力を要する」(332頁)

その後の出土金石文や考古学発掘で、村川氏が本書で描いた結論は修正されているのかも知れません。しかし、氏の以下の方針は、現在でも有用な姿勢だと思う次第です。

「ローマ帝国の広さを忘れて、一口に「ローマのラティフンディウム」を云々することはまったく無意味である(中略)本編は遺憾ながら二世紀頃までと時代を限定せざるを得なかった。(中略)本来ならばイタリアの何倍かの紙幅を要すべき属州の記述をあたかも附録の如くに扱わざるを得なかったことを読者にお詫びする」(p280)

※帝政前期エジプトの土地所有制については一橋論叢1951年6月号掲載の渡辺金一論説『USIAKOI MISTHOTAIについて : 羅馬帝制期に於ける属州埃及所在皇帝御料地(usiai)経営の一側面』があり、ヒスパニアについては、馬場典明「3-4世紀のバエティカにおける果樹栽培ウィラの構造的変化 」(『史学論叢』(別府大)30 2000年)、小アジアについては、坂口 明 「2世紀~3世紀前半における小アジア皇帝領の農民 」(『西洋古典学研究』36 1988年)、同「 小アジアにおけるローマ皇帝領の管理組織 」(『研究紀要』(日大・人文研)37 1989年)、シリアについては、渡辺金一「ローマ領シリアにおけるオリーヴ・プランテーション村落の興廃」(中世ローマ帝国―世界史を見直す (岩波新書 黄版 124)、1980年)などがあり、いろいろ集めると、日本語文献だけでもローマ帝国全領土の農業や土地所有の様子の情報があるていど集まりそうです。

※※なお、本論文集に掲載されている六章は、『エリュトゥラー海案内記(中公文庫)』にも収録されています。

六章『「エリュトラ海案内記」に見えたる紀元一世紀の南海貿易』
 一 エリュトラ海案内記
 二 ローマ「帝政期」初期における南海貿易の進展
 三 案内記の記述範囲と作者の航跡
 四 各輸出入品。貿易品の概観
 五 貿易の形態についての一、二の考察
 六 結語

以上の内容は、『エリュトラ海案内記(中公文庫)』では序章に収録されていますが、一部文庫版だけにしかない節もあります(以下文庫版の序説の目次)。

序説
 一 エリュトラ海案内記
 二 校訂本並びに訳注書(上記六章では収録されていない)
 三 本書の作者と成立年代 (上記六章では第一節の後半となっている)
 四 ローマ「帝政期」初期における南海貿易の進展
 五 案内記の記述範囲と作者の航跡
 六 各輸出入品。貿易品の概観
 七 貿易の形態についての一、二の考察
 八 結語


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# by zae06141 | 2017-02-25 00:05 | 古代ローマ・ビザンツ関係 | Comments(0)

最近(2016年末-2017年冬頃)読んだ古代ローマ関連書籍(2)

前回の続きです。

6)『アグリコラ・ゲルマニア』

「彼らは破壊と、殺戮と、略奪を偽って『支配』と呼び、荒涼たる世界を作り上げたとき、それをごまかして『平和』と名づける」

あちこちで引用されているタキトゥス『アグリコラ』の有名な一節ですが、高校時代に出会って以来、いづれは全文を読みたいと思いつつなかなか機会がないまま今に至っていたのですが、最近のベストセラー『サピンス全史(上)』(p239)に引用されていたことがきっかけで、読むことにしました。


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# by zae06141 | 2017-02-18 00:07 | 古代ローマ・ビザンツ関係 | Comments(0)